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39 キルアント族の進化 繭化と弱体化 

 ポイズンバット討伐 13日目


 ケッセイを除くすべてのキルアント達が繭化したので、この日は、レッドキルアント達がポイズンバット討伐の中心となった。


 ケッセイは、進化の希望を持ったことで、動きに積極性と用心さを備えた動きが出来ていた。


 ギィも先輩らしく、ケッセイに声をかけていた。


「ケッセイ!まずはあなたが攻撃するのよ!倒せなかったポイズンバットは、すべて私が倒すから安心してね!」

「はい!ギィ先輩!邪魔にならないように、精一杯頑張ります。よろしくお願いします」


 ケッセイはギィを尊敬しているような話しぶりが目立っていた。

 ギィも仲の良い後輩のように接していた。


 本当にいつ仲良くなったのだろう・・・。

 それにしても、なぜ、先輩なんだろうか・・・!?

 ・・・トカゲとありんこで種族が違うはずなのに・・・。


 ※     ※     ※


 ポイズンバット討伐 14日目 


「ごきげんようですわ」


 朝、目を覚ますと、そこには、アリスが少し眠そうな感じで、繭の側にいた。

 そして、レッドキルアントに進化していた。

 しかし、外殻は薄ピンク色をしていて、そこに、ヒカリゴケの光が反射して、複数のピンク色のグラデーションを作っていた。

 一見して、キルアント族の硬そうな外殻とは、かけ離れていて、柔らかそうに見えた。


「アリス!きれいだな!」

「師匠!ありがとう存じます。ほめていただいて、とてもうれしく思いますわ」

「だが、その外殻はとても柔らかそうに見えるが、どうなんだ?」


 アリスは何をあたりまえの事を言っているのという風に、自分の体を足で突いて、柔らかさをアピールしていた。


「ほら!とぉ~っても!柔らかいんですの、触ってみてもいいですわよ!」

「アリスちゃん!触ってもいいの?」


 ギィはアリスに声をかけると、すぐに側に近づいた。

 傷つけてはいけないので、最初は、ゆっくりと触れるように触っていた。

 しかし、しっかり触っても大丈夫だとわかると、ぷにぷにし始めた。


「ぷにぷにしていて、柔らかいね!気持ちがいいな。ず~と触っていたいなぁ」


 ギィは何度も何度も、アリスの体をぷにぷにしていた。


「あっ、あっ、もう~、くすぐったいよ~ギィちゃんたら~」

「それにしても、あんなに硬かったアリスちゃんの体はどうしてこんなに柔らかいの?」


 ギィは、疑問に思ったので、アリスにたずねていた。

 自分も、そのことに、とても気になっていた。


「キルアント族は進化後、最初の1日はとても柔らかくて、色も薄い色になるんですの。その後、3日間をかけて、少しずつ、外殻の色が濃ゆくなり、硬さも増していくんですのよ」

「そしたら、ポイズンバット討伐には行けない・・・・・よな?」


 わかっていたが、一応、アリスにたずねてみた。


「もちろんですわ、先ほどの説明の通り、進化後4日間は戦闘はできませんの。体が出来上がったとしても、3日間は新しい体に意識が追い付かないので、訓練が必要になりますのね。結局、戦闘に参加できるのは、進化後8日目からですのよ」

