165 白熊の連続攻撃
防御魔法がどれほど威嚇出来たかは分からないが、白熊の速攻が止むことを期待した。
その間に、ここまで接近したらサーチの魔法に引っかかるのではないかと現状を確認してみた。
残念ながらマークは4つだけだった。白熊が1体なのか2体なのかわかるだけどもと期待したが無理だった。
白熊については分からなかったが、4つのマークは自分の移動スピードに合わせて近づいて来ていたことに気づいた。
「これじゃあ、いくら下がっても暴風雪は弱まらないじゃないか!」
悔しがっていたら、右サイドからの殺気を感じた。
「BOXミラーッ!」
右から迫ってきた白熊に対して、防御魔法でガードした。
しかし、今回はすぐに白熊が引き下がっていった。
「どうしたんだ!?威嚇がきいたのか!?
・・・・うっやばっ!気を抜いていたぁっ!」
ギィの時には連続で攻撃してきたので、今回も追撃があるだろうと警戒していたが、あっさりと引いていった。そのため、おかしいなと思い気を抜いていた。そこに反対側から殺気がやってきた。
ザグゥイイイイイッ!!
「しまったっ!痛ってぇぇ!」
右サイドからの白熊に意識をかけすぎていたため、吹雪に紛れた後、すぐにやってきた左サイドからの白熊の攻撃に気がつかず、直撃を食らってしまった。
それでも、すぐに反撃しようとしたが、白熊はすぐに吹雪に隠れるように戻って行った。
「そうだった。連続で攻撃してくるんだった・・・・うっ、今度は正面か!!」
今度もダメージを食らってしまったが、次はしっかりと予測することにした。
「BOXミラー!」
ガキィィイイーーーーーーーーーーンッ!!
正面の攻撃はBOXミラーで受け止めることが出来た。
しかし、今までの攻撃が様子見だったかのように、連続した攻撃が始まった。
左・・右・・正面・・右・・左・・右・・正面・・・・・と不規則に攻撃が続いた。
単発の攻撃であれば受け切れていた攻撃も、白熊の連続攻撃になると3回に1度は直撃を食らうようになった・・・・そして、次第にそれが2回に1度の直撃にと少しづつ、防御できる回数が減っていった。
その分ダメージを受ける回数も増えHPがどんどん減っていった。
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【HP】 1280/3045
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「半分以上HPが減っているよ。このままじゃ・・・・」
白熊の攻撃力の強さにかなりのダメージを受けていたことに驚いた。このままではまずいと思い、防御できる回数が減った理由を考えてみた。
「それよりも、おかしい・・・予測は出来ているはずなのに迎撃が間に合わないなんて・・・」
もしかするとギィが血だらけになっていた攻撃はこれか!
そう感じて、この連続攻撃だからよけきれないのか!?
いや、それでもおかしい。
予測は出来ているはずなんだ!!
考えている最中にも、白熊の攻撃は続いていたので、必死にBOXミラーでガードを続けた。
攻撃を受けながらも考えをまとめた。
最初の頃は調子よくガード出来ていたはずなのに、どうしてなんだ!?
白熊のスピードが速くなったのか?いや、それはない。
吹雪が強くなったのか?それも、違う。
自分の反応速度が落ちたのか?いや、逆に鋭くなっている気がする。
なぜだ?
まさか予測してから攻撃を受けるタイミングが早くなっている!?
「もしかして白熊の見える位置が近づいているんじゃないのか!?」
白熊から一定の距離を保って、攻撃をガードしていると思っていた。吹雪を発生させている子猿たちも、同じように一定の距離を保っていると思っていた。
しかし、子猿たちは自分の動きよりもほんの少し早く近づいて来ていたのではないかと気づいたのだった。
それは、白熊の足が見える位置を確認すると、最初の頃と今とでは見え始める距離が違っていた。
「向かって来る方向が分かっても、白熊の姿が見えはじめる位置が近ければ避けられるはずがない。なんで、こんな簡単なことに気がつかなかったんだろう」
そこで、一旦後退ジャンプで吹雪から距離をとることにした。
ジャンプ中にギィ達の姿を確認すると、だいぶ後ろに下がっていたので、これなら大丈夫だろう。
それに一旦距離をとることができたので、少し冷静に考えることが出来るようになった。
「吹雪の中、防御を続けるだけじゃあじり貧だ!そんなの作戦なんて言えない。どうする?」
自らに問いかけるように声に出していた。
一方、暴風雪はゆっくりとしかも着実にこちらに向かって来ていた。
「ダメージを受けることを前提にポイズンファングを使うか。いや、それじゃあ、先に自分のHPが空になってしまうかもしれない。やはり、BOXミラーは前提だ!そのうえで、ウインドカッターにするか?ちがう、問題はあのスピードだ!こうなれば数打てるニードルショットにしよう!よし、決めた!」
暴風雪から離れて、ギィとアリスに近づいていたのだろう。通信が入ってきた。