193 (sideギィ)アンデス
コロナに大雪に大変な状況です。
日本はどうなっていくのでしょう。
スノウラビット族 アンデス 衛兵隊長
「誰だっていってるだろ?」
ギィは突然現れてきた白い敵!?が笑顔で話しかけてきたことで混乱していた。
さっき迄自分を殺そうとしていた白い敵!?が、まるで敵ではないから安心してとでも言っているような様子に危機感を感じた。
目の前の白い敵から目を離さずに、ゆっくりと周囲を観察した。
目の前にいるのは1匹だけだ。
後ろから追って来ていた白い敵はもういない。
正面から来た白い敵!?の集団は6匹で、最初の白い敵を追い払ったみたいですでに自分の方を向いて向かってきている。
後ろから攻撃されたらもう終わりだ。
でも、正面の敵を捕まえればもしかして何とかなるかも。
ギィがどうするか考えていると、正面の白い敵!?が1歩前に歩み出てきて声をかけて来た。
「僕の名前はアンデスだ。スノウラビット族の衛兵隊長を任されている」
「あの・・・いや、おまえっ。敵なの・・・いや、敵なのか!?」
ギィは正面の白い敵!?のはずが、笑顔で話しかけてきたことで、混乱してしまっていた。
敵だったら倒さないといけないけど・・・。
でも、今戦っても勝てる見込みないし・・・。
優しくしてくれるなら友達になれるのかな・・・。
「敵じゃないよ。周回偵察をしていたらスノウキャットの群れがいたので蹴散らしに来ただけさ」
スノウラビット族!?・・・スノウキャット!?・・・同じに見えたけど、もしかしたら別の種族なのかな!?
ギィは半分以上信用しかかっていた。助けてくれたということは敵じゃないと思い込んでいた。
「それで君はスノウラビット族のアンデスというのか?」
「うん。そうだよ。安心してもらっていいよ。君を攻撃することはないからね」
正面のアンデスは優しく語り掛けて来た。最初にあった時の笑顔を崩さずにやさしさを全面に出していた。
あれ、このアンデスは信用してもいいのかな!?
攻撃してこないって言ってるし、大丈夫なのかな!?
「攻撃しないってっ・・・本当の事?」
つい、正面のアンデスに気を取られていたが、気が付くとギィの後方にはアンデスの仲間の6匹がギィを取り囲むように配置されていた。
しまった。まずい状況なのかもしれない。
どうしよう。このまま、アンデスを信用してもいいのかな!?
あ~~~、もう、分からない。
やめた、やめた。
考えるのやめた。
ギィは体から緊張を緩めて、その場に座り込んだ。
アリスとはぐれた後、ずっと戦闘に次ぐ戦闘で体を休めることが出来ないでいた。そのためギィは疲労がたまりすぎて、ただでさえ考えるのは苦手なのに考えることに困っていた。
ギィが力を抜いたことで、正面のスノウラビット族のアンデスはさらに近づいてきた。そして、ギィに手が届くところまでやってきた。
「よいしょっと。君の名前を聞いてもいいかな?」
アンデスはギィに声を掛けると、その場に座り込んだ。
「私の名前はギィだよ。君は攻撃してこないと考えていいんだよね?」
「へぇ~、ギィっていうんだ。それに君はリザードだよね?」
「リ・・リザード!?・・って、それより攻撃はしないんだよね?」
はっはっは・・ふふっ・・わはははっ
スノウラビット族のアンデスは急に笑い出した。
「君は面白いね。この状況を見たらわかると思うんだが・・そうだよ。攻撃はしない」
「わかった。安心したよ。でも、アンダスだっけ。君はなんで私を助けてくれたんだ?」
ギィは真剣な目でスノウラビット族のアンデスに尋ねた。
「まず、確認だけどね。僕の名前はアンデスだから、アンダスじゃないからね。よろしく。それと、その前に、君・・いや・・ギィちゃんかな!?君はこの極寒の地でどうしてそんなに元気に動けるんだよ!?」
アンデス!?アンダス!?別にそんなのどうでもいいじゃんか。
だけど、このアンデスはどうして私の質問に答えてくれないんだよ。だいたい、色々と質問されるとわけわかんなくなっちゃうんだけどなぁ。
「そんなの別にどうでもいいじゃんか!それよりも、どうして助けてくれたのか教えてよ?」
「困っているようだったから、助けたんだよ。それが理由さ」
アンデスは笑顔を崩さずにすぐ側まで近づいてきてゆっくりと話しかけてきた。
「・・・それでいいよね。ギィ~ちゃん!」
なんなんだよ。こいつ。さっきからなれなれしく、ギィちゃん、ギィちゃんって呼びやがって本当に信用できるのかな。
でも、助けられたのは間違いないんだし・・・。
もういいや。
面倒だから、ちょっと信用してみることにしよう。
「うん。いいよ。それで、これからどうするんだよ?」
少しぶっきらぼうな言い方だったけど別にいいよね。
「ギィちゃん、君を歓迎する。安心してついて来てくれればいい」
アンデスはそういうとすぐに背中を向けて歩き出した。
(もちろん歓迎はするけど、普通の歓迎とは違うかもしれないけどね)
ふふっ
不敵な笑みを浮かべたアンデスがつぶやいた声はギィにはまったく届いていなかった。
ギィはアンデスのすぐ後ろを歩き、その後ろからは仲間のスノウラビットたちがついて歩いて来ていた。
周囲の雪は変わらず降り続いていて、どこに向かっているのかは分からなかったが、師匠が言っていた道からはきっと離れているんだろうなと何となく感じていた。
もう、なんかこのアンデスってのは嫌な感じがするんだよね。
こんな時に師匠やアリスちゃんがいればどうしたのかなぁ。
あ~あ、みんな元気かなぁ。
お腹すいたぁ。
ギィは上空にまっすぐそびえ立っている巨大杉を見ながら、気がついたら心配事はすでに変化していた。
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