199 (sideアリス)あれ!?敵はどこ!?
「はっ!・・・敵っ・・てき・・・は・・・・・・!?」
アリスは目を覚ますと、飛び起きた。
そして、周囲にいたはずの敵に警戒した。
・・・が、周囲からの攻撃はない。
攻撃がない事にすこし安心すると、なんだか視界が少しぼやけていることに気がついた。
しかし、そんな視界もだんだんとはっきりしてきた。
あれ!?
敵はどこ?
っていうか、ここは土塀に囲まれた・・・・部屋!?
自分の境遇に少し混乱したが、何とか命は助かったということだけは認識できた。
はっ・・師匠!?・・・なの!?
ギリギリで師匠が助けに来たのかと考えたが、それなら側にいるはずだと考えなおして、最後に覚えている状況を思い出してみた。
巨大杉をまわって・・・スノウキャットから逃げた・・・しかし、逃げ切れず・・・・・。
そうだ、スノウキャットの増援が来たんだ!
アリスに一つの疑問が浮かんだ。
命は救われたけど、今はスノウキャットにとらわれているということ・・・ですの!?
ですが、とらわれたとすると・・・その意味がわからないわ。
この・・部屋!?・・・みたいなものは、おそらく牢屋とは別物に違いありませんわね。
どこかの種族の居住区!?みたいに見えますわ。
アリスは周囲を見回しながら、この場所についてしっかりと確認してみた。
周囲に窓はなく、四方を土塀で囲まれていた。
正面を見ると、そこには扉のようなものがあり、簡単に出入りできそうに見えた。
それに、ここは寒くないと感じた。
周囲を確認すると、隣にはたき火の火が燃え上がっていた。きっと、それは明かりだけでなく、暖としての効果があるようだった。
どう考えても過ごしやすい場所であること以外はなかった。
この場所はスノウキャット達が私をとらえられて連れてきたような場所だとは思えませんわ。
だとすると、誰の仕業ですの・・・!?
アリスには心当たりが全くなかった。
そもそも、このラクーン大洞窟の地下2階なんて、一度も行ったことはない。
そんな場所に知り合いがいるはずもなかった。
疑問なことが多すぎて、とにかく現状を確認することを優先して考えていた。そんな折に、右足に痛みが走った為、どうしたのか確認してみた。傷を見てすぐに、先ほどの戦いでスノウキャットの攻撃をかなり受けていたことを思い出した。
意識を失う前はかなりの痛みがあったはずが、今は痛みがほとんどないように感じられた。
そう言えば、スノウキャットの攻撃をかなり食らってそれで意識をなくしたはず・・・。
アリスは慌てて自分の体を確認した。
浅い傷に関してはすでに治りつつあった。そして、少し深い傷の場所には何かの薬草らしきものが塗り込まれていて、傷の見た目ほど痛みがない事に気がついた。
これ・・・・もしかして、治療されていますの!?
っていうか、間違いありませんね。
ですが、なぜ!?
もしくは、何の為に私を助けたんですの!?
アリスはその場からゆっくりと立ち上がり、足の動きを確認した。
わずかに痛みはあるが、移動できないことはないですわ。
手足をふって痛みや動きを確認が済むとゆっくりと扉のような場所に向かって歩みを進めた。
アリスがゆっくりと扉に近づくと、この建物の外側が何か騒がしくなっていることに気がついた。自分の意識が戻った事に気づかれるのも心配だったので、無音を発動して外の騒音に意識を向けた。
とにかく現状の把握に努めるべきですわね。
この場所が私に敵対するのかどうかを確認しないと自由に移動する事すらできませんわ。
それにしても何が起きているのでしょうね。
「・・・やられた・・・あいつら・・・・どうして突然・・・最近・・・でも、単独のはず・・・・」
外は数名の者たちが行ったり来たりしながら、騒いでいた。
はっきりとは聞こえなかったが、おそらく、この村のものが何者かに殺されたようだ。しかも、単独ではなく群れを作って攻撃を仕掛けてきているようだ。
アリスは一つ気になっていたことを思い出した。
それは、スノウキャットはそもそも単独で行動する魔物だった。自分が学習して得た知識としてそうだったはずだ。しかし、今回追い詰められた時は集団で攻撃を受けた。
そう、自分が知っているスノウキャットではなかったのだ。
そうすると、今外で話している状況について、もしかするとスノウキャットの事について話をしている可能性が高い。そう、アリスは考えた。
だとすると・・・今話している種族はスノウキャットと敵対していると考えられる。
残念ね・・・・そんな情報はこれまで習っていないので分からないわね。
だけど、スノウキャットではないことは間違いないですの。
つまり、助けられたと考えてもよさそうですわね。
・・・う~ん。
このどさくさに紛れて逃げ出してしまってもいいのかしらね・・・・。
だけど、何も言わずに逃げ出してしま・・・・・ドンッ!!
きゃぁっ!!
「うわあぁぁぁ・・・・・っ!!ごめんなさいっ!」
最後までお読みいただきありがとうございます。