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184 ウサギのアイーダさんとアナベルさん。

 もうだめだ!


 白いトラの輝く爪がり下ろされる。


 と思ったが、その腕は振り下ろされることなくそのまま地面に降りていた。


 状況が呑み込めず、呼吸をするのを忘れてしまうくらいだった。


 2匹のウサギは相変わらず「ニィニィ」と叫んでいて、その前に、やさしい顔をした白いトラがいた。


 何が起きているんだ。


 さっきまで、鬼の形相で向かってきていた白いトラが優しい顔の白いトラに変貌していた。


 そして、2匹のウサギに対して、手を差し伸べていた。


 2匹のウサギは差し伸べられた白いトラの腕に上り、自分の尻尾からゆっくりと地面に降りていた。


 地面に降ろされると、2匹のウサギはこちらを向いて「ニィニィ」と騒いでいた。


 何を話しているのか分からないんだけどなぁ。


 どうも、この世界の言葉を話すことが出来ないようだ。


 そうだ、保護してみよう。


 ギィとアリスを保護したときに話が出来るようになったので試してみることにした。


 まずはステータスを開いて、


 ーーーーーーーー

【保護】 (ギイ&アリス)

 ーーーーーーーー


 それから、保護のところを見つめた。


 リルの時と同じようにして(+)がないので(ギイ&アリス)を集中して眺めてみた。


【個体名アナベルを保護しますか?YES or NO】


 おっ!出た。

 でも、アナベルってウサギの事でいいのかな。


「インフォさんYESでお願いします」


【アナベルを保護しました】


 保護できたよ。


 仲間でなくても、名前が分からなくても問題ないみたいだな。


【個体名:アイーダを保護しますか? YES or NO】


 会話が出来ればいいから、別に保護しなくていいや。


「インフォさんNOでお願いします」


 共有意思拡張でアイーダとそれから、目の前の白いトラまでイメージを広げてっと。


 よし、これでいいはずだ。


「えっと・・あの・・・アナベルさん」


「えっ、何?なんで急に話せるようになったの。それとも、今までは話せない振りだったの・・・。まあ、いいや。とにかく、あなたはなんでいきなり私たちをさらったりしたのよ」


 会話が出来るようになると、ウサギのアナベルさんにいきなり怒られた。


「えっ・・・あの・・・す、すみません。です・・」


 返事をしようとしたら、話終える前にアイーダさんがすごい剣幕で話しかけて来た。


「そうよ、それにあなたは誰なんですか。いきなり、出てきて、恩人のトレールさんから私たちをうばったりして、どういうつもりなのよ?」


「ですか・・」


「だいたい、あなたはどこから来たの。私たちの事と何か関係があるわけ?」


 すると、アナベルさんは自分の返事を聞く前に、いきなり怒鳴り続けられて話をしようとしても聞いてくれなかった。


「おいおい、アナベルにアイーダよ。そこの蛇さんが話をしようとしているから少しは聞いてあげたらどうだ!」


 アナベルとアイーダの会話に割って入るように白いトラのトレールさんがゆっくりとした重低音で響きわたる声で話しかけて来た。


「わかったわよ。なら、話なさい」

「トレールさんがそこまで言うなら聞いてあげるわよ」


 ウサギのアナベルとアイーダは何か不満な感じだったが、自分の話を聞いてくれることになった。


「あっ、はい。すみません。私はこのラクーン大洞窟の地下1階から降りてきました。先ほど、白熊に襲われて仲間たちとははぐれてしまい。さまよっていた時に、ウサギが白いトラに襲われていると思い。助け出した・・」


「はぁ~!何言ってんのよ。助けたんじゃなくて、さらったんでしょ。そして、そのまま、この私たちを食べようと思ったんでしょうが、素直に白状してしまいなさいよ」


 助けたという言葉にアイーダさんは怒りもあらわに話に割って入ってきた。


「だから、アイーダよ。その兄さんの話を最後まで聞いてあげろって言っているだろうが・・」


「わかったわよ。さっさと話しなさい」


 少しイラっとするほど、わがままなウサギ達だと思いながらも、話を続けることにした。


「助け出したつもりだったんです。それに、アイーダさんやアナベルさんとは会話が出来なかったから、何を話しているか分からなかったんですよ」


「わからないって、今話しているじゃない」


 アナベルさんが突っ込んできた。


 このウサギさんたちはどうして人の話をゆっくり聞くことが出来ないんだろう。


「あの、自分のスキルで保護するとその種族と会話が出来るようになるのです」


「保護って、そういえば、何であなたは私の名前を知っていたのよ」

「そうよ、私は名乗っていないのに、なんであなたは私の名前をしっているの」


 このウサギさんたちとはゆっくり話せないのかな。


 すこしめんどくさくなってきたが、答えないわけにはいかないので答えることにした。


「私のスキルで保護する時に、名前が出てきたのでわかりました。すみません」


「そうなの、それなら仕方ないわね。いいわ、許してあげる」


スキルの力でと返事をしたら、2匹はすんなり理解してくれた。


「今回は特別だからね。今度は許さないから」


 理解はしてくれたが、やっぱりこのウサギさんたちはいちいち突っかかってくる。


 もう仕方がないとあきらめて返事をした。


「ありがとうございます。これからは気をつけます」

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