表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/238

24 ありんこが友達? そして 保護?

「ギィ!何をやってるんだ。そいつは敵だぞ!」


「ぎぃ~~~」


 違う!敵じゃない!と懸命に訴えているような気がした。


 しかし、自分はレベルアップの為にありんこを何百と倒してきた。


 そんな自分達を前にして敵じゃないなんて言葉が通用するはずがない・・・。


「ギィの敵じゃなくても、自分はそいつの仲間を何百と倒してきたんだぞ。お前の事を許せても、自分を許せるはずがないじゃないか。そうだろう」


 ギィの気持ちを考えて出来るだけ優しく、ゆっくりと伝えた。


「ぎぃ~~~」


 ならばありんこがかまわないといえば生かしてくれるのと言っている気がした。


 いや、それは無理だろう、そんなこと考えられる訳がない。

 どうしたら、ギィを説得できるだろうか!?

 

 自分が悩んでいると、ギィはジーーーーと黙って見つめて来た。


 ふぅ~仕方がない。


「もしもな、ギィ。ありんこが仲間を裏切ってでも、忠誠を誓うなら生かしてもいい」


 ギィの目が少しゆるんでキラキラしていた。


「だだし・・・自分の前で、そいつに背中を向けて座らせて見せてみろ!・・・もしもそれが出来たならばだ!」


 自分の前で背中を向けるなんて、何時殺されても構いませんと訴えているようなもんだ。


 自然界で生きているモンスターがそんなこと出来るはずがないと思い、あきらめさせるつもりで少し強めの語気でギィに話しかけた。

 

 すると、ギィはまるでそんなの簡単だよとでも言っているように、ありんこの方を向いてしばらく話しをしていた。


「ぎぃ~~~ぎぃぎぃ~ぎぃ・・・ぎぃい」


 本気でありんこを説得しているような気がしたが、いくらなんでも無理だろう。


 ギィが説得している間も、意図的に敵意をあらわにしてありんこをにらみつけていた。


 そして数分後、ギィはありんこを誘導してゆっくりと自分の所までやってきた。

 自分の前までくると、ありんこに道を譲るようにして横にずれた。


 自分は敵意をあらわにした状態を崩さずに様子をみた。


 ありんこはゆっくりと自分の方に歩いてきた。

 ありんこは明らかにおびえて、足が震えている様子が手に取るようにわかった。


 ありんこは正面まできて命を差し出すのかと思ったが、その場でゆっくりと回りだして背中を向けて座り込んだのだ。

 モンスターとして敵に背中を見せるのは死を意味する。

 にもかかわらず正面にいるありんこは自分に忠誠を誓うかのように座り込み、そして震えていた。


 自分はゆっくりと息を吐き敵意を解いた。


 そしていつもの穏やかな声でギィに話しかけた。


「ギィお前の勝ちだ。約束したとおり命は助ける」


「ぎぃ~~~」


 ギィは目をキラキラさせて自分に飛びついてきた。

 何度もぎぃぎぃとありがとうを繰り返している気がした。


 ギィの喜びが落ち着いだところで、ありんこに言っておかなければならないことを思い出した。


「ありんこ。ギィとの約束通り命は助けた。しかし、仲間のところに戻すことはできない。それは、次に会えばお前を殺してしまわないといけないからだ。そうすると、自分はギィとの約束を破ったことになってしまう。わかるだろう?」


「チィー」


 ありんこは頭を下げながらちいさくうなずいてわかりましたと言っている気がした。


 そして、さらに話を続けた。


 しかし、その先の言葉がなかなか出てこなかった。


 一度助けておきながら、この後に伝える言葉が残酷なものだったからだった。


「・・・・自分たちは今後ありんこ討伐を行う予定だ!」


 ありんこの表情が一瞬ゆがんだように見えた。


 それでも話を続けた。


「お前の仲間が倒されるところをこれ以上みるのは嫌だろう。だから、この住処の洞窟いてもいいが、ここから出ていくことは許さない。それが守れないと思うなら、今この場で始末しないといけない。どうする?」


