173 (sideギィ)白い敵と速い魔法
「攻撃されたのが後ろだったから、どこにいるのか分からないんだよなぁ。どうしよう」
ギィはまったく姿を見ていなかったので、対処方法に困っていた。
攻撃しようにも、敵がどこにいるのか分からないと無理だ。
う~~ん・・・どうしよう。
アリスちゃ~ん、たすけてよぉ~。
無理だよねぇ~。
考えても無理だから、とにかく出てみよう。
攻撃されたのが、この木の後ろ側からだから、まっすぐに見える木まで進めば途中で敵の姿が見えるかもしれない。
3・・2・・1、行くよ!!
ギィは木からでて隣の木まで走り出した。
敵のいるはずの方向を見てみたが、どこにも姿は見えなかった。
「いないな」
木と木の丁度半分くらい来たところで、敵のいるはずの方からキラッと光ったように見えた。
「なにっ・・・・うわぁあっ」
光が一直線に自分の方に向かって来るように見えた。
今にもあたりそうだったのでギィはジャンプして避けた。
バァファゥッ!
「避けないと当たっていたよぉ。しかも、速いだけじゃなくて正確だ!」
ギィはいきなり飛んできた何かに驚いた。
今、全速力で走っているのに、自分の体に正確に狙って打ってきていたことも驚かされていた。
薄暗さは先ほどよりも進んでいて、暗さが増していた。
その上、雪も降っていたので、木の陰や遠くは暗くて見えにくくなっていた。
敵からの攻撃は待ってはくれず、その攻撃は立て続けに飛んできた。
それでもギィは体をしゃがんで避けたり、急ブレーキをして避けたり、ジャンプでかわしたりと何とかダメージを受けずにとなりの木まで走り抜けることが出来た。
「ハァハァ。攻撃が早いな。しかも、連続で打てるんだ。攻撃が出ていた場所が1つじゃなかったから、きっと敵は2匹以上いるに違いない。困った」
敵は姿を見せずに攻撃してきていたので、距離があった分ダメージを受けずに避けきれていた。
そのため、どれくらいのダメージを受けるのか分からなかった。
「どれくらい痛いか知るために受けるのも嫌だから、当たらなければそれはそれでいいか。そうすると、どうするかだけど・・・」
この距離では姿が見えない、だけど、いる場所は大体わかったかも。
それなら、今度はこっちから仕掛ける番だね。
作戦を考えるのも難しいし・・・。
「どっちの木に行こうかな。まあ、戻っても敵の姿が分からないから、少し近くなるあそこの木にしよう」
今隠れている木から、さらに先にある木に向かうことに決めた。
今よりも敵に近づくことになるから少し警戒することにした。
「よしっ。出発!」
ギィは走りだした。
次は姿が見えるかもしれないと思って、緊張しながら走った。
先ほどと同じ様に、光ってから攻撃が飛んできた。
「スピード無茶苦茶速いな!でも、姿がチラッと見えたよ」
同じように、ギィは体をしゃがんで避けたり、急ブレーキをして避けたり、ジャンプでかわしたりと何とかダメージを受けずに次の木まで走り抜けることが出来た。
ギィが見た姿は子猿よりも大きく、自分よりも小さいと感じた。
色は白くて、動いていなかったからスピードは分からないけど、魔法攻撃はかなり速かった。
「少しわかってきた。魔法はスピードがあるけど、雪に当たった感じをみても、それほどダメージは受けないような気がする。これなら多少受けても大丈夫かな」
ギィはここから近づいて一気に倒してしまおうと考えていた。
「皮鎧の効果はまだ続いているから、このまま、行っくよぉ」
ギィは敵に向かって走りだした。
今まで木から木に移動していたのが、まっすぐに向かって来たので、きっと迷っているんだろう攻撃をしてこなかった。
「よしよし、動揺しているのかな。このまま行っちゃえぇ」
ギィは加速して、敵のいるところにまっすぐに向かって進んだ。
攻撃が来なかったのは、ほんの少しの間だけで、すぐに魔法が連続して飛んできた。
「痛い、痛て、痛てて、あ痛っ。無理、無理、無理・・・」
走りながら、魔法が正面から飛んできたので、避けようと試みたが魔法のスピードが速すぎて避けれなかった。
1発1発のダメージは少なかったが、それでも連続で当たると強い痛みが続くので、途中で横にそれて側にあった木に隠れた。
「えぇぇっ!連射のスピード速すぎるよぉ。1発1発はそれほどでもないけど、連続して当たり続けたらダメージもばかにならないよ」
あ~もう、攻撃を続けられないよお。
困ったなぁ。
先ほどの木よりもさらに半分くらい近づいていたので、これより近づくのは少しまずいと感じていた。
あまりここでゆっくりしてて、挟み撃ちにあっても危険かもしれない。
本当、困った。
ただし、今の敵は2匹であることは分かった。
そしてドブネズミ達みたいに誘い込んでくるような策はなかったことは、ギィを少しホッとさせた。
でも、もしも応援を呼んできているとしたら、このまま、ここでじっとしていてはまずいこともわかっていた。
「いっそ攻撃してきれくれたらいいのに・・・」
ギィはなかなか近づけないことに、若干苛立ちを感じていた。
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