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155 通信

「ギィ、いいか通信は声に出さずに会話する方法なんだ」

「声に出したら、だめなんすか!?」

「そうだ、だめだ」

「なら、声に出さずに話すっすよ」


 ギィは下を向いて地面をゆっくりと眺めていた。すると、自分の頭の中に突然ギィからの声が聞こえてきた。


『師匠。聞こえているっすか?どうっすか?出来ているっすか?大丈夫っすか?』


「おお、聞こえたぞ。すごいな。本当に後ろから大きな声で話しかけられているように感じたよ。そうだ、ところでギィの声はアリスには聞こえたか?」


『いいえ、聞こえませんでしたわ。このスキルは師匠を通してのみでしかできないようですわね』


「おお、さっそくアリスは通信を使って来たな。そうか、仕方ないな。うん。ギィ、アリス聞いてくれ。通信は自分を通じてのみ可能みたいだ。そしたら次に調べるのは通信できる距離だ。ギィこのまま50m位離れてくれるか?」

「50mなら、あの辺りっすね。了解っす」


 ギィはラッシュウォークで走って行った。あたりに雪しぶきをまき散らしながら走っていた。


『”通信”ギィ聞こえるか?聞こえたら返事をしてくれ』

『感度良好っすよ。こんな遠くでも話せるっすね』

『”通信”さらに50m位離れてくれ』

『了解っす。50mっすね』


 ギィは同じようにラッシュウォークで走って行った。そして、50m位進んだあたりで尻尾を振っていた。


『聞こえるっすか?もうこんなに離れていると大声出しても届かないっすよ』

『”通信”聞こえるぞ。今度は10m位で返事をしてくれるか?』


 今度はゆっくりと歩いて10m位の所から、先ほどと同じ様に尻尾を振っていた。しかし、ギィからの返事はなく、尻尾もふるのをやめて何かを待っているようだった。


「今の所、通信距離は100m位だな。そしたら少し前に進んでっと」


 10m位進んで、ギィに通信を送った。今度は聞こえていたみたいだったので、戻ってくるように伝えた。

 ギィは雪をまき散らしながら戻ってきた。


「ところで、ギィはなぜ雪をまき散らしながら走っているんだ?」

「雪が吹き飛んだあとは、キラキラと綺麗だったんすよ。だから、たくさんまき散らしたらより綺麗になるかと思ってやってみたっす。やっぱり綺麗だったすよ」


 急いで進んだわけではなかったみたいだ。柔軟な発想というか、独特の感性というかギィはいつもうれしい意味で自分を裏切ってくれるんだとほほえましく思った。


「ぎぃ、アリス、そろそろこの場所から出発したいと思うんだがいいか?」

「もう行くっすか。師匠、まだ、ギィは遊び足りなっすけど・・・」

「まあ、そう言うなよ。すこし先に進んでおかないとこんな開けたところで敵に囲まれでもしたらそれこそ危険だからな」

「・・・・はいっす」


 ギィは少し物足りなさそうな表情をしていたが、理由を説明すると納得はしていたようだ。


「アリスもいいな」

「ええ、大丈夫ですわ。しかし、正面にある山の右ルートにするのか左ルートにするのかを決めないといけませんわね」


 この開けた場所から、正面に大きな山と洞窟の崖に沿って左側に中くらいの山がそびえ立っていた。中腹位まで雪で染まっていたが、それ以上は杉や檜のように見える針葉樹林で覆われていた。


 アリスの言っていた、右ルートは山と山に囲まれ、渓谷になっている場所を進むルートになっていた。そこを進むとしたら足場の悪さに我々のような歩行系統の姿では少し危険な感じがした。それに対して、左ルートは正面の山の左側を通るのだが、そこには一面針葉樹林で覆われていてその木々の中を進んでいくルートになる。待ち伏せや罠をするには絶好のロケーションとなっている。


 どちらを進むにしても、安全に進めるとは思わないルートだった。


「アリスならどちらのルートを選ぶんだ?」

「私たちが渓谷を進むのは難しいと思いますの。ですから、行くとしたら森のある左ルートになるかしら」

「やはりそうか!それならスピードはゆっくりとなっても周りの状況に気を配りながら進むとしよう」

「わかりましたわ。師匠」

「森っすか!私の力が試せる場所となるっすかね!」


 アリスは警戒を高めるように周囲に気を配っているように見えた。しかし、ギィは何だか森での戦闘に対してやる気満々な様子で自分の爪を見ながら、その爪をすり合わせて誰に対して行っているのか分からないが威嚇しているようだった。


 森の入り口までは周囲に気を配り、サーチを定期的に行い、新スキル『直感』を使用した。


 キルアント族の隠れ洞窟を出発する時には、すでに直感を使用していた。現在ランク1だったし、敵に遭遇したと言っても、ポイズンバット位だったのであまり恩恵を受けてはいなかった。しかし、使用していてもデメリットを感じると言った問題はなかったので、1時間ごとに継続して使用していた。


 ラクーン洞窟の地下2階に到着した場所から森まではそれほど遠くにあるとは思えなかった。しかし、なかなか森までは到着しなかった。半日くらい進んだところで、まだ森に到着しないことに一つの疑念が浮かんできた。


「ああ・・・そうか。やっぱり、この森の木々もきっと大きいんだろうなぁ・・・」



154話の更新でブックマークが300件となりました。パチパチ

楽しみに読んでくださっている読者様ありがとうございます。

現在、ポイントが700台となっています。

これが1000ポイント台になると、検索条件が一つ上がります。

というわけで、1000ポイント台を目指して頑張ります。

前半の改稿もしないといけないんですが・・・・(笑)

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