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80 模擬戦のルール

ギィは予想以上に気合が入っていた。


 自分としては軽い気持ちで最初の戦いの再戦を行ったらどうなるんだろうといった興味だけだった。


 それは、ギィにとって少し違っているようだった。


 自分は、今までギィとアリスが仲の良いお友達程度に考えていた。


 しかし、ギィにとっては仲の良い友達というだけでなく、競い合うライバルであったのかもしれない。


 もしくは、そんなこと考えてなくて、単純に強いと思われるアリスと戦うことが出来ることを喜んでいるだけかもしれないが・・・。


 いずれにしても、進化を競争している相手ではあった。


 それは、ポイズンバットの討伐でのギィとアリスの動きを見ていればわかったことである。


 きっと、ああ見えてもアリスもギィとの再戦が出来るとなると、嬉しいに決まっている。




 しかも、模擬戦だから、お互いに死ぬこともない。


 ただ、ルールをどうするかを決めないといけない。


 一番簡単なルールは殺さない。


 でも、これだけでは、万が一もありえるから・・・。


 枠を作って、その枠から出たら負けっていうのはどうかな。


 ギィにもアリスにも不利益にならないならいいんだが・・・。


 あっ!もしもこの隠れ洞窟で、そんな模擬戦を行ったら、ちょっと大変なことになるかもしれない。


 う~ん、まずいなぁ。


 それなら、住処の洞窟がいいか!しかし、あそこだと、枠を作るのは難しいなぁ。


 う~ん、壁に[『体』が付いたら負けとするか!手や足ならOKとしよう。


 明日はアリスが弱体化の日だから、実際の模擬戦は明後日になる。


 ただ、アリスは弱体化が終わっても、新しい体になれるには、数日かかると言っていた。


 だから、アリスの準備運動がてら、簡単に運動するつもりで模擬戦が出来たらいいかな。


 よし、これで模擬戦までの段取りは出来たっと!


 自分が模擬戦について考えている間、ギィは何かぶつぶつ言いながら、体を動かしていた。


 自分の考えに集中していたので、ギィが何をしていたかは、はっきりとしていなかったので、模擬戦の段取りが終わったところで、ギィが何をしているのかを見てみた。


「・・・アリスが・・こう来るから・・・、そしたら、ファイヤーボールで・・いや・・・ファイヤショットで・・・。」


 あ~~! ギィはすでにアリスとの模擬戦のシミュレーションをしていた。


 しかも、時々、ニヤッとしていたから、ギィの妄想の中で勝利しているんだろう。


 楽しそうで何よりだ!


 こうして、自分もギィも、南の居住区に戻るまでの間、ぶつぶつとつぶやきながらお互いに会話することもなく帰って行った。



 ※     ※     ※


 アリスの進化完了の朝


 昨夜、ギィは遅くまで、アリスとの模擬戦の為に一人で『右からくれば・・・、そのときはジャンプして・・・、爪剛撃をけん制に、左からの爪攻撃で・・・。』と色々と口に出すだけでなく、手や足に尻尾まで動かして何かをしていた。


 自分もそんなギィを見ていて、遅くまで寝付けなかった。


 それだけでなく、アリスが無事に進化できるかも心配だった。


 まあ!進化に失敗があるのかないのかわからないけど・・・。


 寝るのが遅かったにも拘わらず、目が覚めたのは早かった。


 アリスの進化を気にしていたせいかもしれない。


 ギィはまだそばで寝ている。


 ギィもアリスの進化完了を気にしていて、繭の側で睡眠をとっていた。


 衣装飾りはそのまま着けたまま寝ていた。


 よっぽど気にいっていたのだろう、もしかして、進化後のアリスにも見せて自慢するのかもしれない。


 自分にしていたように・・・!!



 アリスの進化が完了するまで時間があるので、前回のアリスの進化について考えていた。


 アリスがレッドキルアントに進化した日は、薄ピンク色でぷにぷにしていた。


 キルアント族が進化する時は、種によって色が変わっていく、最初が赤い色のレッドキルアント、次が赤紫色のバレットアント、その次が紫色のバレットキルアントとなっている。その先は、現在のメーベル女王であるラージキルアントで一見すると黒く見えるが、じっくりと見ると、濃ゆい紫でヒカリゴケに反射すると、虹色にキラキラと光っていて、見える位置によって変わる不思議な色をしていた。


 この流れで行くと、アリスはバレットアントになり、体の色は赤紫色となる。


 進化直後の弱体化中は薄くなるので、何色になるのかとても気になった。


 それと気になるのが、スキルだ!


 さすがにキルアント族にスキルを聞き出すことはできなかったので、進化したアリスに聞いてみようと思っていた。








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