表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/238

79 ギィと衣装飾り

 コンサルさんにラクーングレートリザードの探知の方法を知っているかどうか聞いてみようと思った。


 北の商業地区をまとめているキルアントなので、一般のキルアントよりも内部事情に詳しいだろうと思ったからだ。


「コンサルさん!ラクーングレートリザードに関して、少しだけ聞きたいことがあるんですがいいですか?」


「いいですよ!どんなことですか? でも、あまり役に立てないと思いますよ。我々トレイダーは、メーベル女王様からの避難指示ということで、近衛から伝達を受けた後、速やかに避難所へ移動するだけですから。」


 いつまで続くの?その話?っていう目線が、待っている多くのキルアントの子供たちから届いていたが、どうしても聞いておきたかったので、気が付かないふりをしていた。


「ラクーングレートリザードは、このラクーン洞窟のかなり深部で活動していて、時々、この地下1階に上がってくると聞いています。それなのに、キルアント族は、かなり早い段階で、ラクーングレートリザードが上がってくる事を把握していたんです。一体、どうやって把握することが出来ているのでしょうか?」


「それはわからないですね。 ・・・でも・・・そういえば、以前1度だけ第1近衛の方が、伝達に来たことがあるんです。いつもは、『ラクーングレートリザードが来るから避難するように!』とこれだけしか伝達はないのですが、あの日は『知らせがあったから、ラクーングレートリザードが来る。だから、速やかに避難するように!』と少しだけ違っていたんです。我々もどうやってわかるのか気になってはいたので、やはり何か特別に知る方法があるんだということがその時にわかりました。ですが、これ以上の情報はないです。すみません。」


「いえいえ!十分な情報ですよ!ありがとうございます。 もう少し話をしていたいのですが、子供たちの視線が痛いので行ってきます。」


「本当にキルアントの子供たちがご迷惑をおかけして申し訳ありません。」


「自分も楽しんでいますので!」


 そう言って、さらに5周ほどまわって全員を楽しませた。


 最後の1周をまわるたびに子供たちが『ありがとうございます!』と声をそろえてあいさつをして行った。


 キルアント族の子供たちの純粋さに、大変だったけど、乗せてあげてよかったと思っていた。


 キルアントの子供たちが帰る道中に、親の背中に乗っている子供や、友達同士のような子供たちがお互いに乗せ合っている姿を見ると、それはそれでほほえましく思えた。




 露店の店主からの差し入れであった飾りが、かなり気に入っていたようで、ギィは最後尾の誘導が終わってからも、ずっと衣装飾りを着たままだった。


 しかし、最初の方に見た衣装飾りとは違っていた。


 ギィは最後尾の誘導をしながら少しづつ、露店の店主からもらった衣装飾りが増えて行ったみたいだった。


 そして、側にいるギィの衣装飾りは、首には赤色に黄色のストライプが入った布を巻き付けて、蝶々結びのように結んでいた。

 体には大きな紫色の布をかぶせて、おなかのところで合わせて、黄色の花飾りのついた針で止めていた。

 手足にはパステルカラーの水色と白のストライプになっていた紐のようなものをぐるぐる巻いてすべて内側で結んでいた。

 尻尾には銀細工で飾った革製のバンドを巻き付けてあった。


 かなり離れたところからでも、すぐにギィと分かるくらい派手な装いとなってた。


「ギィ!最後尾の誘導大変だったな!でも、皆喜んでくれてよかった。それから、色々とたくさんもらっているな!」


 ねぎらいの言葉に合わせて、貰い物について少しだけ振ってみた。


「かわいいっしょ!特に首の赤い布と尻尾の飾りがお気に入りっすよ!最後尾の誘導やってよかったっす!」


 目をキラキラさせながら、お気に入りの赤い布で巻いてある首のところを自分に近づけてきたり、銀細工の飾りのついた皮ベルトをつけた尻尾を眺めてウットリした後、自分にも見るように訴えて、尻尾を何度も自慢するように近づけてきた。


 綺麗に飾られているのがうれしいようで、自分の体に飾られている衣装飾りを何度も何度も見返していた。




 思いの外、北の商業地区で時間を過ごしたけれど、目的のポイズパッドの丸焼きの依頼は完了したので、そのまま、午後のポイズンバット討伐に向かった。


 ギィはポイズパッドの討伐中も飾り衣装をそのままにしていた。


 討伐後、ポイズンバットの納品もだいぶ遅くなったが、荷物運びのキルアント達は快く運んで行ってくれた。


「ギィ!明日はいよいよアリスの進化が完了するな!」


「楽しみっすねぇ!アリスはどんなふうになるっすかねぇ!」


「アリスの進化後はレッドキルアントの次だから、バレットアントだな!以前のチエさん、チタさん、チミさんと同じだな。」


「アリス!強くなってるっすかね!」


 アリスの強さを思い出して、ギィの目は何かギラギラした強さを感じた。


 初めてアリスと戦ったことを思い出したのかもしれない。


 そう言えば、今日は住処の洞窟に行ったから、当時の事を思い出していたのだろう。


「そうだ!ギィ。アリスの弱体化日が終わったら、軽く模擬戦をしてみるか?」


 良いことを考えたと思いギィに伝えてみた。


「かる餅せんべいって言ったっすか?」


「違う違う!軽~く模擬戦だ!ルールを決めて戦うんだよ!アリスとね!」


「それ!いい!! いいっすね!アリスと戦えるんすか? アリス強くなってるっすよねぇ! 初めての時は勝ったけど・・・。 ううぅぅぅ!!ワクワクしてきた!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