52 再戦!ラージバット ③
ラージバットは急降下しながら、ギィのいる方へ向かって行った。
「ギィ!攻撃じゃない!そこから逃げるんだぁあ!」
ギィには、急降下・爪攻撃の時は、反撃するように話していたから、すでに攻撃態勢に入っていた。
「えっ!攻撃じゃ・・・。わかったっす。逃げるっす。」
ギィはそう返事をして、すぐに、左側の広くなっていて、自分に近い方へ向かって、高速移動を開始した。
自分もギィへ逃げる指示を出すと同時に、ラージバットに対して、水弾丸を発射していた。
ダメージ量よりも、ラージバットに当たるまでの速さを優先したかった。
ラージバットは、急降下をしながら、ギィに向かって、すでに魔法を唱えていた。
ウルトラソニックだ!
防御力の高い自分よりも、先にギィを倒すことを、決めていたようだった。
そのためには、同じ攻撃を続けさせるための、おとりとして、1発のウインドカッターが必要だったのだ。
そして、自分はまんまとそのおとりに引っかかてしまった。
ラージバットのウルトラソニックの魔法を唱え終わった。
「水弾丸!当たれぇえええ!!!」
ウルトラソニックがギィにあたらないようにするために、水弾丸を発射していた。
そして、水弾丸はラージバットに命中した。
それにより、ラージバットの意識を分散することが出来た。
「何とかしのげるかぁ・・・!」
ギィも、自分の指示に従い、すぐに、その場を離脱出来ていた。
ギィのスピードが早ければ、ウルトラソニックの影響を受けずに済むはずだが・・・・。
そう期待した・・・。
しかし、ラージバットのウルトラソニックの方が、幾分早く、ギィに影響を及ぼしていた。
ギィの走行スピードが、急激に遅くなってしまった。
「ギィ!ラージバットの攻撃が来るぞ!よけるんだ!」
自分の指示を聞いて、ギィはラージバットの方を向いた。
「えっ!体の動きがゆっくりになっちゃってるっす! あっ!やばい!」
ギィがラージバットの方を見た時には、すでに、ウインドカッターが発射されていた。
ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!
自分からは、距離もあり、ギィを守ることが出来ない。
ギィは進化で防御力も上がっているはずだから、ウインドカッターの1撃位は凌げるはずだ。
だから、ギィが即死することはないだろうと考えた。
しかし、ギィが生き延びた後に、再度攻撃を受けると危険だ。
そのため、ラージバットに向かって、素早さを下げるウルトラソニックをお返しにお見舞いした。
ウルトラソニック!
ウルトラソニックがラージバットに効果を与えるのと、ウインドカッターがギィに命中するのが、ほぼ同時だった。
「ギィ!大丈夫か!」
声をかけつつ、ウインドカッターをラージバットに連射した。
ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!
ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!
ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!
ラージバットは、自分の魔法であるウルトラソニックを受けて、素早さが半減し、混乱していたので、ウイングカッターは全て命中した。
ギィはラージバットのウイングカッターの直撃をうけていたが、何とか無事に見えた。
しかし、状態次第では、迎えに行く必要もあったので、ギィの返事をまった。
待っている時間は、ほんの1,2秒くらいだったはずだが、とてつもなく長く感じた。
にも拘わらず、ギィからの返事は、思いの外軽かった。
「はい!皮鎧があったので、何とかしのげたっす。」
「はぃい!皮鎧だと!まぁ、いい!とにかく1度戻って来るんだ。そして、自分の後ろに入って、ラージバットの攻撃を凌ぐぞ!」
ギィは進化後、防御魔法を獲得していたみたいだった。
そのため、自分の予想したよりも、大幅にダメージ軽減が出来ていたようだった。
「ラージバットから受けた、ウルトラソニック!素早さ減少には効果時間がある。だから、時間内は自分の後ろで待機しているんだ!」
ラージバットは自分から受けた、ウルトラソニックとウイングカッターによって、1度距離をとっていた。
その隙に、ギィは自分のところまで、戻ってくることが出来ていた。
「はい!師匠!素早さが戻るまでっすね!」
もともと、高速移動があったので、素早さが半減しても、ある程度の速さで走れていた。
ラージバットの混乱もあり、追撃を食らうことはなかった。
「今の内にラージバットに追加で、ファイヤーショットで攻撃するんだ!いま、やつは素早さが半減していて、先程の攻撃のダメージで混乱しているぞ!!」
「ファイヤー!ショォット! 3連射!!くらえ!」
ギィはかまえて、ファイヤーショットの連射をした。
自分もそれに合わせて、ウイングカッターの連射をした。
ぼゎ~っしゅ!
ぼゎ~っしゅ!
ぼゎ~っしゅ!
ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!
ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!
ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!
ラージバットがいる場所は距離もあったので最初の数発は回避されたが、ウルトラソニックの効果で半分は直撃出来ていた。
そして、混乱したとはいえ、距離をとったということは、やつもかなりダメージを負っているはずだと思った。
「ギィ!素早さ減少の時間を利用して近くまで行き、そして、2手に分かれて直接攻撃でラッシュをかける。 やつのウインドカッターは自分が凌ぐから、当たらないように注意するんだぞ!」
「はい!師匠!とどめを刺すっす!!」
用心の為、重戦車形体でラージバットの方に向かった。
ウルトラソニックの効果で、ウイングカッターを当てるスピードは自分の方が早かった。
そのため、相殺による衝撃波ダメージは、ラージバットの方に傾いていた。
「師匠!素早さが戻ったっす!!」
「自分が、パラライズニードルをあてるから、その後に、やつをたたき落すんだ!!」
ギィのウルトラソニックを受けたタイミングとラージバットが受けたウルトラソニックのタイミングはほんのわずかだった。
そして、ギィの素早さが戻った今が、直接攻撃をする絶好の機会だった。
自分がジャンプをして、ラージバットに向かった。
ギィも自分のジャンプに合わせて、ラージバットに高速移動で向かって行った。
「食らえ!パラライズニードル!!」
ラージバットの素早さはまだ戻っていなかった。
パラライズニードルをラージバットの胸元に向かって、直撃を与えることが出来た。
ウルトラソニックの効果が続く中、パラライズニードルを受けたラージバットはほとんど動けない状態になっていた。
そして、自分は、パラライズニードルの攻撃後に、自由落下で落ちていった。
落ちていく自分と入れ替わるように、ギィがタイミングに合わせて、死角からジャンプをしていた。
「落ちろぉ!ぶん回し!!!」
大きくなったギィから繰り出されるぶん回しはとてもダイナミックだった。
自分は落下中に、ギィのぶん回しを見ていた。
ドォーーーーン!
ラージバットは、自分を追い抜いて落下し、地面にたたきつけられた。
直後に自分も着地した。
そして、ラージバットに噛み付きとポイズファングをくらわせて、その場を離れた。
上空から、ギィが攻撃態勢のまま、回転を入れて、落下スピードを加速させた。
「爪剛撃!!!!!2連発!!!」
落下スピードと体重を、両爪に乗せて、ラージバットに回転を入れてたたきつけた。
ラージバットの首と体がさよならをすることになった・・・。
この時点で、勝利が確定した。




