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189 もしかしてこれって怒られているの

いやぁ~ 久しぶりの投稿ですね。

まだ、読んでくれる方がいるかわかりませんが、もしよければ読んでいただければ幸いです。

お休みが続きますが、最後まで進められたらいいなと日々考えております。

中々、先に進めませんがゆっくりお願いします。


スノウラビット族


アナベルさん・・・白熊討伐派(かつて白熊と何度も戦ったが、その都度惨敗してきた)


アイーダさん・・・犠牲享受派(グレートリザードと白熊にそれぞれ生け贄を出す)


トレールさん・・・年老いた白いトラ(双方のスノウラビット族とも共存している)

「う、嘘でしょ!そんなの考えられない・・・」


 側にいたアナベルさんは信じられない物を見た時のように目を見開き、真っ直ぐに視線を向けてきた。


「師匠君、その話は本当なのか!?」


 少し後ろから話しを聞いていたトレールさんも我慢できなくなったようで、グイッと前のめりになって、話しに参加してきた。


「あなた達ちょっと待ちなさいよ。今は私が話をしているでしょ!」


 アイーダさんは必死で後ろから横切ろうとしているトレールさんとアナベルさんを抑え込んでいた。


 あれ、先ほどまでは自分の話はどうでもいい風だったのに・・・・。


 みんな、自分に注目って・・・・


 ・・・だけじゃない。


 近っ!


 近!


「ちょ、ちょっと皆さん、近づきすぎですってばっ・・・、あああぁぁぁっ!」


 フギュゥッ!


 アイーダさんやアナベルさんと話をするために頭を下げていたところに、アイーダさんもろとも、みんなで乗っかってきた。


 モフモフの毛皮と柔らかな体の感触で大して痛みはなかった。


 ・・・っていうか、どちらかというと柔らかくて気持ちよかった。


「ほっと、ひふぁさん。ほいへくはさひ!(ちょっと、みなさん。どいてください!)」


「ごっ、ごめんなさいっ!」


 アイーダさんは顔を真っ赤にして、倒れ込んだまま謝っていた。


 かっ、顔、近っ!


 近くで見るアイーダさんは恥ずかしそうにして、目を逸らしたまま慌てていた。最初は意地悪なウサギとしか思えなかったけど、近くで見ると綺麗な顔をしていた。


 まあ痛くもないから、暫くこのままでも良いんだけど、そうもいかないよな・・・。


 一番上にいたトレールさんはアナベルさんに押されるように立ち上がっていた。


「おお、すまんすまん。年甲斐もなく驚いてしまったわ。はははっ」


 ゆっくりと体を起こしながら豪快に笑っていた。


「ちょっと、もうトレールさんさんてばっ!こっちに来すぎですってっ!体が大きいんだから気をつけてよねっ」


 アナベルさんはトレールさんとアイーダさんに挟まれて苦しそうになりながらもトレールさんに向かって、顔を真っ赤にして文句を言っていた。


「もう!痛いじゃないのっ!気をつけなさいよっ。あなた達っ」


 アイーダさんばアナベルさんとトレールさんの重みが軽くなると、背中で押しのけるようにしてやっぱり文句を言っていた。


 ふわふわでモフモフのまるで羽毛ぶとんのようなアイーダさんなら、もう少しこのままでもいいと思った。


 あぁちょっと残念だったな。


「・・・・いてるの・・・聞いてるのって言ってるでしょうが・・・」


「うん・・・なに?」


 モフモフの毛皮の余韻に浸っていたらアイーダさんが自分に向かって何か文句を言っていた。


「みんなのせいで邪魔が入ったけれど、さっきの話よ。本当にあなた白熊と互角に戦えるの!?嘘なら許さないからね」


 まるで少し前の恥ずかしそうな表情はなかったかのように、アイーダさんは普通に喋っていた。


 まあ、互角に戦えるかどうかはわからないが、追い返したのは事実だ。


 それに、心配症のアイーダさんに正直に伝えてもさらに心配させるだけかもしれない。白熊にはきっとまだ見せてない奥の手があるに違いないと考えつつも、そこは置いておくことにした。


「はい、事実ですよ。もしかすると自分の攻撃にビビッて逃げたかもしれないですね」


 すこし大げさすぎるかなと思いながらも強気の内容で伝えてみた。


「はぁ~。あの白熊が逃げたっていうの?なんだか嘘っぽいんだけど・・・」


 やばっ!少しやりすぎたかな・・・。


 強きの発言で安心させようと思ったんだけど、少し疑いの目で見られているような・・・


「アイーダさんや!私から少し師匠君に話を聞いてもいいかの?」


 何かを考えるかのように目を瞑ったまま傍観していたトレールさんがアイーダさんに断るように話を持ち掛けて来た。


「ええ・・・まぁ・・・もう、知らないっ!」


 アイーダさんは少し拗ねた(すねた)ようにしながらもしぶしぶ答えていた。


「師匠君に聞きたいんじゃが・・・何とか逃げてきたというのと、追い返したというのでは、ちーと話が違ってくるんだがな。間違いなく白熊を追い返したと考えていいのかの?」


 あれっ、もしかしてこれって怒られているの・・・。


 トレールさんの目が保護者っていうか、なんだか少し戦士の目になっているような・・・いないような・・・。


 もしかして、少し強気の発言が過ぎたのかな・・・。


 でも、全部嘘っていうわけではないし・・・。


 あーーーっ、こんな腹の探り合いなんて無理だ。


 うん、無理だ。


 でも、ここまでアイーダさんとアナベルさんの信用をえられているような気がするから・・・それに乗っかるような形で話すしかないよね。


「まあ、そうですね、白熊との戦いの結果は・・・・・白熊の方が去って行きました。実際の所ギリギリだったんですがね。あと、少し粘られたら、ここで話をしていなかったかもしれません。はははっ」


「そうならそうと初めから言ってくれ・・・・いや、師匠君は逃げきってきたなんて一言も言ってなかったのう。わしが、そう・・勘違いしていたんじゃろう」


 トレールさんは先ほどの会話の内容を思い出すように一度目を閉じていた。そして、会話の内容を思い出した後は素直に状況を理解してくれていた。


 いやぁ~怒られているのかと思ってひやひやしたよ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 楽しく読ませてもらってます!!
[一言] 読んでますよ!
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