3 異世界とステイタス画面
「うわあああっ!あれっ」
驚いて目が覚めた後、周りを見回してみた。
なんだ真っ暗で何も見えない。
「ちょっと待って!なにっ、なに?どうなってるの?っていうか真っ暗だし、あれ、蛇は?あの白い蛇はどこに行った?」
色んな事が多すぎて、何が何やら分からなくなってしまっていた。
「いや、それよりも、地震は、轟音はどうなった!?」
落ち着け!落ち着け!
っていうか落ち着けない。
そうだ、慌てたときはどうするんだっけ?
深呼吸すればいいはずだ!
すーーーーーーーーーーーーーーっ。
げほっっ、ぶふぇっ、ごほっ、ごほっ、ぶふっっ
現状がわからないほど、慌てすぎて、息を吸い続けてしまい、大きく咽込んでしまっていた。
「深呼吸の仕方を間違えたっ」
吸ってーーーーー!吐いてーーーーー!
大きく深呼吸ができたことで、少し落ち着いてきた。
とにかく、一度、現状を確認することにした。
初めての生徒会委員の仕事である生徒会に出席する為に、紗耶香さんと一緒に教室を出た。
そして、職員室にいる先生のところまで日誌を持って行った紗耶香さんを、中庭でベンチに座って待っていた。
それから・・・そうだ、待っていた時にベンチで30㎝位の大きさの白い蛇に噛まれたんだ。
その後、意識を失って・・・轟音と振動に目が覚めて・・・驚いて・・・・。
「あっ!ああああああああああああああ!そうだった。頭の中で変なメッセージが流れてきて、また、意識を失ったんだ」
これまで自分は病弱というわけではなかった。
まあ、時々、風は引いてしまうが、こんなに簡単に意識を失ってしまうような人間ではなかったはずだけど・・・・・・。
まあ、それはいい・・・・いや、よくないけど・・・!?。
とにかく、頭に流れてきた言葉は・・・・確か『卵の殻壁を獲得!』みたいなメッセージだったな。
で・・・卵の殻壁ってなんだ!?
そう考えた瞬間、真っ暗な中、丁度、目の高さのあたりに明るい画面が現れた。
ロールプレイングゲームに良くあるステータス画面のような一覧表示だった。
ーーーーーーーーーー
【名前】 なし
【種族】 スネーク
【ランク】 G
【レベル】 0
【HP 】 10/20
【体力 】 1
【力 】 1
【知力 】 1
【素早さ】 2
【物理攻撃力】 5
【物理防御力】 10(×2)
【魔法防御力】 6(×2)
【スキル 】
噛みつき ランク1
牙 ランク1
巻き付き ランク1
【特殊スキル】
NEW)卵の殻壁 ランク1
ーーーーーーーーーー
「うわっ、なんだこれっ!ステータス画面じゃないか?」
いや、そんなことよりっ、えっ
「これってもしかして、異世界!」
中学生の時に友人と本の貸し借りや図書館で借りまくって読んだ、あのラノベの世界ってこと?
死んでしまった後に、異世界に転生するって話だよね。
「うえええええええええええええええ・・・!」
じゃあ、あのベンチで蛇に噛まれて、自分は死んでしまったってことなの?
まあ、生徒会委員に出なくてよくなったからいいか!
いや、まって、そしたら、せっかく仲良くなった紗耶香ちゃんとの高校生活もないってこと。しかも、ニックネームは「たぬき」のまま!
なんだそれぇぇぇぇぇ!
って、そんなこと今は関係ないなっ!
あまりに混乱しすぎて現実逃避をしてしまったが、MMORPGをやり込んだ時に必ず行っていた事を思い出した。
自分のステータスやスキルを把握しないとすぐに倒されてしまう。つまり、殺されてしまうんだ。
今は、ラノベの中にある異世界転生、ゲームの世界のように生き返る保証はないのだ。
とにかく、今は、生き残ることを最善として出来ることしなくちゃだっ。
現実逃避でも何でもいいから・・・。
とにかく、落ち着け。
落ち着くんだ。
・・・・・俺、落ち着いたかな・・・。
少しだけ周囲を確認して、とにかく安全だと判断して・・・真っ暗だけど・・・次に何をすればいいか考えてみた。
少し冷静さが戻り、先ほどのステータスの内容を詳しく確認してみた。
えっと、名前はないんだ!
なんでだろうな?
誰か名付けてくれるのかな?
で、種族はスネーク!?って、蛇なの?!
えええっ人間じゃないんだ!
そんなーーー!?
そしたら、美少女に出会ったり、ケモミミに出会ったりは無いってこと。
だめだ、だめだっ、今はそんなこと考えちゃいけない。
・・・・でも、念願の異世界だし・・・・ちょっとくらい・・・いいかな。
いやぁ、だめだ・・・だめだ。
もどれっ。
現実にも・・ど・・れっ!
そんな妄想をしながらも、ラノベの中で転生者はチートもちだから、すげー能力持ってんだろうなと期待した。
そして、ステータスの身体能力をしっかりと確認してみた。
「弱っ!」
なんだぁ、めちゃくちゃ弱いじゃないか。
これって、すぐに死んでしまうんじゃないのかな・・・。
もしかして、死にゲー!ってこと!
かなりがっかりが続いて、やる気がどんどん奪われていった。
いやいや、そういえば、卵の殻壁って新しく獲得した何かがあった。
「そうだっ!これがきっとチートに違いない!」
へぇ~卵の殻壁って「特殊スキル」なんだ。
後から獲得したスキルだからかな。
それで特殊スキルになるのか。
殻壁ってあるからきっと防御系のスキルだと思う。
それに物理防御力と魔法防御力の数値の下に(×2)とあるから、きっと2倍の補正がかかっているんだ。2倍は結構すごいと思う。
「だけど・・・チートとしては微妙かなぁ・・・」
え~~と、種族は蛇で、攻撃手段は噛みつきと巻き付きで~~~、
この2つを武器に生き延びていかないといけいないだな。
まあ、攻撃手段と方法を考えるのは生存率を上げるためにもとても重要だ。
しかし、蛇だと手がないので何かと不便だな。
そう思って、体全身に感覚を伸ばしてみた。
あっ!しっぽ?が右手のような感覚で動かせる。
「このしっぽ?蛇のしっぽでいいのかな。まあいいやしっぽと呼ぼう。なんか右手みたいだな」
右手のように動かせるが、1本しかないので使い勝手はよくない。
・・・でも、まあ、ないよりましか。
パキッ パキッ ピキピキピキーーーーーーバリッ バリッ
しっぽの使い勝手をいろいろ試しながら、卵の殻みたいな壁をつついていた。
すると、急に音が鳴り、ひびが入って外から薄い光が差し込んできた。
これは、もしかして新たなる異世界の幕開けなのかっ!
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