76 ギィを乗せて運ぶ!?(12時10分ごろに少し修正しました。よろしくお願いします)
ギィは、北の商業地区での背中に乗せてやると言う約束を覚えていたようだ。
ここならキルアント達の目もないし、ちょうどいい距離でもあったし、特に懐かしい場所でもあったので引き受けることにした。
「ギィ!覚えてるか?初めてここを通った時、背中の上に乗ってとてもはしゃいでたんだぞ!」
「そおっすか!? そんなことあったすかね!?」
ギィは、しらじらしくとぼけていたが、目が泳いでいたので嘘だと言う事はバレバレだった。
「忘れているように見えるが、本当は覚えているだろ!」
「あれ!ばれてたっすか!?」
「ギィは正直だからな、嘘をつくのは無理なようだ!」
「わかったっす!今でもはっきりと覚えているっすよ!あの時は、置いていかれると思ったら、急にひょいと体を持ち上げられて、背中に乗せてくれたっす。びっくりしたのと、きもちよかったのと、もう忘れることはできないっすね!」
「あな時と比べるとずいぶん大きくなったもんなぁ。まぁ乗せられない事はないと思うから、乗っていいぞ!」
「は〜い!そしたら今から乗るっすね!」
ギィその返事をするとゆっくりと背中に乗ってきた。
ギィは今進化して、尻尾までの長さを入れると自分の半分ぐらいあった。
だからギィ背中に乗ると、かなりアンバランスな感じになっていた。
一見すると、大きな荷物を載せられていて、まるで重労働をさせられているような感じだった。
しかし、見た目以上に力があるようで、ギィを乗せても何の問題もなく移動することができた。
移動だけと言うよりも、このまま戦うことすらできそうな位、軽々と乗せることができていた。
そこでちょっと試してみたくなった。
いつもの調査癖が出たのだ。
まずは普通に前進する。
問題なかった。
次はくねくねして横に進んでみた。
スムーズに移動できた。
後ろに進むことも問題なかった。
行ったり来たりしていたので、ギィは少し不思議に思って聞いてきた。
「師匠!何してるっすか?」
「ああ!ギィを乗せた状態でどれくらい動けるか調べてるんだ!」
「そう・・っすか!」
ギィは『それって役に立つことがあるんだろうか』と言うような疑問の顔をしていた。
まぁ自分がやりたいからやってるんだから仕方ないかなと勝手に納得していた。
「次はジャンプするぞ!」
ギィは『ジャンプ』と言う言葉を聞いて、目を輝かせていた。
「はいっ!!」
ギィから勢いのある返事が響いた!
そして、ギィを乗せた状態でジャンプしてみた。
全く問題なく行えた。
人で考えたら、小学生を抱えて動くことと変わらないはずだが、もう漫画の世界と一緒だな。
そう思うと、笑いが出た。
しかし、ギィを見ると、背中で大興奮状態だった!
「ギィ!どうしたんだ?」
「ジャンプめっちゃ!楽しいっす!」
ジャンプを喜んでいたので、連続ジャンプしてみた。
するとギィは背中の上で、キルアントの子供たちのようにギャアギャア騒いでした。
住処の洞窟の奥まで進み、ギィに降りるように声をかけた。
「ギィ!楽しそうだったな!もう降りていいぞ!」
「えっ!なんでっすか?」
ギィはまじめな顔で聞いてきた。
「いや・・あの・・なんでって言われても・・とにかく、これで終わりだ!」
予想外の返事に動揺しながら、おもわずうろたえながら答えた。
「わかったっす・・・。」
残念そうな顔で返事をしてきた。
ギィがもう一回乗せてという目で訴えてきていたので、話をそらそうと思いあいつのことを聞いてみた。
「そういえば、あいつを見てやっぱり怖かったか?」
「・・・怖かったっす。今の自分では全く歯が立たないと感じたっす。」
ギィは怖かったといっているが、表情は決意を込めたような意思を持っているようだった。
「だから、強くなるっす。あいつに勝てる位強くなるっす。自分だけで勝てなくても、師匠もアリスもいるっす。だから大丈夫っす!」
ギィにとっての一つの目標があいつになっていたようだった。
ギィの言葉を聴いて、自分もうれしくなった。
ギィが困難をひとりで抱えるのではなかったからだ。
そして、それを解決する方法として、自分やアリスと共に強くなる、つまり、みんなで強くなると口に出した事だ。
ギィの言葉から、困難を解決するのは仲間と一緒であることが当たり前のようになっていることに胸がジーン!となった。
「そうだな!ギィ!みんなで強くなって。みんなで勝とうな!」




