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71 連結荷物運びと子供達②

「蛇神様!本当にありがとうございます。まさか、頭の上に乗せていただけるなんで、思いもしませんでした。」

「蛇神様の頭の上は、もっと揺れるのかと思っていましたが、とても静かなんですね!」


「私も頭の上に乗りたいっす!!」


 ギィはまだ言っていた。


 よっぽど!背中に乗りたかったんだろうなぁ!


「ギィはまた今度な!!」


「いいんすかっ!!約束っすよ!師匠!」


 ギィは思った以上にとても嬉しそうにしていた。


 そんなに背中に乗りたかったんだと思った。


 頭にキルアントの子供達、背中に荷物運びのかごと荷物・・・ますます列車化してきたなぁ!


 そのうち、子供たちが増えてきたりして・・・なんてなっ!


 しばらくの間、子供達を頭に乗せたまま荷物運びをしていると、後ろからついてくるキルアントの子供達に気が付いた。


 嫌な予感が・・・!!!


 気が付かないふりをして、そのままに持ち運びを続けていると、その数がだんだん増えてきた。


 北の商業地区の一番端まで行って、荷物運びをすべて終えて方向転換をした。


 最初は3匹のキルアントの子供達だったが、端に到着したころには、10倍の30匹位になっていた。


 うわ~!多いなぁ!!


 まあ!理由は分かっていた。


 移動の途中、後ろの方から声がうるさいくらい聞こえてきていた。


「いいなぁ~」

「乗りたいなぁ~」

「景色はどんなだろう。」

「尻尾の先でもいいんだけどな~」

「あいつらどうやって蛇神様の許可をもらったんだろ~」


 軽い気持ちで最初の2匹を乗せたため、こんなことになってしまった。


 しかし、キルアントの子供達が喜んでもらえるならいいだろう。


「よし!わかった!みんな好きなところに乗っていいぞ!」


 声を出した瞬間、キルアントの子供達はあれほどざわざわしていた声が沈黙した。



 ・・・・・・。



 そして、一拍をした後、雪崩のようにキルアントの子供達が体の上に登ってきた。


 さすがに、30匹になると少し重い気がしたが、自分のステータスなら何とかなる重さだった。


 その中で、ひときわ小さなキルアントの子供が、上る場所がなくなり寂しそうにしていた。


「お前くらいなら乗せられるよ!」


 2匹が乗っていた頭を下げると、頭の上のキルアントが小さなキルアントの子供に声をかけてあげた。


「真ん中においで!」


 そうして、小さなキルアントの子供を2匹の真ん中に招き入れた。


 乗ることをあきらめかけていた小さなキルアントの子供は、満面の笑みで登ってきた。


「もう乗れないと思っていたら、頭の上に乗れたなんてうれしすぎます!」



 総勢30数匹のキルアント列車が出発することになった。


 移動中、背中の上は大騒ぎになっていた。


 途中、露店の店主達から水をもらい飲ませてもらった。


 背中の上で大喜びのキルアントの子供を乗せて、北の商業地区の端から中央まで進んだ。


 中央に到着したので、キルアントの子供達に降りるように声をかけた。


「蛇神様!もう少し乗っていたいです。もう無理ですか?」


 30数匹から一斉に同じような声がかかった。


 そこまで、喜んでもらえるならもう一周まわろうと思った。


「う~ん!わかった!もう一周だけだぞ!!!」


「は~い!!!」


 練習しているのかと思える位、息ぴったりで返事をしてきた。



 そして、このやり取りが後2回ほど続いたのは言うまでもなかった。


 結局、北の商業地区を子供たちを乗せたまま3往復することになった。


 3往復したが、その後のキルアントの子供達は皆喜びの声を上げていた。


「蛇神様!今日は乗せてくれてありがとうございました。」

「蛇神様の背中は静かで揺れもなく最高でした。」

「蛇神様の頭の上に乗れたことは一生忘れません。」


 背中に乗せただけで、これほど喜んでもらえるとは思わなかった。


 そして、自分もキルアントの子供達の笑顔は忘れられない思い出となった。



 ※     ※     ※



 連結荷物運び列車の後はいつものポイズンバットの討伐の時間となった。


 午後のポイズンバットの討伐後は、キルアントトレイダーにポイズンバットの納品をするとコンサルさんと約束をしていた。


 そして、この納品の後は焼き魚をもらえることになっていた。


 調理された料理で、ポイズンバットの肉の次は焼いた魚、もちろん、生で食べる魚もおいしいが、焼かれる事で表面がパリッとなり、その皮をめくると、白くなっていて、ほくほくした身がぷりぷりっとなっている。

 そして、その身を噛めば噛むほどその身からうまみが出てくる。

 しかも、この体なら骨ごとガジガジ出来るはずだ。

 ほくほくした身に骨から出てくるうまみ!いや~~!肉もうまいが、魚もうまいだろうなぁ~!


 きっとギィも喜ぶに違いない。


 今日も抱いて寝るのかな。


「ギィ!今日はコンサルさんのところから、貰う焼き魚だな! 肉もうまいが魚も焼くとめちゃくちゃうまいぞ!」


「そうっすよ!師匠!生の魚もプルンプルンとしてガジガジするとおいしいっすけど、焼くことで身がほくほくしてプリップリッになるっすよ!」


「えっ!ギィはなんで知ってるんだ!?」


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