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74 隠れ洞窟の入り口の閉鎖

「ギィ!起きたか!明日はアリスの進化完了の日だ!弱体化中だが、お祝いにポイズンバットの丸焼きを準備しておこと思う。」


「師匠!それはいいっすね!ポイズンバットの丸焼きっすか!ぐふふっ!」


 ギィはポイズンバットの丸焼きの羽を食べながら寝ていたのを思い出したのか、笑みがこぼれるのが止まらないようだった。


 ギィは魚よりも肉が好きなのかもしれない。


「だから、今日は朝のポイズンバットの討伐の時に、ポイズパッド2体を持ち帰って、おいちゃんのところに持っていかないといけないな。」


「そうっすね!ぐふふっ!」


 嬉しそうなギィを横目に、荷物運び用のかごを準備した。


 以前からおいちゃんに借りているものだ。




 そして、いつものように隠れ洞窟の入り口に向かった。


「師匠!レッドキルアント達がいつもよりも多いっすね!何をしているっすかね?」


 自分と同じようにギィもレッドキルアント達の多さに違和感を感じていた。


 毎日、同じくらいの時間に通っているので、今日のいつもと違う様子がすぐに分かったのだ。



 入り口の門を通り抜けるときに、門番に今日の状況についてたずねてみることにした。


 しかし、門番もいつもと違って慌ただしく動いていた。


「あの、聞いてもいいですか?」


「師匠様!おはようございます。お答えできることがあるかわかりませんが、手短でお願いします。本日は緊張状態指示が出ておりますので、よろしくお願いします。」


「はい、聞きたいのもそのことなんですが、今日は何かが起こるんですか?」


「はい!今日はラクーングレートリザードが上がってくる可能性があるのです。そのため、一般居住区のキルアント達は、王宮の裏にある避難区域に全面的に移動があるんです。この隠れ洞窟は絶対に見つかってはいけないので、キルアント族の気配をシャットアウトする意味もあるんです。それと、この隠れ洞窟の入り口は一時閉鎖となります。師匠様がこれから出られるのであれば、ラクーングレートリザードが地下に戻るまでは入れなくなりますがよろしいですか?」


 いつも通りの朝のはずが、いきなり大問題になっていた。


 やはり、巨大モンスター(グレートリザード)の事だろう!


 隠れ洞窟でもあいつ(グレートリザード)の存在は危険なんだろうということが容易に想像できた。


 しかし、戻れなくなるのは困るな・・・。


 どうしよう・・・。


 ギィが前回あいつに会った時は、進化前でおびえていた。


 今は、隠れ洞窟がある。


 しかし、近く、ここから出発することになるのは間違いない。


 もしも、次にあいつに会う時、ギィが冷静になれずに慌ててしまい、対応を間違えてしまう可能性がある。


 今回、ギィがあいつを確認して、その強さの差を感じておくには絶好の機会かもしれない。


 リスクはあるが、将来の為にもここはあいつを確認しておくことが最善だろう。


「我々は外に出ることにします。ただ、戻るときはどうしたらいいですか?」


 しかし、いつになったら帰ることが出来るようになるのか、知っておくことが必要と思い、門番のキルアントに帰る時の方法をたずねた。




「師匠!出るんっすか?」


 ギィが、ここは外に行かずにお留守番ではないの!といった目でこちらを見ていた。


「今の状態で、あいつと出会った時の、あいつと自分達の差を感じておきたいからな。」


「わかったっす!師匠!」


 ギィは戦うことから逃げることはしない。


 しかし、最初の戦いの後、無謀と思える行動は控えるようになっていたのだ。


 その点、今回は将来の為に、ラクーングレートリザードの強さを確認するといった言葉に、ギィの闘争本能は力を増しているようだった。


 そのため、ギィは力のこもった目で、こちらを向いて返事を返してきた。




「隠れ洞窟の入り口の開放は、ラクーングレートリザードが地下に戻って完全に気配が消えたら、いつもと同じように出入りできます。それに、キルアントの回収部隊が出動になりますので、すぐに分かると思います。それでは、これで失礼します。」


 門番が隠れ洞窟の入り口の開放について説明してくれた。


 しかし、キルアントの回収部隊の出動があるといっていたが、何のことだろうと思った。


 門番は忙しそうだったので、確認することはできなかった。




 門を通り抜けて、暗闇洞窟まで行く途中に、ギィと隠れる場所について確認しておいた。


「ギィ!あいつの気配を感じたら、住処の洞窟の近くの水辺で、身を隠すからな!いいか?」


「あそこの水辺っすね!大丈夫っす!師匠!」


 いつも緊張感のないギィと違って、若干ではあるが、緊張している様子が見て取れた。


「怖いか?」


「師匠!正直言って怖いっす!自分の記憶の中にあるあいつは、でかくて、強そうで、怖そうで、硬そうで、早そうでもう恐怖の塊っす。」


 それ、怖すぎだろう!


「でも、自分もあの時とは違って、成長してるつもりっす。何も知らなかったあの時と、成長した今で,

 あいつの印象がどう変わるか確認するっす!!」


 ギィの意気込みがありすぎて少し心配な面もあるが、無茶はしないだろうと思う。


 だから、しっかり見ていかないといけないと思った。


「とにかく、今からはポイズンバットの討伐だな。慣れているとはいえ気をつけておく必要があるな。」


 ポイズンバットの討伐当初は、鋼外殻や隠密など準備を整えてから行っていたが、最近ではギィの攻撃力も上がっているので、特に何の事前準備も行わずに行うようになっていた。


 しかし、今日はあいつが来るかもしれないので、用心の為、隠密はかけとこうと思った。

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