70 連結荷物運びと子供達
2日間お休みしてしまいました。
どうしても外せない用事があり、楽しみにしてくださっている方々には申し訳なく思います。
また、がんばって継続していきますので、今後とも応援よろしくお願いします。
ふわぁ~あ~~~あっ!
昨日のポイズンバットの丸焼きはうまかったなぁ。
目が覚めて大きく深呼吸を行って体に力を入れなおした。
そして、昨日食べたポイズンバットの丸焼きの味を思い出しながら、その余韻を楽しんでいた。
そういえば、ギィは残った羽をバリバリと食べていたな。
ギィもうまそうに食べていたもんな。
あの勢いだったら、全部食べてしまっているだろう。
そう考えて、ギィの寝ているところを探してみた。
アリスの繭の近くにいた。
アリスは繭化中なので話を聞くことはできないが、ギィはポイズンバットの丸焼きの事を伝えようとしていたのだろうか。
ギィはこちらからは背中を向いていたので、昨日食べていた羽の部分はどうなったのか、近づいて見に行ってみた。
正面からギィを見て、思わず吹き出してしまった。
ぶふぁはっはは!!!
何をやっているんだギイは!
正面からギィを見たら、ポイズンバットの羽の部分を、大事そうに抱えていた。
起きているのかと思ったが、ゆっくりと寝息を立てていたので、寝ているのは間違いなかった。
そして、抱えているだけでなく、羽の上の部分は口に入ったままだった。
ギィは食べながら、寝てしまっていた。
そのまま、ギィの様子を見ていると、口が動き出した。
あれ!起きたのかな!
そう思ったが、目は開いていない。
そのまま見ていると、ゆっくり目を覚ましていた。
「ギィ!おはよう!」
「おわぁよぉおっす~、ひしょお~。」
「ギィ!まずは口の中のものをどうにかしたらいいんじゃないかな!」
「あぁい」
そういうと、ギィはもぐもぐしながら口の中に入っていたポイズンバットの羽の部分を食べ終えた。
「あ~~! これうまいっすねぇ~~! 大事に食べてたら、そのまま寝てたっす。えへっ!!」
まあ、初めて食べた調理された肉がこんなにおいしかったら大事に食べたくなる気持ちもわかるが・・・、食べながら寝るなんて・・・ちびっこか!?
とにかく、ギィもとても喜んでくれているのは間違いないので、それはそれでよかった。
「ギィ!午前中のポイズンバットの討伐が終わったらどうするんだ?」
「今日も北の商業地区に行くっすよ!師匠も行くっすか?」
まさか、ギィから誘われるとは思わなかったので、ちょっと驚いたが、別にすることもないので、自分も北の商業地区に一緒に行くことにした。
「そうだな、することもないので行くことにしよう。」
※ ※ ※
午前中のポイズンバットの討伐が終わり、北の商業地区に向かった。
「ギイちゃん!おやようさん!今日も荷物運びかい!いや~~!本当っ助かってるよ!!」
「おう!任しとくっすよ!!」
ギィが北の商業地区に来ると、いつも色んな露店の店主から声をかけられていた。
とても人気があるようだ!
仲間が褒められると、自分が褒められているような気になり、うれしく思っていた。
すると露店の店主は自分にも声をかけてきた。
「今日は蛇神様も一緒ですかい!!今日も見れますね!!楽しみですよ!」
見れる!?楽しみ!?
何のことだ!?
