138 進化とインフォメーションさん
目が覚めて、勢いで空間魔法を選んでしまったことに、若干ではあったが改めてがっかりした。
「まあ、選んでしまったことをいつまでもくよくよしても仕方がないし新しく覚えた特殊魔法を見てみるか」
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魔力操作 ランク10
空間魔法
・BOX ランク1(MP=30)
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「はいぃぃ!?BOXって・・・箱!?」
ステータスに空間魔法が追加されていた。しかし、その先にあったのはBOXという魔法だった。てっきりアイテムボックスだろうと思ったが少し字が足りない・・・。
「まあ、箱だから容量が少ないアイテムボックスかもしれないからな。とにかく、一度使ってみないとわからないよな。というわけで、BOXでろぉ~」
そして、目の前には半透明の箱が一つ置いてあった。
「いや、これ普通の箱じゃないか!片付けでもしろっていってるのか?ふざけんなくそ魔法め」
怒りに任せて、思いっきり叩き壊そうと思い尻尾を振りかぶって、目の前の箱に叩きつけた。
「痛っってててぇぇぇえええええええ・・・なんだこれめちゃくちゃ硬いじゃんか」
ジンジンする尻尾を見ながら、効果時間が過ぎたのか、箱は消えてしまった。
「なんだぁ。これずっとあるんじゃないのか。何に使えっていうんだよも~う。めちゃめちゃ期待したのに残念魔法じゃないか。まあ、ランクがあるから使い続けたら何かの役にたつかもしれない・・・かな」
暇な時に箱をいっぱい作って、重ねて遊ぶくらいしか役に立たないかもしれないな。
少ししょぼんとなったが、自分のスタイルに合ったスキルや魔法、それに対して、狂暴化みたいに使えないスキルや魔法もこれから増えて行くんだろうなぁと考えていた。
「それにしても、せっかく魔力操作ランク10まで上がって、あんなしょぼい箱の魔法ってなんかおかしくないかな」
これまで、どのスキルもランクが上がるたびに強力になっていった。にもかかわらず、BOXの魔法があまりにもしょぼすぎたのだ。『BOX ランク1』で少し弱くなるとしても、違和感がありすぎと感じていた。
BOXの文字を何度みてもその違和感を解決する手段は浮かんでこなかった。やっぱり気のせいかなと思いステータスを閉じた。
「やっぱりあきらめきれない。もう一度ステータスを開いてみよう」
そして、次に開いてみて一つ気が付いた。
「なんで、魔力操作の追加として空間魔法があるんだろう!?・・・操作・・・空間・・・魔法はイメージ!!」
そうだ、魔法はイメージだった。
BOXという文字に自分のイメージが普通の箱になっていたのかもしれない。そしたら、逆にイメージで形を操作出来るんじゃないだろうか?
