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81 アリスの進化完了

応援して下さっている皆様


『令和』元年おめでとうございます。


2月に掲載を開始して、早くも、4か月目に入ります。

お休みしてしまうこともありますが、引き続き、応援宜しくお願い致します。

 キルアント討伐を行っていたころに、獲得した特殊スキルからキルアントのスキルとレッドキルアントのスキルは大体理解できている。


 しかし、バレットアントとは1度も戦っていないので、どんなスキルを持っているかは、かなり興味があるのだ。


 興味だけではなく、有効なスキルであれば獲得しておきたいとも思っている。


 これから先に進むにあたって、スキルや耐性は多ければ多いほど役に立つ。


 それに、ラクーン洞窟地下2階は極寒の地で、敵モンスターもスピード系小型モンスターが多いと予想されているから、不安が山積みだった!


 そんなことを考えている時に、ギィが目を覚ましてきた。


「おはようござっす!師匠! アリスの進化は順調っすか?」


「うん、おはよう!ギィ!今のところまだ変化は無いな!」


 前回のレッドキルアントへの進化完了は朝早くだったからな!


 今回も同じ時間だとすると、そろそろだと思うんだが・・・。


「そうっすか?進化が始まったら起こしてもらってもいいっすか?」


「眠いのか?」


「はい!かなり眠いっす。昨日は遅くまで起きていたので・・・。実は先ほど少し前に眠ったっすよ! すいやせん。」


 そういうと、その場でまた眠ってしまった。


 朝まで、シミュレーションを行っていたとは思わなかった。


 ここまでギィが準備をしていたなら、進化直後のアリスが模擬戦で、ギィに勝つのは難しいかもしれないな。


 まあ、それもしょうがないかもしれないな。


 アリスには勝ち負けは気にしないでもらおう。


 しかし・・・無理かなぁ~~!


 アリスは気が強いからなぁ、でも、口に出さずに我慢するから、気が付かないふりでもするしかないな。


 実は、自分もかなり遅くまで、ギィの独り言を見ていた。


 それで、なかなかアリスが出てくる気配がないので少しウトウトしだした。



 丁度その時、目の前の繭から音が聞こえてきた。


 ドンッ!ドンッ!


 アリスが繭を破る為に、内側からたたいているのだろう。


 もやもやしていた頭の中が一気にクリアになった。


 そうだ!ギィを起こさないといけない。


「ギィ!起きろ! アリスが繭から出てくるぞ!」


「ふぁ~あぃ!アリスちゃんはどんなふうになっているのかな?」


 ギィが寝ぼけた感じで、声を出すのと同時にアリスの繭に亀裂が入った。


 ギリィィィィィ!バリバリ!


 亀裂から最初に出てきたのは2本の牙だった。


 カチッ!カチーン!


 鋭い音がしたと思ったら、一度その牙を引っ込めた。


 ケッセイの時は足が出てきたので、アリスの時も足が出てくると思っていた。


 バリバリバリッ!ガリガリッ!ギギィィィィィ~~!


 自分もギィも予想に反して、出てきたのはアリスの頭だった。


 アリスのイメージと、繭から頭だけ出ている状態のギャップに自分もギィも固まってしまっていた。


 しかも、アリスは繭から頭だけを出した状態で挨拶をしてきた。


「あら!皆さま!おはようございますわ!ご機嫌いかがかしら!」


 さわやかにキリッとしたアリスの顔と、繭からでている頭だけの状態に自分もギィも大笑いをした。


「ぶわっふぁぁああ!!なんだよアリスその繭から出かたは何か理由があるのか。ぶ・・ぶふっ!」


「ははっははっ!アリスちゃん!変だよその頭どうなってるの!!はははっははっ!」



 ※     ※     ※


 繭の中で、アリスは足をたたんで、ゆったりとした姿勢で睡眠をしていた。


 繭の中は、真っ暗ではないが、薄暗がりの状態であった。


 アリスの頭にある触覚がピクッピクッと動きだした。


 触覚の動きを合図にして、アリスは繭の中で目を覚ました。



 ふぁ~あぁぁぁああああ!!!


 あら!進化が終わりましたわ。


 前回の時は問題なく進化できてましたから、今回も・・・・大丈夫そうですわね!



 アリスは感覚として、何の問題もないことを感じていた。


 しかし念の為、繭の中で、足を一本一本動かしながら、アリスは体の動きを確認していった。


 それから、足を動かした後は、武器であるニードルの動き、そして、牙の動きを確認した。



 一応体も足も・・・問題は・・・なさそうね!


