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179 (sideギィ)白い敵と挟撃

 周囲の雪は変わらず降り続いていた。

 風は少し減っているように感じたが、気のせいかもしれない。

 薄暗さは変わらないため3本目の木はうっすらと見える程度だった。

 そのため、視界は周囲100m程度見えればいい方だった。


「はぁ~~、方向はこっち側で合っているのかな」


 ギィはどちらの方向を見ても雪と木しか見えない状況にため息をついていた。


「さっき倒した白い敵の木があれでしょ。それで、私の隠れていた木があれ、その前があれだから・・・あっちかな。あれ、反対側だったかな。あ~~~、もうわからないよぉ。師匠ぉお」


 そうだ!師匠に通信を送ればいいのか。


 ギィは通信を送ったら何とかなるかと思った。


 でも~、師匠はまだ戦闘中かなぁ。


 もう少し歩いてみようかな。


 そうすれば、道が見えるかもしれないしね。


 師匠から道のある方へ向かうように言われていたのを思い出していた。


 それでも、ギィは一人で歩いていて、心細く感じていた。


「もう~、目覚ましたらアリスちゃんじゃなくて白い敵だったし、アリスちゃんいないしぃ~。もうどうなってるんだよ」


 ギィは気を紛らすために、文句を言っていた。


 しかし、近くに白い敵の仲間がいたらいけないから大声も出せなくて小さな声で呟いていた。


「さっきの場所からだいぶ歩いてきたけど~、合ってるのかなぁ~。風景はまったく変わらないし。心細いよぉ~」


 雪が深々と降っている状況で、本来であれば寒さで体力を奪われかねない状況だった。

 幸い寒さが何ともない事がこんな状況であっても救いだったが、ギィはそんなことには全く気がついていなかった。


「さっき倒した白い敵でお腹は満たされていて、この雪があるからのども乾かない。だから、いつ敵が来てもいいんだけどね。今の私には木登りがあるから、どんな敵でもかかってコイだ」


 ギィは暇を持て余していて、色んな妄想を膨らませていた。


 先ほどの戦いからまだ数分しかたっていなかったが、ギィにはかなり長い時間が経過したように感じていた。

 周囲の状況が変わらないことで、時間が長く感じていたのだった。


 バァファゥッ!


 突然、ギィの歩いている側に爆発が生じた。


 とっさに、その場から離れて近くの木の陰に身を隠した。


「なんで!?全く気配がしなかったんだけど・・・どうなってるの!?」


 のんびり歩いていたけれども、油断していたわけではなかった。


 それなのに、敵の気配が全くしなかったことでギィは状況が分からずに混乱していた。


 それでも、周囲を警戒してどこから攻撃してきたのかを確認した。


 気配は・・・・ない。


 敵の姿もない。


 いったいどこから攻撃してきたっていうの?


 バァファゥッ!バァファゥッ!


 木の陰に隠れているのに、さらに攻撃が続いてきた。


 向こうには私の姿が見えてる!?


 ギィには気配も攻撃されている方角も分からなかった。

 ただ、近くでは無いというのは確信があった。

 前の戦いで白い敵の攻撃の正確さは嫌ッというほど感じていた。

 それに比べると、今回は近接ではあったが、ダメージを受けるほどではなかったからだ。


 とにかく、逃げる。


 ギィはその場から走り出した。


 雪がふっているのに、どうやって私の位置を特定しているっていうのよ!?


 バァファゥッ!バァファゥッ!バァファゥッ!


 ギィが移動を始めると魔法攻撃が連続でやってきた。


 まっすぐに走ってたらやられちゃう。


 そう思って、白い敵を居場所を探すためにも、隠れられる側の木の陰に向かって走った。


 バァファゥッ!


 いた!見えた!


 ギィは隠れる時に魔法を撃ってきた白い敵の姿を確認した。


 隠れなきゃ。


 ギィは白い敵の見えた方を木の後ろになるようにゆっくりと移動した。


 バァファゥッ!


 すると、後ろから同じような攻撃を受けた。


 なに!挟まれてるの!


 ギィはその場からまっすぐに移動しも白い敵の魔法でとらえられると考えた。


 ギィはその場でしゃがみこんで勢いをつけて、木を登りだした。


 バァファゥッ!バァファゥッ!


 木を上に走り登りだしていたが、それに合わせて白い敵の魔法はギィに向かって飛んできた。


 ギィはその攻撃は想定内だった。


 それに、勢いで木を登っても数メートルで落ちてしまうのはわかっていた。


 ギィは木に登っているときに受けた攻撃のタイミングで、木から反対方向にジャンプした。


 そして、体を翻して着地と同時にラッシュウォークで走り出した。


 まっすぐに走っても正確な攻撃を受けることは分かっていたので、出来るだけ蛇行して移動するように心がけた。


 バァファゥッ!バァファゥッ!


 白い敵からの攻撃はかなり正確に飛んできていたが、蛇行して進んだことで何とかダメージを受けずに移動することが出来ていた。


 しかし、これでギィは完全に自分がどちらに向かって移動をしていたのかを見失っていた。


 あちゃぁ~。


 これで、完全に合流は難しくなっちゃったよ。


 どうしよう~。


 ギィは不安に思いながらも、挟まれている状況を何とかしないといけないと必死で走り続けた。


 そんな時、ギィに師匠から通信が入った。

『ギィ、アリス。こちらはとりあえず何とかなった。今からそっちにむかうからな』

『”通信” 師匠ぉぉお。やっと連絡取れたっす。こっちやばいっす』

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