表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/238

50 再戦!ラージバット

 ギィとラージバットとの対戦に関する打合せを終わらせた後、自分とギィとで、並んで進んだ。

 ギィの進化前は、体も小さく、自分の体に載って移動できるくらいだったが、進化後のギィはサイズも大きくなり、頭を上げて移動している自分とほとんど一緒といっても遜色ないくらいだった。

 スピードも向上していて、自分のスピードについていけなくて、わめいていたころをおもいだして、懐かしく思った。


 暗闇の洞窟へ向かう途中に、ギィに伝えておかないといけないことがあった。

 ラージバットとの対戦に備えるため、ポイズンバット達との闘いは、自分が行おうと思っていた。ポイズンバットによるダメージや毒を受けると、その後の戦いに響く可能性があったからだ。


「ギィ!ポイズンバットはすべて自分が倒すつもりだが構わないか!視界のないところでの戦いで、もしも毒ダメージを受けると、その後の戦いに影響しかねないと思うんだが・・・。」


「よろしくっす!師匠!」


 ギィは戦うかどうか考えてから返事をすると思ったら、即答だった。

 ポイズンバットで少しでもレベルを上げようとは思わないのだろうかと思って、もう一度、聞いてみた。


「準備運動がてら、ポイズンバットと戦闘しておいてもいいと思うんだが・・・。」


「師匠!ラージバットって、めちゃくちゃ強いんっすよね。それを考えたら、もう、ワクワクしちゃって・・・。今の自分がどれだけ通用するか考えるだけで、体の温度が上がっているっす。だから、ポイズンバットは師匠にお任せっす。」


「わかった。任せてくれ。」


 ギィは自分が思っている以上に、ラージバットとの闘いを楽しみにしているようだった。

 その為、ポイズンバットとの闘いは、どうでもいいと考えているようだった。

 自分にとって、ここ最近は、キルアント族の進化に協力するため、支援中心だったから、自分も少し体を動かしておく必要もあったので、丁度良かった。


 ありんこ洞窟から、暗闇の洞窟までの、いつもの慣れた道をいつもと変わりなく進んでいった。

 そして、いつもと変わらない場所に、ヒカリゴケが生えていて、洞窟の壁も何の変りもなく、自分たちを迎えてくれていた。

 ラージバットとは1度戦って、そして、勝利していたからだろうか、特に心配することはなかった。


 しかし、ラージバットは強敵であることに間違いはない。


 一度勝利しているから・・・。

 今度は2人で戦うから・・・。


 だからといって確実に勝てる相手というわけでもない。


 前回のラージバットとの激闘を思い出して、念の為、簡単にシュミレーションを行っておくことにした。

 ラージバットには、毒攻撃はないが、ウインドカッターがある。近接、中・長距離と、どこへでも撃つことが出来る。

 自分は、同じウインドカッターで相殺し、仮に受けたとしても、ある程度はしのげると予想できる。


 しかし、ギィがウインドカッターを食らうと、致命傷になりかねない。


 だから、ギィがウルトラソニックを食らって、素早さの減少した状態で、ウインドカッターを受けることだけは、絶対にさけないといけないと考えていた。


 道中、ギィに念をおしていたが、「わかったっす。」といった軽い返事だった。


 しかし、何か集中している様子は見て取れたので、軽く受け流しておいた。



 ゆっくりと歩いていたが、予想よりも早く、暗闇の洞窟に到着した。



「今から、ポイズンバットを討伐するから、後ろからついて来てくれ。」


 まずは、攻撃準備からだな。


 鋼外殻!

 サーチ!

 ウルトラソニック!


