147 耐性拡張登録
「うわぁ~、あのかぎ状の手は真後ろまで届くのか。やっばいなぁ。おっ、こっちに向ってきた。あ
~怒ってるなぁ」
グリーンマンティスはギィの近接攻撃を食らってアリスの方に行くのをやめて、近くのギィに反撃しようとしていた。
「私の事を忘れておいでよ!!酸性弾」
アリスはグリーンマンティスが背中を向けた瞬間に酸性弾の3連射を放っていた。
アリスの酸性弾は全て直撃していた。
グリーンマンティスは少しよろめいていた。しかし、後方から攻撃を受けて苛立ったのか、ギィに背を向けてアリスの方に向かって行った。
「あ~あ、そっち向いたらだめじゃないか?ファイヤーショット」
ギィはアリスの方を向いたグリーンマンティスにファイヤーショット3連射を放った。
直線的な動きしかしないグリーンマンティスは前後の攻撃に行ったり来たりを繰り返していた。
そして、いよいよ動けなくなってきたグリーンマンティスにアリスが酸性弾を食らわせていた。ギィもあと1撃で倒せるだろうと思ってアリスの放った酸性弾の弾道を見ていた。
「最後の1撃だろう。以外に簡単だったな」
グリーンマンティスがゆっくりと倒れて行く姿を見ながら、アリスの後方上空に影を見つけた。
「アリスちゃん!後ろ、あぶないっ!」
「えっ!何っ!」
アリスはギィが声をかけてきたので慌てて後ろを向いた、そこには3匹のポイズンバタフライがアリスに向かってきていたのだ。
「アリスちゃん、逃げて!」
ギィはアリスに逃げるように声をかけた。
アリスはギィがポイズンバタフライからにげるように言った声に反応してすぐに逃げ始めた。しかし、すでに足が言うことを聞いてくれなかった。ギィの声が聞こえた瞬間、ポイズンバタフライの毒鱗粉を受けていたのだった。
それでも、ギィが何とかしてくれると思い精一杯の力で逃げていた。
ギィはアリスが逃げていくのを横目に、全速力で走ってジャンプをした。その勢いで、ポイズンバタフライ2匹を倒した。しかし、残った1匹がさらにアリスに向かって行った。
ギィは着地してすぐに方向転換を行うと、アリスに向かっているポイズンバタフライに向かってジャンプをした。
ジャンプをした瞬間にアリスに向かっている別のモンスターが見えた。
「アリスちゃん、そっちはだめだぁぁああ。別のグリーンマンティスがいるよぉぉおおお!!」
ギィはジャンプ中にアリスが進んでいる先に別のグリーンマンティスを発見した。そのため、正面のポイズンバタフライを見落としていた。
アリスにはギィの声は届いていなかった、意識がもうろうとしていて、とにかくまっすぐに走ることしかできなかった。
そして、走ることが出来なくなって、そのままゆっくりと沈み込むように倒れて行った。さらに、意識が沈み込みながら・・・・。
「ギィちゃん、お別れの挨拶が出来なかったね。ごめんね・・・ギ・・・ちゃ」
小さくつぶやきながら、ギィに最後の笑顔を送った。
ギィはアリスの柔らかい笑顔を見ながら、そのアリスに迫るグリーンマンティスに気が付いた。そして、そのグリーンマンティスは大きく右手をアリスに向かって振りかぶっていた。
ギィは届くはずもない距離にいたが、それでも、全速力でアリスに向かって行った。
そこに、ポイズンバタフライがギィの行く手をさえぎってきた。
「おまえっ!じゃまだぁ!爪剛撃っ!」
1撃でポイズンバタフライを排除すると、そこにはアリスにかぎ状の右手を刺そうとしていたグリーンマンティスがいた。
「アリスちゃん。ごめん・・・・」
目をつむって、もう、間に合わないとあきらめた。そして、今なら、まだ、リルを助けられるかもしれないと思い、もう一度アリスに謝ろうと目を開けた。
しかし、そこにいたのはグリーンマンティスではなく、白くて巨大な別の生き物だった。そして、その生き物はこちらを向いていた。
ギィの顔から涙があふれてきた。
涙が、止まらず、どんどんあふれてきた。
そして、ギィはゆっくりとその生き物の方に向かって歩き出した。
「師匠、師匠、師匠、師匠、師匠、師匠、師匠、師匠、師匠、ししょぉぉおお。なんで、ここに居るっすかっ!」
ギィは巨大な師匠に向かって、涙と鼻水でぐしゃぐしゃな顔で飛びついていた。
「アリスが、アリスが、毒で、ポイズンバタフライの毒で死んじゃうよ、死んじゃう。師匠!何とかならないですかぁぁ!」
ギィは取り乱しながら、師匠に頼み込んでいた。毒耐性のないアリスが毒を受けて生き残ることはできないとわかっていたが、叫ばずにはいられなかった。
「もしかしたら、今の自分なら何とかなるかもしれない」
「本当!・・・本当っすか!師匠」
「ああ、だが、やってみないとわからない。だから、ちょっとおとなしく待ってろ」
「はいっす」
ギィはアリスが助かるかもしれないと師匠が言うのでその場でおとなしく待っていることにした。
「よし、ステータスでろぉ~」
そして、耐性っと。
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【耐性】
毒耐性 (大)【拡張】(+)
麻痺耐性(大)【拡張】(+)
疾病耐性(中)【拡張】(+)
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そしたら、拡張のプラスを集中して眺めて・・・。
【側に登録対象者がいます。1ギィ 2アリス】
「インフォさん!ギィとアリスを登録してください」
【1ギィ 2アリスを毒耐性(大)に登録します。MP=200を消費します】