 でも、頭はまだ何か()()()()しているわね。


 そうだ!師匠とギィちゃんは元気してたかしらね。


 繭から出たら、何か面白いことが起こっていないか聞いてみることにしましょう!


 そう言えば、前回繭から出るときはとても大変だったのよねぇ!


 繭を内側からどんどんと蹴ってもなかなか破れないので本当に困りましたもの。


 そうだわ!今回はこの牙を使えば簡単に破れそうだわ!


 と~っても、いい考えですわね。


 頭も少しづつはっきりとしてきたわ。


「・・・・・・・」


 あっ、師匠が何か言っているみたいですわ。


「そうっすか?進化が始まったら起こしてもらってもいいっすか?」


 ギィちゃんの声!今度は、はっきり聞こえてきましたわ。


 もしかして、ギィちゃんは私が出てくるのを眠らずに待っていたのかしら!


 ギィちゃんって体は大きいけれど、なんだか妹みたいなのよねぇ~


「眠いのか?」


「はい!かなり眠いっす。昨日は遅くまで起きていたので・・・。実は先ほど少し前に眠ったっすよ! すいやせん。」


 うわぁ~!やっぱり遅くまで寝なくて私を待っていたのね。


 出てきたら、しっかり挨拶しないといけないわね。


 まずは繭が弱そうなところを探さないといけないわね。


 アリスは繭を作る時に、出やすいように一部だけ弱い部分を作っていた。


 これも、前回の反省から学んだことだった。


 この辺かな!


 ドンッ!ドンッ!


 うん!ここで間違いないわね。


 でわっ!一気に行きますわよ!


 アリスは、牙に力を込めて、勢いよく繭の弱くなっている部分に向けて突き立てた。


 ギリィィィィィ!バリバリ!


 激しい音を立てて、牙がこすれる音がした後、牙がしっかりと突き出たことを感じた。


 カチッ!カチーン!


 弱体化中でもあるので、牙の状態が問題ないかを確認をした。


 よし!特に牙に問題はないですわね!


 アリスは牙に問題がないのを確認した後、一度牙を引いて、もう一度突き立てるために牙の準備をした。


 今度は一気に突き立てますわよ!


 バリバリバリッ!ガリガリッ!ギギィィィィィ~~!


 勢いよく、牙を最初に開けた穴に追加するようにして、突き立てた。


 アリスは頭まで繭から出た後、目の前に師匠とギィちゃんがいるのに気が付いた。


 あれ!師匠もギィちゃんも何かに、驚いているのかしら、でも、丁度いいからここであいさつをしておかないといけないわね。


 繭から出た後に師匠とギィちゃんに会った時に、挨拶する時のフレーズを決めていた。


 にっこりと笑顔で、決めていたフレーズを口に出した。


「あら!皆さま!おはようございますわ!ご機嫌いかがかしら!」



「ぶわっふぁぁああ!!なんだよアリスその繭から出かたは何か理由があるのか。ぶ・・ぶふっ!」


「ははっははっ!アリスちゃん!変だよ!その頭どうなってるの!!はははっははっ!」



 アリスは挨拶をしたはずなのに、師匠とギィが大笑いしているのを見て、少し不機嫌になっていた。


「師匠!それにギィちゃん!なんでそんなにわらっているんですの!」


「ぶわっふぁ・・・ぶ・・ぶふっ、だってアリス!繭から頭だけ出しているんだぞ! その間抜けな姿は逆の立場だったら、アリスも大笑いしているよ。」


 アリスはハッとして、自分の状態をイメージしたのか、赤くなっている顔をさらに真っ赤にして頭を下に向けた後、頭を引っ込めた。


 アリスはすぐに出てくるかと思ったが、なかなか出てこないので、自分もギィも笑いすぎたと思った。


「アリスすまない!笑いすぎた!」


「ごめ~ん!アリスちゃん。笑いすぎちゃった!」


 自分達がお詫びをしたのを聞いて、アリスが繭から出てきた。


 今度は、足から少しずつ繭を広げながら、そして、ある程度の広さになった後、顔が出てきた。


 今度は、体の前の部分が全部出ているので、普通の状態に見えた。


 その状態でアリスは口を開いた。


「あら!皆さま!おはようございますわ!ご機嫌いかがかしら!」


 すると、アリスはさっきの挨拶がなかったかのように、もう一度、同じ挨拶を繰り返した。




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