 すぐに返事をすることはできないだろうと思い。

 しばらく、待つことにした。


「チィー」


 しかし、返事はすぐに出てきた。 


 私はすでに仲間を裏切ているから、あなたの言葉に従いますと言っている気がした。


 重たい決断を一瞬で決めるなんて、なかなか潔いありんこだなと感心した。


 いや、もしかするとすでにわかっていたのかもしれないと感じた・・・。


「いいだろう。お前は今から自分たちの仲間だ!ありんことか、お前では呼びにくいから、そうだな・・・ありんこだから・・・アリスでいいか?」


 あれ、なんで女子の名前になった!?


 まあ、いいか!


 ありんこは自分の言葉に一瞬理解が出来ないようだった。


 それもそうだ。


 ついさっきまで殺される状態だったのに、いきなり仲間で、しかも名前まで付けられただんだ。


 ありんこは、いやアリスは混乱している様子ではあったが無視して話を続けた。


「ギィ、アリス。今日はいろいろあったからこの後はゆっくり休むことにしよう。いいな」


 名前で呼ばれたありんこのアリスはまだ慣れない様子だったが、ギィはとても喜んでいる様子でアリスとじゃれ合っていた。


 ギィに友達ができたのは予想外だったがとても喜んでいる様子に自分もうれしくなった。


 しかし、問題がある。


 しかも大問題だ!


 あんなにあっさりとアリスが仲間が倒されることを受け入れることが出来るなんて思わなかった。 


 ありんこ洞窟は必ず通過する時に、ありんこ達のとの戦闘は避けられない・・・。


 ギィがアリスとあんなに仲良くなってしまった。

 

 そんな状態で、ギィが他のありんこ達と戦うことが出来るのか?


 おそらく、いや、間違いなく無理な気がするなぁ。


 困った。


 まあ、今考えても仕方がないか。


 解決できるかどうかも、実際にその場に行かないとわからないこともあるしな・・・。


 とにかく、問題は先送りだ。


 ・・・また、明日考えることにしよう。


 ギィがアリスと遊んでいるのを見ていると、レベルアップした後の自分のステータスの確認をしていなかったことを思い出した。


「そういえば、でかこうもりとの闘いの後、5レベル上がってたんだ。ギィのことが色々とあって後回しになっていたんだった。新しいスキルも獲得してスキルランクも上がっているから、これからのことも踏まえて色々と確認しておこう。よ~し!ステータスでろぉ~」


 久しぶりに、ステータスを呼んでみた。


 ーーーーーーーーーー

【名前 】 なし

【種族 】 ラージスネーク


【ランク】 F

【レベル】 8/15(up)

 NEW)【保護】(+)


【HP】 1345/1345(up)

【MP】 3260/3260(up)


【体力 】 222(up)

【力  】 227(up)

【知力 】 182(up)

【素早さ】 234(up)


【物理攻撃力】 820(up)

【魔法攻撃力】 656(up)

【物理防御力】2600(up)

【魔法防御力】2639(up)


【スキル  】

 噛みつき ランク7(up) 

 牙    ランク7(+320)(up)

 巻き付き ランク7(up) 

 ジャンプ ランク8(up) 

 魔力操作 ランク8(up) 

 隠密   ランク3(MP=30 TIME=60min)(up) 

 気配察知 ランク4(up)


【特殊スキル】

 卵の殻壁  ランク7(×13)(up) 

 水弾丸   ランク7(MP=1)(up) 

 水弾丸(改)ランク6(MP=15)(up) 

 鋼外殻   ランク4(MP=80 TIME=60min)(up) 

 パラライズニードル ランク3(MP=10)(up) 

 ポイズンファング ランク3(MP=15)(up)

 サーチ   ランク3(MP=20 TIME=5min)(up) 

 NEW)ウルトラソニック ランク2(MP=50 TIME=45s)(up)

 NEW)ウインドカッター ランク2(MP=25)(up) 


【耐性】 

 毒耐性 (中)

 麻痺耐性(中)

 ーーーーーーーーーー


 ステータスを見てまず目を引いたのが【保護】の項目だった。


 一体全体【保護】ってなんだ?