「何が見れるのですか?」
「何がって!そりゃ~!連結荷物運びの蛇神様!の事ですよ!今朝からその話をいたるところで行ていますよ!」
「昨日見れなかった連中も今日は見れるかな!なんて言ってましたからねぇ!」
もしかして、キルアント族では大量の荷物を運べることはかなりすごいことなのかもしれない。
もしかして、自分はこの界隈では有名人!?ってことになるのかな。
「そっれってちょっと恥ずかしいから、今日はやめといたほうがいいですかね!」
「何を言っているんだい!!!蛇神様!!!」
大きな目がさらい大きくなって勢いよく話しかけてきた。
「蛇神様!が来るかもしれないと思って、朝からうろうろしている店主や子供たちがたくさんいるんだから、よろしくお願いしますねっ!」
注目されすぎるのは恥ずかしいが、キルアント族の為に出来ることをすると決めていたからにはやるしかないか。
「わかりました、それなら、今から運びましょうか?」
「私のところから、連結荷物運びをしてくれるのですかぁ!!!!」
大きな目をさらに大きくして露店の店主は返事をしてくれた。
「え!ええっ!いいですよ!荷物運び用のかごを貸していただけるのなら。」
「すぐに持ってきますね。ちょっと待ってください!!」
店主は走っていって、大き目の荷物運び用のかごを3個持ってきた。
「どうぞ!使って下さい!それから、これは運び荷物ですので、よろしくお願いしますね!」
店主はかごだけでなく、荷物もちゃっかり持ってきていた。
荷物運び用のかごを設置して、今日も貨物列車のようになり進んでいった。
進み始めてすぐに周りから声が聞こえてきた。
「おお~~!蛇神様の連結荷運をみれた~!」
「いつ見ても、連結運びはすごいな~」
「まだ、荷物運び用のかごを載せる場所があるな!声かけてみようかな!」
そういった声をBGMのように進んでいくと、小さなキルアントが2名で前に出てきた。
「あ・・あの・・へっ・・・へび・・へびがみさま! お願い・・・お願いがあります。」
右側のキルアントの子供が、震えた声で話しかけてきた。
左側のキルアントは小さな声で右側のキルアントをいさめていた。
「・・・やっぱりやめようよ!怒らせたら、怒られちゃうよ!それに、蛇神様は恐ろしいお方かもしれないし・・・。」
「・・・だって、いま、聞いておかないと、もう聞く機会ないかもしれないして、私、次に話しかける勇気はもうないよ!!」
何か頼みたいことがあるかな・・・。
まあ、出来ることであれば、構わないけどなぁ!
「師匠にお願いなの!?大丈夫だよ!なんでも言ってごらん!!!」
ちょっと!!ギィ!そこは、自分のセリフだろ・・・、しょうがないなぁ。
「よろしいですが、ギィ様。お願いというのは、”連結荷物運びの蛇神様”の背中に乗りたいのです。・・・・・すみませんっ!怒らないでくださいっ!」
もっと大変なことかと思ったら、簡単なことだった。
「師匠!背中に乗りたいって言ってるっすが、良いっすか?・・・それと、自分も・・・。」
「荷物載せているんだから、君たちが乗っても大丈夫だよ!」
ギィの問の最後の方に、チラッっと自分も乗りたいって意味の言葉があったが、今のギィを乗せるのは難しそうだったから、スルーしておいた。
「どこに乗りたいんだ!」
「えっと!あの!・・・どこでもいいです。」
右側のキルアントの子供が控えめに返事をしてきた。
「あのっ!蛇神様私も乗せていただいてもいいですか!?」
背中に乗せるのを許可した後、左側のキルアントの子供はずっと何かを言いたそうにそわそわしていた。
そして、いつ言おうか迷っていたかのような言葉をかぶせるように投げかけてきた。
最初、右側のキルアントの子供をいさめていたから、言い出しにくかったのだろう。
「ああ!かまわないよ!君たちの大きさなら、そうだなぁ~。頭の上はどうだい!」
そういった後、キルアントの子供達はお互いに目を合わせて、一度確認をするようにして、同時に返事をしてきた。
「お願いします。」
「お願いします。」
「お願いっす!」
あれ!今、違うところから声が聞こえた来た。
そう思って、ギィの方を見ると、頭を下げていた。
「ごめんな!ギィ!お前のサイズだと、ちょっと無理かな。」
そう言えば、ギィが生まれて初めての時に背中に乗せて移動したらめちゃくちゃ喜んでいたなぁ~。
あの時に比べると、ギィもずいぶん大きくなったなぁとしみじみとした。
「待たせたな!君たち頭に乗っていいぞ!」
そう言って、キルアントの子供達は頭の上に登ってきた。
「すご~い!めちゃくちゃ高い!きもちいぃ!!」
「こんな高さから見るのなんて初めて!すっごいなぁあ!」
キルアントの子供達を頭にのせて、頭をもたげるとものすごい勢いで喜んでいた。




