198 (sideアリス)もう一匹・・・
も~ぉ、パラライズニードルはスノウキャットに効果があったのかしら!?
確認したいけれど・・・。
もう1匹いるからそんな時間はありませんのっ!
アリスは足音から2番目に来ていたスノウキャットとは距離が離れていることに気がついていた。足音からの推測なのでどれくらい離れているかははっきりとは分からなかった。
そもそも、通常の速度で走っても簡単に追いつかれるわけではなかったので、自分とそれほどスピードに開きがあるとは思わない。
だから、ラッシュウォークで速度を上げている今の自分なら必ずもう一匹の後方に追いつけると考えていた。
スノウキャットが2手に分かれてたということは、きっと、私の逃げ道をふさぐつもりだと思う。
だから、予定の場所に私がいないときにスノウキャットがどういった行動に移るかが心配だった。
まあ、なるようにしかなりませんわね。
ふふっ、ギィちゃんがうつっちゃったみたいですわ。
あそこまで行けば、きっとスノウキャットが見えるはずっ。
ギィちゃんの事を思い出しながら、アリスは全速力で走った。巨大杉は直径が10~12m位あるので全速力で走っても数秒は時間がかかる。
スノウキャットはまさか反撃してくるとは思わないだろうということを想定として行動していた。
早く・・早く・・・早く走らないと・・・。
アリスは目標の場所までもう少しというところで、攻撃態勢を作った。
アリスの魔法攻撃は基本お尻の先のとがった所から酸性弾、麻痺弾、幻影弾を発射する。
そのため、攻撃する時には頭を下げて、お尻の先を前に向けないといけない。
そして、この態勢だと移動速度が下がってしまうのだ。
さらに、方向転換の速度も下がってしまう。
ある程度の距離があり、移動の少ない状態か、目標が見えている状態であれば効果的に攻撃に移ることが出来るのだった。
その点では、今回は相手の姿が見えない。しかも、追いかけている状態だった。それは、アリスの判断ミスが危険な状態に陥っていしまう。
しかし、今回は安全な攻撃手段を取ることはできなかった。
そもそも、イチかバチかの作戦だった。
何とか、最初の1匹は不意打ちで仕留めることが出来たが、2匹目に不意打ちは無理だろう。
だから、後方から予想外の攻撃を仕掛けるしか方法が思いつかなかったのだ。
仲間の様子を確認しに行ってくれると嬉しいのですが・・・。
とにかく今できることは最速でもう1匹に追いつくことですわ。
アリスはスノウキャットの知能が低い事を期待して進んだ。
アリスは走りながらも念の為に、最悪の場合どうするか考えていた。
しかし、この距離では大したことを考える間もなく、巨大杉の反対側を通り過ぎた。
しかし、そこから見える場所にスノウキャットの姿はなかった。
よし、まだ気づかれていない。
アリスはお尻の先にあるとげの先端からいつでも魔法が発射できる体制を取りながら進んでいた。ただ、予定では巨大杉の反対側を通り過ぎたところで、いずれかの向きで左のスノウキャットの姿をとらえるのではと考えていた。
もう少し先かしら・・・。
アリスは姿が見えないことに若干の不安を感じた。もしかすると、スノウキャットのスピードがアリスの考えるスピードよりも速かったかもしれない。
ラッシュウォークを使っている私よりもスノウキャットが速く移動できるとは到底思えませんわ。
一体、どういうことですの!?
もしかして、スノウキャットもラッシュウォーク系統の魔法が使えるということなの!?
そんなことを考えつつ、気がついたら先ほど私がいた場所が見えて来た。
そして、そこにはスノウキャットの姿が見え初めていた。
ようやく、追いつい・・・・ちがうっ!
アリスは急ブレーキをかけてストップしようとした。
しかし、全速力で走っている状態から急ブレーキをかけても簡単に勢いをそぐことはできない。それでも、出来る限り勢いを消そうと頑張った。
アリスの正面に見えていたのは、スノウキャットの背中ではなく、自分を迎え撃つ為に正面を向いて攻撃態勢に入っていたスノウキャットの正面だった。
まずいですわ・・・。
後ろに下がらないと・・・。
アリスはそう考えて下がろうとしたが、正面にいるスノウキャットはすでに口を開けようとしていた。このまま下がっても間に合わない。
今の状況では反撃しても・・・。
仕方ありません36計逃げるにしかずですわね。
アリスは巨大過ぎに沿って走るのを止めて、まっすぐ走り抜けることにした。スノウキャットの射線を横目に見ながら、いきなり攻撃を食らうということはなかった。
初撃は・・・・である。
スノウキャットはすぐに射線をアリスに向けて調整していた。
バシュゥッ!!バシュゥッ!!バシュゥッ!!バシュゥッ!!
アリスは前後左右ジャンプを繰り交ぜながらスノウキャットの攻撃を逃れようと奮闘した。
アリスも何とか反撃したが、避けるのが精一杯で大した反撃とはならなかったが・・・。
そして、次第にアリスは攻撃を食らい続けた。
次第に疲労も蓄積し、体の痛みも増してきた。
ラッシュウォークでの移動もそろそろ限界が来ていた。
そして、もうろうとする意識の中で、反対側からさらに複数の敵の姿が見えた。
・・・これが、絶体絶命ですわね。
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