181 白いトラ怖えぇぇ。
白いトラはものすごい形相で追いかけて来た。
まあ、そうだ。
こんな大雪の中でようやく見つけた餌を、どこの誰とは分からない蛇にかっさらわれたんだから、当然といえば当然だった。
別にこっちは命を救っているわけだし、悪いことはしてないんだけどな!
白いトラから受ける気持ちをそらすように適当に正当化してみた。
命を救ったものの、2匹のウサギを背中に乗せてのジャンプは思った以上にしんどかった。
ただ、救いがあるとすれば、巨大杉の間隔が広かったことで、ジャンプしても木が邪魔にならなかったことぐらいだ。
第3の目で後ろの白いトラを見ると、変わらず猛スピードで走っていた。
白いトラと自分との間隔がだんだんと近づいてくる。
あのサイズの猫が、猫のスピードで走ったら想像出来る位のスピードだ。
そら速いわな!
こっちは必死で連続ジャンプを繰り返して距離を稼いでいるんだが・・・。
そんなことはお構いなしに白いトラは追いかけて来た。
何だか、なりふり構わずって感じで追いかけてくる。
このウサギはそんなにうまいのか!?
それともプライドか?
もうあきらめてのいいんじゃないのか?
こっちは背中に乗せている2匹のウサギが落ちないかを気にしながらの連続ジャンプで精神力もすり減らしているんだから許しておくれよ。
少しづつ近づいてくる白いトラの形相が怖すぎて折角救ったこのウサギを何度も放そうと思ったが、がんばった。
自分、とんでもないくらい頑張った。
ただ不思議なのは距離が近づいていても、トラから遠距離攻撃はなかったことだ。
「もしかして、あのトラは魔法で攻撃できないのか。それとも、走りながら魔法を撃てないとか!?それなら!ジャンプしながらの魔法は制御が難しいんだが・・・まあ、当たらなくてもいいんだ」
こっちは、2匹のウサギを胴体部分に抱えていたが、魔法を使う尻尾の先は自由に動かせる状況にある。
であれば、当てることは難しくても、近くを狙ってあのトラに牽制できればいいんだ。
そう思って、ウルトラソニックを唱えた。
「この距離だと難しいか・・・」
効果範囲の中にいるはずだとは思ったが、移動中ということもあり、効果はなさそうだった。
それなら、ウインドカッターだ。
移動してくる白いトラに向かって、ウインドカッターを連発した。
少しでも、当たる確率を上げる為に、着地したタイミングで横に連ねるようにした。
白いトラは軽々と飛び越えて来た。
やっぱりトラの回避力は高いな。
2匹のウサギをかっさらった時に、何とも言えない強敵のオーラを感じていた。
もしかして手を出したらいけない相手に手を出してしまったのかもと、後悔した。
でも、助けてしまったものは仕方ないしっ!
ジャンプしながらどうするか考えた。
もっと広範囲で、それにダメージは無くてもいいから・・・そうだ。
水弾丸(改)網!
倒せなくてもいいから、少しでも距離を開けられるものでよかった。
いくらなんでも広範囲魔法であれば、避けるのは難しいだろうと高をくくっていた。
このスピードでの水弾丸(改)網であれば、あの白いトラであっても絡み取られて距離を開けられるはずだ。
もしかすると、この隙にあいつが自分達を見失ってくれるかもしれない。
そうすれば、一息つくことが出来る。
網状のものが、白いトラを包むように向かっていったのに、トラはスピードを緩める気配がしなかった。
よし、これで間違いなく水弾丸(改)網でとらえた。
その瞬間、白いトラの体が少しぶれたように見えた。
あれっ、なんか目がおかしいのかな。
そして、白いトラはすり抜けるように水弾丸(改)網がトラの後ろをそのまま流れて行った。
ちょっと待て!
なんだあれ、あのトラのスキルなのか?
魔法を通り抜けるスキルなんて聞いたことがない。
まあ、テレポートみたいな魔法があれば・・・。
・・・って、そう言えば、つい先ほど、白熊がそれらしき移動方法で動いていたなと思いだした。
何なんだ、このエリアはみんな瞬間移動が出来るのか!??
無茶苦茶じゃないか。
こんな無茶苦茶な敵からどうやって逃げたらいいのか。
この2匹を見捨てるか!
いや、そんなことはできない。
ここまで来たら、この2匹を守りながらできることを探すんだ。
1つで為なら色々と組み合わせれ見ればいいじゃないか。
水弾丸(改)網!
そして、ファイヤーボールだ!
何かすり抜けるスキルとすれば、タイミングをずらして水弾丸(改)網を越えた後に、ファイヤーボールが来れば、それは避けられないだろう。
しかし、白いトラは先ほどと同じ様に少しだけ体がぶれた後は、すり抜けるように、水弾丸(改)網もファイヤーボールも通り越した。
やっぱり瞬間移動なのか。
そんなスキルを持っている敵とは絶対に勝てるはずがないじゃないか。
それに、あれ、近接戦闘はやばすぎる。
見るからに近接戦闘タイプだよ。
牙も爪も鋭すぎていた。
色々試している間に、距離が縮まっていた。
なんだよあいつスピードが全く弱まっていないじゃないか。
それどころか、スピード速くなってないかぁ!?
近くから見えてくる白いトラの表情はとても険しかった。
あいつ怖えぇぇよっ。
単発魔法では当たりそうになかった。
なら、数で勝負だ!
水弾丸(改)網!とニードルショットぉぉおお!
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