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200 (sideアリス)スノウラビット族の子供

ネフューゼ・・・スノウラビット族の子供

ちなみにギィちゃんがついて行ったスノウラビット族とはちがう村です。(⌒-⌒; )

 アリスの前には白い体毛でおおわれていた獣が頭を下げていた。


「ごめんなさい。大丈夫でしたか!?」


 アリスは突然の事で慌てたが、自分が扉の側で聞き耳を立てていた時に突然そのドアが開いて、そのドアが自分に向かって急に迫ってきたために驚いていたことに気がついた。


 それなのに、目の前にいる白い生き物は私に謝って、頭を下げていたのだ。


「いっ・・いや、ちっ・・・違いますの。だか・・・だから、頭を上げて下さい」


 アリスは慌てて目の前にいる生き物に向かって返事をした。


 すると、目の前にいた白い獣(おそらく声からすると女の幼獣だろう)はゆっくりと顔を上げてにっこりと笑顔を返してくれた。


 あっ、この子はスノウラビット族だ。


 頭を上げたスノウラビットは頭に特徴的な長い耳とその内側に赤身からすぐに分かった。しかし、頭を下げている状態ではスノウキャットと見分けがつきにくく、さっきまでの自分の考えが間違えていたのかと少しどっきりしていた。


 だが、スノウラビット族の子供であることがわかり、アリスは少しほっとした。


「あっ、あのぉ~。おっお怪我は大丈夫ですか?村の治療師が応急処置をしたから大丈夫だろうと話していました。そっそれと、これは食べ物です。お口に合うかどうかわかりませんが、召し上がってくにゃしゃい。いっ・・いえ、召し上がって下さい」


 とても緊張しているんだろう。話声も大きく、背筋をピンと伸ばして、まるで練習してきたようなセリフを棒読みで話していた。最後は少し噛んでいたけれど・・・。だけど、この子は安心できるわね。


 スノウラビット族の子はぴょこぴょこと跳ねるように歩きながら近づいてきた。大きな足に、不釣り合いな小さなかわいらしい手、その手には葉っぱを持ち上げていた。


 そして、アリスの目の前までやってきたて、葉っぱにくるまれた食事を丁寧に置いてくれた。


「ありがとう・・・。ところで、よろしければ、あなたのお名前を教えていただけるかしら?」


 名前をたずねると、目の前のスノウラビット族の子供は視線も合わさずにうろたえていた。


 あれ!?

 名前を聞いてはいけなかったのかしら。

 食事をもってきてくれた以上は特に敵対はないと思うし・・・。

 コミュニケーションを取るのは少し早すぎたのかもしれませんわね。

 それなら・・・。


「あっ、もしかしたら言えないことだったのかしら。ごめんなさい・・・」

「いっ・・・いいえ。そんなことはありません。私の名前はネフューゼといいます。族長からあなたの様子を見てくることと、食事を運ぶことを仰せつかっています」


 あぁ、もしかしたら私の事が怖いのかしら。

 キルアント族がこんな雪のエリアにいるはずがないから、きっとこの子は初めて見るんですわね。


「そうなの。ネフューゼさん。ありがとうね。私はキルアント族のアリスといいますの」


 出来るだけ、恐がらせないように注意しながら優しく返事をした。

 名前を呼んで答えると、少しからだから震えがとれたように見えた。


「あっあの・・アリス様ってきっ綺麗な名前ですね。そっ・・それでキルアント族って、こっ・・怖い種族ですか?」

「私が怖くないって言っても信じにくいですが、キルアント族にも子供たちがいますのよ。ネフューゼちゃんよりも小さくてかわいいのよ」

「うわぁ、一度会ってみたいです」


 キルアント族の子供の話をすると、ネフューゼは大きく微笑んでこちらを向いて返事をしてくれた。


 種族が違っても、子供同士はきっと簡単に仲良くなれるのでしょうね。

 一応、私の方も敵対しないということが伝われば、それでいいですわ。

 出来るだけ早く、立場が上の方に話を聞きたいのですが・・・。

 ネフューゼちゃんに頼んで大丈夫かな。


「ネフューゼちゃん。お願いがあるんだけど・・・いいかな?」

「はい、なんですか?アリス様」

「あのね、けがの治療や食事を準備してくれたことのお礼がしたいんだけど、誰に話したらいいのかしら?」

「あっ・・・ごめんなさい。アリス様の目が覚めたらすぐに族長に知らせるようにと言われていたんです。ごめんなさい。すぐに知らせてきます」


 スノウラビット族のネフューゼはぴょんぴょんと跳ねながら慌てて外に走って行った。飛び跳ねる動作に合わせて小さな尻尾がぴょこぴょこと動いていた。


 扉の外にはネフューゼよりも体の大きなスノウラビット達がいったり来たりを繰り返して、口々に「あいつら」「ゆるせねぇ」といった声が飛び交っていた。


 アリスは「あいつら」はやっぱりスノウキャットの事なのかなと考えながら、ネフューゼちゃんが持ってきてくれた食事を食べて待つことにした。


 食事は焼いた肉に白くてトロトロしたものがかかっていた。


 初めて見るものであったし、毒の事を少し警戒しながら白いトロトロのものを口に入れた。入れた瞬間にすぐにこの白いトロトロのものが何かわかった。


 これは、ギィちゃんに食べさせた木の根のような回復薬ですわ。

 こんな風にすりつぶして、別のものと一緒に食べるのがこの場所での食事なのですわね。

 こんな場所でこのような食事を食べれることに感謝いたしますわ。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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