 ポイズンバットの討伐だけなら、サーチとウルトラソニックだけでよかったが、念の為に、鋼外殻も準備しておいた。


 そして、遠距離からの水弾丸(改)槍!の連射を行った。


 水弾丸(改)槍!-----------。


 シュヒュン!シュヒュン!ーーーーーーーーーーーー。


 36匹のポイズンバットを一瞬で倒した。



 こうして、改めて戦うと、素早さを下げるウルトラソニックは本当に強力だった。


 前回の戦いで、このスキルを獲得できたことを、今更ながらうれしく思った。


「終わったな!」


 そう一言つぶやいた。


「師匠!驚きました!師匠が味方で本当によかったっす!」


 ギィは、自分の圧倒的な戦力に、驚きと尊敬の入り混じったような視線を向けて感心していた。



「ギィ!もしかして、自分を強すぎると思っていないか?」


 何となく、そんな気がしたので、たずねてみた。


「思っているっす。師匠は本当にすごいっす。これなら、ラージバットも楽勝で勝てるっすね!」


 自分の戦いが、ギィに取っては圧倒的な戦力差に見えたのかもしれないと思った。

 ラージバットとの闘いでも、余裕があると考えるとそれは油断につながる。

 やつとの闘いで油断すると、それは、死につながるのだ。


「ギィ!間違えてはいけない。自分とポイズンバットの戦力差が大きすぎたわけではないんだ!自分は、ポイズンバットの能力を知っていた。そして、相手の死角になる場所から、連続狙撃を行ったので、簡単に勝てたように見えただけだ!」


 ギィはまだ納得していないように見えた。


「もしも、暗闇の中で、ポイズンバットの位置や能力がわからなければどうなると思う?」


「勝つのは、無理っす。」


 先ほどの、勢いはなくなり、少し沈んでいるようだった。

 しかし、ラージバットとの初戦は、慎重すぎるくらいが丁度いいのだ。


「周りの状況をうまく利用して勝つのは、有利な情報をもっているからだ、情報のない相手にやみくもに突撃すると、それは自殺行為となる。ラージバットとの闘いに、有利な情報は残念ながら無い!」


 ギィの元気がなくなってしまった。


「すまない、少し弱きな発言だった。ラージバットとの闘いは、相手が格上だから、1撃のダメージが強力なんだ。だから、油断しないでほしい。しかし、勝つのは我々だ、そして、勝利のポイントは連携だ!」


 ギィの元気が少し、戻ってきた。


「よし!絶対に勝つぞ!」


「はい!師匠!油断しないように気をつけるっす。そして、連携で勝利っす!」


 ギィは素直だな。

 この素直さと身体能力はギィの武器だな。

 初めてのスライム戦を思い出していた。

 あの時は、調子に乗りすぎて死にかけたが、ギィにとっては、いい教訓となったに違いない。

 だから、今のギィなら大丈夫だろう、そう感じていた。


「ラージバットは暗闇の洞窟を抜ける前に、ウインドカッターで攻撃してくるから、ギィは自分の後ろから出るんじゃないぞ。」


 そう言って、暗闇の洞窟を重戦車形体で進んで行った。

 半分くらい進んだところで、気配察知に反応があった。


「ギィ!そろそろ、やつの攻撃範囲だ気をつけるんだぞ。」


「はい!師匠!」


 ギィは、自分の真後ろから、警戒しながらついて来ていた。


 今回は、ギィと一緒にいるので、隠密は使用していない。

 もしも使用したら、ギィが攻撃対象になってしまう可能性があったからだ。


 

 ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!


 バシュッ!!


 うわ!!痛てぇ!


 ギィの返事があったと同時に、ウインドカッターの強い衝撃を感じた。


 ラージバットからの攻撃の可能性は考えていたが予想よりも早く、ウイングカッターを放ってきた。


 前回より、鋼外殻のランクも上がっていたので、ダメージ的には、減少しているが、連続で受けるのはまずいと感じた。

 現在、洞窟の中央からやや左側を進んでいたので、一度、左にフェイントをかけて右の端から暗闇の洞窟を抜けようと考えた。


「ギィ!暗闇の中だと、やつのウイングカッターをよけれない、だから、一度、左にフェイントをかけて、洞窟の右端を一気に進んで、暗闇の洞窟を抜けるぞ!」


「はい!」


 そう説明して、左に進んで、すぐに右側に進もうとしたところで、再度、ウイングカッターが飛んできた。


 ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!


「ギィ、大丈夫か!」


「危なかったっすよ!」


 何とかギリギリでよけることが出来ていた。


 そして、洞窟の右側を進んで、一気に暗闇の洞窟を抜けた。

 洞窟を抜けた瞬間、正面にウインドカッターが来ていた。


 ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!


 いきなり、連続で打ちすぎだろぉ!


 心の中で叫んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