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178 (sideギィ)爪剛回転撃

 フウッ・・フウッ・・フウッ・・後・・す・・こし・・・だっ!


 よーーーーし、届いたぁぁああ!


 ギィはゆっくりと登り続けてようやく一番下の枝に到着した。


 フンだっ!お前の攻略なんか・・・楽勝だったよ。


 ギィは何とかよじ登れた巨大杉に見栄を張って強がってみた。

 巨大杉の木の枝は、のけぞって疲れ切った表情で横たわっていたギィを優しく包んでくれていた。


 ここまで登り切るのは本当疲れたなぁ。


 でも、戦いはこれからが本番だよね。


 そう思って、ギィは疲れた体で下を向いた。


 体中に小さくビリビリと電気が走ったような痛みが通り抜けた。


 ぐぎぃぎぃぎぃぃ・・・い・・・痛い・・・・。


 巨大杉の枝まだ集中して登っていたので気がつかなかったが、思っていた以上に筋力を酷使していたみたいだった。

 それは、下を向いたときに体中の小さな筋肉の繊維がチリチリと痛みが走っていたことで気がついた。


 な・・・何の痛みなの・・・これっ。


 よくわからない痛みが・・・でも・・・これくらいなら大したことはないかな。


 ギィは急に体中に走った今まで感じたことのない痛みに少し驚いていた。


 それでも、今はそれどころではないので下にいる白い敵の様子を見ることにした。

 下を向くと巨大杉の大きな枝が周囲の木々に向かって伸びていた。


 あ~頑張って登ってきてよかったぁ。


 この場所から巨大杉の枝を進めば、白い敵の真上にいっきに移動出来ることがわかったのだった。


 それにしても、何であいつらあそこにいるんだ!?


 何かを待っているのかな!?


 白い敵達は、ギィが木を登っている間、ギィのいる木に何の動きもなくて静かになっていたはずだ。

 そんな状態がしばらく経過したのに何の動きも見せてなかった。


 なんだよ。


 まるで、あいつら私が木登りしていたのに気づいていないみたいじゃない。


 ギィはなんであれくらいの敵にここまで痛めつけられたのか不思議に思いながら、これから、その思いを力一杯込めて仕返ししてやろうと決めた。


 まあ、いいよ。


 ここから、丸見えだしね。


 いっきに降りていってやろうじゃないの!


 ギィは筋肉の痛みもすぐに忘れて、巨大杉の大きな枝をまっすぐに下って、白い敵のいる巨大杉に向かって進んだ。


 ギィのいる木から白い敵がいる木はすぐ隣にあった。


 隣の木に移るためには細くなった枝をジャンプで乗り移る必要があった。

 しかし、ギィはこれまで木の枝を移動したことがなかったので、木の枝の先が揺れることを知らなかった。


 よしっ、次はジャンプで隣の枝だ。


 少し、先端が細くなっているけど大丈夫かな。


 だけど、行くしかないからね。


 いち、にぃの・・・


 わぁぁあぁぁ、揺れる・・・揺れるよぉ。


 木の枝の先はギィの歩みに合わせて上下に揺れていた。


 しかし、ジャンプの体勢に入っていたギィがこのまま勢いを止めてしまうと、木の先から落ちてしまう。

 タイミングは少しづれたけど、木が上に跳ね上がったタイミングに合わせた。


 ジャンプっ!


 わぁっ・・っと。


 なんかジャンプに成功したが、着地した枝も思った以上に揺れてしまった。


 やば・・・やばい・・・おっ・・・おっと・・・。


 少しバランスを崩してしまったが、持前のバランス感覚で何とか無事に隣の木の枝に残って、そのまま走って進んだ。


 今のはやばかったなぁ。


 しかし、これで後はあのふとい幹を下れば、そのまま、白い敵の頭の上だった。


 白い敵はまだ自分がここにいることに気づいてないな。


 幹を走りながら、白い敵の所在を確認した。

 白い敵2匹は木の陰に隠れて並んで立っていた。

 ギィは勢いを上げて、木の幹を下り続けた。


 いっくよぉぉぉ。


 よおっし、ここからジャンプだ!


 ギィは白い敵に気づかれる前に頭上から攻撃するために、ジャンプしても安全と思える高さからジャンプした。


 そのままジャンプしても、白い敵までのコントロールがうまくいくかわからなかったので、尻尾を大きくふって、上下に回転を入れた。

 まっすぐ進む力に回転を少し加えると、ギィの体は上下にグルグルと回りだした。

 そして、次第にその回転は速くなり勢いを増した。


「いっけぇぇ・・・爪剛回転撃だぁぁぁぁぁぁあああ!!」


 ギィが繰り出したのは大技スキルである爪剛回転撃だった。


 かつてラージバットと戦った時にギィがとどめを刺した技で、降下中に回転を入れて、敵に当たる瞬間に爪剛撃を合わせることで発生する超強力な技だった。


 バッフォォァッバァファゥッ!


 白い敵を含む周囲一帯に雪が散らばりまるで暴風雪の中にいるようだった。

 ギィの攻撃は白い敵に対して直撃していてギィの側で生きている存在は見当たらなかった。


「ハハハハハッ!のんびりしているからこんな目に合うんだよ。次からはのんびりしてはいけないよ。って言っても、聞こえないか」


 横たわっていた白い敵に向かって呟いていた。


 さんざん苦しめられた敵だったが、最後はあっけなかったと思っていた。


 うん、これで、やっとアリスちゃんを探しに行けるかな。


 ギィは周囲を確認しながら、最初に目が覚めた場所からかなり奥に入り込んじゃったと気がついた。


 あれっ、アリスちゃんはどっちにいるのかな!?


 周囲に雪がふっていて、かなり薄ぐらくなっていたので、師匠やアリスがいる方角がいまいちよく分からなかった。


 う~んよくわからないけど、あっちかな。


 ギィはどちらかわからなかったが、適当に進んでいたら見つかるだろうと思ってとにかく歩き出した。




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