51 再戦!ラージバット ②
とにかく、正面のウインドカッターを何とかしないといけないと思い、瞬間的に、ウインドカッターを打ち出した。
キィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!
という、高音ではじけるような音の後、衝撃波が飛んできた。
若干のダメージを受けたが、問題になるほどの強さではなかった。
「自分は以前戦った時より、防御力が上がっているので、ダメージは問題なかったが、ギィ!お前の方は大丈夫か?」
ギィに声をかけながら、ラージバットの動きを確認した。
ラージバットのウインドカッターがウインドカッターで相殺された時の衝撃波は、距離があった為、余裕をもって、かわしていた。
しかし、突然自分の魔法攻撃が消えてしまったことに、動揺しているようだった。
相手が動揺している間に、ギィがラージバットを視界にとらえられる場所まで、前方に進むことにした。
「師匠の真後ろにいたので、ダメージはなかったっす。でも、今のがラージバットと師匠の凌ぎあいっすね。ちょっと驚いちゃいましたっす。」
移動しながら、ギィのケガの有無を確認した。
ラージバットは動揺したのも、一瞬で、すぐにウイングカッターを連射してきた。
自分もお返しにと、ウイングカッターを連射で撃ちだした。
ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!
ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!
ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!
キィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!
キィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!
キィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!
高音ではじけるような音の後、衝撃波は連続で続いた。
まだ、距離があるので、ウインドカッターの相殺はできていた。
しかし、相手は相殺後の衝撃波をよけることが出来ていたが、こちらは、ギィがいるため、よけることが出来ずに、受け止め続けていた。
ダメージは少ないといえど、向こうにダメージを与えることが出来ないと、勝つことはできない。
そこで、一つ目の作戦を実行しようと思った。
「このまま、ウイングカッターを相殺し続けても、ダメージを受けるこちらが不利だ。だから、2手に分かれる最初の作戦を実行する。」
「師匠!無理っす。こんな、衝撃波の嵐の中、あのラージバットを超えることなんて、無理っすよぉ!」
ギィと会話している間も、ウイングカッターがどんどん飛んでくるので、その都度相殺していた。
ステータスを確認すると、HPが約2割くらいダメージを受けていた。
「いいか!よく聞くんだ!自分がウインドカッターを相殺するタイミングに合わせて、ファイヤーボールを打ち込め。ラージバットは、急に飛んできたファイヤーボールを必ずよけるはずだ!!そうすれば、隙が出来る。その瞬間をついて、ラージバットに近づき、そして、後ろに回り込むんだ!!出来るな!!」
ギィは少し涙目になっていた。
自分がそれをすることが出来るのか、少し不安があったのだろう。
「ギィ!お前にはスピードがある。だから大丈夫だ!安心しろ!ただし、衝撃波だけには気をつけるんだぞ!!」
「師匠!わかりましたぁぁぁあああ!!!」
ギィの気合の入った返事が返ってきた。
やる気に満ち満ちていた。
「次のタイミングでいくぞ、合わせろよ!!」
「はい!」
ラージバットから、ウインドカッターの連射が飛んできた。
そして、それに合わせるように、ウインドカッターを撃ち返した。
ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!
ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!
ギィもタイミングを合わせて、ファイヤーボールを打ち出した。
ぼゎ~っしゅ!
ウインドカッターは、相殺され、高音の衝撃波を発生していた。
しかし、その衝撃波の間を縫って、ギィのファイヤーボールが、ラージバットに向かった。
ギィの放ったファイヤボールは、以前見たそれとは違っていた。
ファイヤーボールのスピードが全く違ったのだ。
ウインドカッターほどのスピードはないが、それでも、以前のファイヤーボールの2倍以上のスピードが出ていた。
そのため、ラージバットは、予想外の魔法攻撃とその魔法のスピードに追いつかず、直撃を食らっていた。
ギィに今の魔法について確認しようとしたら、すでに飛び出していた。
ギィは高速移動をしていた。
1発目の衝撃波はジャンプでかわし、2発目の衝撃波は体を低くして、潜り抜けるようにしてかわしていた。
ラージバットがファイヤーボールの直撃を受けていた時には、ラージバットの右下を通り抜けようとしていた。
形勢は逆転した。
ラージバットはギィのファイヤーボールでダメージを受け、自分たちから意識が外れていた。
そして、そのタイミングで再度ウインドカッターを打ち出した。
ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!
ラージバットはギィが自分の側を通過している状況に気を取られて、自分のウインドカッターには、気が付いていなかった。
バシュッ!!
ウインドカッターの直撃をくらわせることが出来た。
「ギィ!よくやった!そこで、後ろを向いているときにファイヤーボールを打ち込むんだ。・・・ところで、ギィ!さっきのはファイヤーボールだったか!?」
「新しいファイヤーボールっす!っていうかファイヤーショットっすね!」
ギィはそう話しながら、ファイヤーショットを連発で発射していた。
ぼゎ~っしゅ!
ぼゎ~っしゅ!
ぼゎ~っしゅ!
何も言わなくても、ギィはすでに2つ目の作戦を実行していた。
「そんなのいつ覚えたんだ!」
自分はラージバットに近づきながら、ギィの方を向こうとしていたので、ウインドカッターを放った。
ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!
ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!
ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!
ギィの方を向こうとしていたラージバットにとって、自分のウインドカッターは完全に死角からの攻撃だった。
3発とも直撃させることが出来た。
攻撃を受けたラージバットは予定通り、自分の方向へ向きを戻してきた。
ラージバットはこちらを向いて、ウインドカッターを放ってきた。
ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!
ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!
ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!
ラージバットのウインドカッターに合わせてウインドカッターを放ち相殺させた。
キィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!
キィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!
キィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!
そして、ギィのターン。
ぼゎ~っしゅ!
ぼゎ~っしゅ!
ぼゎ~っしゅ!
ギィのファイヤーショットがラージバットに直撃した。
「ギィ!このままいけば、勝てるぞ!気を抜くなよ!」
「はい!師匠!」
ギィとの連携に、ラージバットは怒りをあらわにしていた。
そして、直前に攻撃をしてきたギィにウインドカッターを放った。
ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!
しかし、今回は1発だけだった。
少し違和感を感じた・・・。
ギィは、1発だけだったので、軽く、横に飛んでかわしていた。
「ギィ!何か来るかもしれない、気をつけろよ。」
「はい!師匠!」
しかし、ラージバットは自分に背を向けているので、変わらずウインドカッターを連発した。
ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!
ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!
ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!
ラージバットに、自分のウインドカッターが当たる・・・。
・・・そう思った瞬間、ラージバットは急降下を始めた・・・。
自分の放ったウインドカッターは3発とも空を切っていた。
ラージバットは、後ろを向いていたが、自分の攻撃を予想していたのだ。
そのため、ギィに対して、ウインドカッターを1発だけにして、次の攻撃の準備をしていたのだ。
「まずい!ギィ!そこから離れるんだ!いそげ!」