「そうか・・・・。ならば、アリスはしばらくゆっくり過ごすことになるな」

「アリスちゃんがいない間に、ギィは頑張って、レベルアップするよ。そして、私も進化するんだもん!」


 ギィはアリスの姿をみると、とても、嬉しそうにしていたが、一方、先に進化したアリスに早く追いつきたいといった、ライバル心のようなものが、うっすらと見えた。


「私はしばらくお休みだけど、早く戦線復帰して、ギィちゃんに負けないようにしないといけないわね。ふふふっ!」


 ギィとアリスが一緒にいて、仲良くしている姿を見ると、自分もうれしくなる。早く、アリスが戦線に復帰できるといいなと感じた。


 中央広場に到着して、チエさんが私の姿を確認すると、慌てたように向かって来た。


「師匠様!申し訳ありません、現在、部隊編成を行っているんですが、戦士の数をそろえることが出来ないのです。それで・・・・・・」

「レッドキルアント達が繭化し、進化後のキルアント達がポイズンバット討伐には参加できないからでしょう」


 チエさんは、どう説明したらいいか迷っている風だったので、先に思い当たる内容を伝えてみた。


「どうしてそれを!?」

「進化後に戦闘に参加できないのは、アリスに聞いたんです。あと、昨日、レッドキルアント達に印が出たと話していたでしょう」


 そして、頭を上げて、部隊を見回した。


「まあ、みればわかりますが・・・・」

「確かにそうですね。」


 チエさんは一呼吸を入れて、一度、落ち着いてから話し始めた。


「昨日の時点で、ある程度、予測はついていたのですが、ケッセイの進化の件で完全に忘れていました。大変申し訳ありません」

「ケッセイの進化の話は、それほど、重大なことだったということでしょう。それは仕方がないと思います」

「そう言っていただけると、少しは気が休まります・・・。それで、現在の状況なんですが、昨日、印の出たレッドキルアント達は今朝、繭化しました。そのため、本日の部隊編成では、確実に1チーム足りないという状況になってしまったのです」


 朝のアリスから聞いていたおかげで、チームが足りなくなるのは予想できていた。

 もしかすると、キルアントで選抜戦士以外から、キルアント族を集めてくるかもしれないと思っていた。

 しかし、その場合、訓練が十分に行えていない戦士だと命の危険が大きいということになる。

 結果、命の危険を冒すよりも、自分に相談することを選択したんだと考えた。


「大丈夫ですよ!足りないチームの分はすべてギィが補います」

「えっ!そんな・・・そうしたらギィ様の負担がかかりすではありませんか!」

「ギィの今の戦闘能力は、自分の支援も含めれば、すべてのポイズンバット討伐をすることは可能です!それに、それだけでなく、アリスが進化して、ギィは自分も進化するんだと意欲的なこともあり、問題はないかと思います」

「本当にギィ様にお願いすることでいいのですか?」

「はい、慣れないキルアント族を呼ぶよりも、能力のわかっているギィがいる方が、私も安心だからですね」


 すまなそうな表情で、ペコリとおじぎをした後、チエさんは少しほっとした様子で返事をしてきた。


「それでは、よろしくお願いします。」


 ポイズンバット討伐 14日目 部隊編成

 第1部隊 第2近衛バレットアントの3名チエ・チタ・チミ

 第2部隊 レッドキルアント 3名×5列 隊長ツウ

 第3部隊 レッドキルアント 3名×4列 隊長ツエ

 キルアントのケッセイはギィとチームを組むことになった。


 第3部隊 レッドキルアント  3名繭化

 第4部隊    キルアント  8名ケッセイ以外全員繭化

         キルアント  6名弱体化

 第5部隊    キルアント 15名全員繭化


 ※     ※     ※


 ポイズンバット討伐 15日目

 レッドキルアント  6名繭化

    キルアント 15名弱体化


 ※     ※     ※


 ポイズンバット討伐 16日目

 レッドキルアント  9名繭化

    キルアント 29名弱体化


 ※     ※     ※


 ポイズンバット討伐 17日目

 レッドキルアント 12名繭化

 レッドキルアント  3名弱体化

    キルアント 29名弱体化


「師匠様!ついに、ポイズンバット討伐の部隊は、我ら第2近衛の3名、ケッセイ、ギィ様、そして、師匠様の5名になってしまいましたね」


 チエさんが、キルアント族が進化する喜びと、編成部隊の数が減ったことにさみしさを覚えて、複雑な思いを口に出した後、チタが急に話し出した。


「しかし、のう、ケッセイ!お前は進化しないな。どうなっているんだっ」

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