 

 保護って加護の間違いか?

 

 そう思って、もう一度見てみたが、やっぱり【保護】で間違いなくて、その横に(+)という記載がなされていたのに気がついた。

 

 何だろうと思い、この(+)を見つめて考えた瞬間、メッセージさんの声が聞こえた。


【個体名:ギィを保護しますか? YES or NO】


 うーん、自分の中ではギィはすでに保護しているつもりだけど、保護すると何か変わるのかなと思いながら、特に問題もなさそうなのでYESを選ぶことにした。


「もちろんYESだ」


【個体名:ギィを保護します】


 お!保護になった。


 ステータスはどうなっているんだろうと思った瞬間、再度メッセージさんの声が続いた。


【個体名:アリスを保護しますか? YES or NO】


「えっ!アリスってありんこのことかな。でも、もう仲間だから、もちろんYESだ」


【個体名:アリスを保護します】


【共有意思:ギィ&アリス】を獲得しました。


「えっ!、今なんて言った。共有意思!?ギィ&アリス!?」


 2人の保護に関するメッセージさんの声が流れた後に、共有意思と言う新しい言葉が聞こえてきた。


 言葉からすると、意思を共有するって事だけど・・・。


 共有意思とは何だろうかと考えていると、「ぎぃ~~~、チィー」と鳴いていた2人のところから、突然、会話が聞こえてきた。


「ねえ、アリス、好きな食べ物って何なの?」

「え~とね!、女王様のあり蜜が好きですの」

「ぎぃちゃんは食べたことありませんの?」

「ないよ?」

「と~てもおいしんですのよ!今度女王様に頼んであげますの?」

「あっ、でも、ラクーン女王様のこと裏切ってしまったんでしたわ・・・無理かも・・・、ごめんなさいね!」

「いいよ、しかたないもん!」


 聞こえてきた言葉に耳を疑った。


「なんだ、なんだ、なんでこんな殺伐とした洞窟の中から、少女の会話が聞こえてくるんだ」


 周りを見回してみたが、側にいるのはギィとありんこのアリスだけだった。


 もう一度確認してみたが、やはり共有意思の効果に違いないと気が付いた。


 しかし、なんで今更モンスターと会話が出来るようになったんだろうか。


 いや違う。


 モンスターとの会話が出来るようになったわけではなく、もともとギィやアリスと意思の共有は出来ていたんだ!


 だから、これまで「ぎぃ~~~」や「チィー」しか話していないのに、ギィやアリスの考えていることが分かったのか!


 ずっと不思議だと思っていたんだよなぁ!


 あぁ~~もっと早くステータスを開いていれば、ギィとうまくコミュニケーションが取れていたのかもしれない。


 そうじゃない、これからコミュニケーションを取っていけばいいんだ。


 時間はたっぷりあるんだから・・・。


 会話が出来るようになったことがとてもうれしくて、ギィとアリスを見ながら微笑んでいたように思えた。


 そして、さっさと残りのステータスを確認した。


 新しく獲得したウルトラソニックとウインドカッターがそれぞれランクが1づつ上がっていた。


 ウルトラソニックの効果が絶大だったのはランクが上がっていたからなのかと納得した。


 そして、ステータスの確認も終わり、楽しそうに話しているギィとアリスの名前を呼びかけてみることにした。


 声をかけるとどんなリアクションをするのかワクワクしていた。


「ギィ!アリス!」


「だれ?」

「だれですの?」


 ギィとアリスは驚いて、同時に声の主を探していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