「まずは、箱の大きさを変えてみよう」
そして、色々と試した結果、サイズは1m位の大きさから15cm位まで自分のイメージで変えられた。それだけじゃなくて、薄い壁のようにイメージすると板のようにもできた。さらに、驚いたのが空中にも設置することが出来たのだ。静止している時間は2~3秒でその後はゆっくりと落ちてきて途中で消えていった。
使い方次第では防御や空中での移動に使えそうだということがわかった。
「くそ魔法なんて言ってしまってすんませんでしたぁぁあああ」
誰に謝るってわけでもなかったが、なんとなくメッセージさんに八つ当たりのように言った気がするので、とにかく謝ってみた。
空間魔法の効果にかなり驚かされたが、いよいよ進化するんだと考えると、喜びでワクワクが止まらなかった。そして、ステータスのレベルの横にある進化の文字を眺めて、進化と考えた。
【進化先を表示します】
あれ、前回と比べて、メッセージさんの言葉が違っていた。進化して変わったのかなと思い続きを聞いてみた。
【1ベノムフロッグ 2ベノムスネーク 3ヒュージスネーク】
すると、3つの進化先を表示してきた。今まで1つの進化のみだったのが、複数に進化出来るようになっていた。
「う~ん、迷うな。どれにしよう。単純にみて、1は水陸両用のカエルって事だろう。2は毒スキル特化のスネークで3は今のサイズからさらに大きくなるって事だよな」
複数進化があると思わなかったから何も予想していなかった。そのため、進化先を決めるのに戸惑っていた。これからラクーン大洞窟地下2階を攻めるにあたって出来るだけ有利になるように進化したかった。
そうすると、今更カエルに進化はないなと考え、毒特化か巨大化かその選択枝を残した。これまで、毒主体の戦い方をしてこなかった以上、巨大化の方がスムーズだと思う。しかし、様々な毒スキルを使えるとなると興味深くもあった。
単独であれば、毒特化の進化も考慮に入れていたが、ギィやアリスがいる以上、急激な戦いのスタイルの変更は危険があると結論づけた
「メッセージさん。3のヒュージスネークに進化します」
【『ヒュージスネーク』 に進化しますか? YES or NO】
「YES!!進化だ!!」
そして、予想通り睡魔がやってきた。進化後に睡魔が来なければ、本当に助かるんだが・・・。仕方ないな。
「次に目を覚ましたら進化しているんだな。さらに強くなっていることを望むだけだけどな」
そんなことを考えながら、その場で睡眠に入って行った。
※ ※ ※
「ふぁぁ~あ!すっきりとした目覚めだ。今回はどれくらい眠っていたんだろう」
隠れ洞窟内では太陽があるわけでも、時計があるわけでもなかった。そのため、時間を確認する手段が全くなかったのだ。
【現在、進化に要する時間は60分となっています】
「だっ誰だ!?」
急に声が聞こえてきたため、周囲を確認するように見回した。しかし、周囲は何時ものようにキルアント達がゆっくりと歩いている姿しか見えなかった。
「今、声を出したのは誰だ?」
【私は、インフォメーションです。現在お伝えできる情報の提供を行います】
これまで、メッセージさんはレベルアップとスキル獲得時くらいしか話をしなかった。それなのに、いきなりどうしたんだと考えた。
「そうか、自分自身が進化したことで、メッセージさんに何か変化があったということか!なら!インフォさんとメッセージさんはどこが違うんですか?」
【メッセージから進化してインフォメーションとなりました。今後はインフォとお呼びください】
やっぱりそうだ。メッセージさんが進化していた。であれば、色々と質問してみよう。
「えーっと、えーっと、え・・・・・・・・・・・・・・・、思いつかない」
いざ聞くことができるとなると、なんだか改まって質問することが見当たらなかった。
「う~ん、目が覚めたばかりだから、きっと頭が働いていないのかな。まあ、気になった時に聞けばいいか」
それよりも、進化した後の自分の体やステータスが気になっていたせいもあったのかもしれない。そう思うと、なんとなく納得できた。
まずは、体からだな。そう考えて、かま首を上げて上から自分の体を眺めてみた。
最初に驚いたのはそのサイズだった。長さだけで見ても、進化前の2倍はあった。それに、太さで言えば、ギィの胴体位あるんじゃないのか。まさに大蛇の貫禄があった。
それに、体表面の色にも変化があった。これまではどちらかというと黒だったのが、白に近い灰色になっていた。黄色いラインも変化していて、薄い紫色になっていた。しかし、ラインは尻尾の一部だけで、尻尾が見えない場合は、灰色の単色といえなくもなかった。
「体が大きくなったけど、明るくなって少しさわやかに見えるかもしれない」
進化に関する見た目は、自分好みになっていてホッとした。それに、これから雪世界に行くことを考えるとなおさら力強く感じた。
「見た目に関しては問題なしだな。すると、次はステータスだな。いつものやつで、ステータスでろぉ~」
進化で能力のアップも期待しながら表示されるのをまった。