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【耐性】
毒耐性 (大)【拡張】(ギイ&アリス)
麻痺耐性(大)【拡張】(+)
疾病耐性(中)【拡張】(+)
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おっ!無事追加されたぞ。ついでに、麻痺耐性と疾病耐性も登録しておくか。
拡張のプラスを集中して眺めて・・・。
【側に登録対象者がいます。1ギィ 2アリス】
「インフォさん!ギィとアリスを登録してください」
【1ギィ 2アリスを麻痺耐性(大)に登録します】
あれっ、MPは消費しないのか?そしたら、めっちゃお得だな。拡張すげけぇな。
次は疾病耐性だな。
拡張のプラスを集中して眺めて・・・。
【側に登録対象者がいます。1ギィ 2アリス】
「インフォさん!ギィとアリスを登録してください」
【1ギィ 2アリスを疾病耐性(中)に登録します】
ーーーーーーーーー
【耐性】
毒耐性 (大)【拡張】(ギイ&アリス)
麻痺耐性(大)【拡張】(ギイ&アリス)
疾病耐性(中)【拡張】(ギイ&アリス)
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おっ、すべてに登録されたぞ。
「ギィ、アリスの様子はどうだ?」
「なんだか急に落ち着いたっすよ。何か眠っているみたいっす。師匠、いったいどんな魔法を使ったっすか!!」
ギィは目をキラキラと輝かせて、自分が何をしたのか聞いてきた。
「まあ、そんなことよりも、たぶん今はアリスの体力がギリギリのはずだから急いでここから離れた方がいい」
「はいっす。師匠一つお願いがあるっす」
「なんだ?」
「あそこにリルがいるっす。リルも助けてほしいっす」
「どこだ~~~~~あれか!わかった」
自分はアリスを背中に乗せて、ギィと一緒にリルの側まで行った。リスは何か硬そうなもので固定されていた。
「たぶんグリーンマンティスによって固められているっす。師匠!これはもう、足を切るしかないっすかね」
「いや、たぶんこれで行けるはずだ!」
師匠は尻尾の先から何か液体をリルを固定している塊に落としていた。すると、固定しているものはゆっくりと溶け出してリルは自由になった。
「息はしているな気絶しているだけか。それなら、この子も一緒に住処の洞窟に行こう」
そして、自分にアリスとリルを乗せてギィと一緒に住処の洞窟に向かった。
住処の洞窟の奥まで進んでアリスとリルをゆっくりとおろした。
「よし、この辺でいいかな。ギィは緑エノキを取ってきてくれ」
「師匠、わかったっす」
ギィは走って緑エノキを取りに行った。
「そしたら、まずはこの子を保護しないといけないな」
毒を受けて瀕死の状態にあるリルを助けるためには、アリスと同じように耐性拡張に登録しないといけなかった。しかし、耐性登録するためには、まず、保護として登録しないといけなかった。
「リルは息をしているとはいえ、瀕死の状態といっていいだろう。きっと、微量の毒を受けたんだろう。幸い、毒の量が少なくて生き延びているようだが、もしくは、別の・・・・今はいいか!」
生き延びた理由を考えるのは後でいいか。とりあえず、今は保護と耐性の登録だな。
「よし、ステータスでろぉ~」
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【保護】 (ギイ&アリス)
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「あっ、(+)ないけど登録できるのかな。まあ、やってみないとわからないな」
(+)がないので(ギイ&アリス)を集中して眺めてみた。
【リルを保護しますか?YES or NO】
「おっ出来た。インフォさん、もちろんYESでお願いします」
【リルを保護しました】
「そしたら、続いてリルの耐性拡張だな」
え~と、拡張の(ギイ&アリス)を集中して眺めて・・・。
【側に登録対象者がいます。リル】
「インフォさん!リルを登録してください」
【リルを毒耐性(大)に登録します。MP=100を消費します】
「ああ、初めて登録する時はMPが100いるのか。だが、無事に登録出来たな。でも、何人まで登録できるんだろうか?」
【現在、最大登録者数は5名となっています】
「あっ教えてくれた。ありがとう。インフォさん」
登録が終わった所でギィが戻ってきた。
「師匠、緑エノキ持ってきたっすよ」
ギィは片手で持てるだけ大量の緑エノキをもってやってきた。
「ギィ、そんなにいるかな」
「あれ、多すぎたっすか?まあ、いいだろう多くて困るものじゃないしな」
毒耐性(大)があるから毒で死ぬことはもうないと思うが、体力が減りすぎているので早く回復させる必要がある。しかし、今の状態ではアリスもリルも緑エノキを食べれない。
「このままじゃ、緑エノキを食べれないな。しかたない、ギィ、緑エノキをあむあむして、アリスとリスの口に含んでくれ」
「え~それ、師匠!チューやないすか!」
「おまえら、種族違うから関係ないだろう」
「そうっすけど、乙女のチューは色々あるっすよ」
「とにかく緊急事態だから早くやれ」
「はいっす」
ギィがいつの間にがおませさんになっていた。あんなに純粋だったのに・・・。これが大人になるっていうことなんだろうか・・・。
ギィがあむあむして小さくなった緑エノキをギィとリルそれぞれに含んでいった。すると、少しづつ表情も落ち着き。穏やかになっていった。




