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132 ・・・そして、大爆発

 でかドブネズミは自分の声に仲間が全員倒されたことに気がついたのか、キレッキレッにぶち切れていたように見えた。完全に見境なくファイヤボールをまるで火炎放射器のように打ちまくっていた。本来あるはずのクールタイムがなくなっているかの様だった。


 もう、ファイヤボールの連射じゃなくて、火炎放射器だな!!


 そして、さすがにこれだけの火力で炎をまき散らしている為、周囲は火の海と化していた。そして、バーサーク化しているように見えるでかドブネズミは自身の体に火がついていることも気にせずに自分を追って来ていた。


 ちょっと待てよ、無茶すぎるだろ!そんなのっ!


 火炎放射器をよけながら、右に左にジャンプを繰り交ぜて逃げて、逃げて、逃げ続けた。


 幸い、途中でアリスとギィと全速力で逃げながらも、合流することが出来た。


「師匠ぉぉ~!どうなっているんすっか!あれ、めっちゃ怒ってないすっか?」


「ああっ、めっちゃ怒ってるよ。しかも、周り火事だしな。おおっと、右に避けながらみんな聞いてくれっ!」

「はいっす」

「はいですわ」


 でかドブネズの火炎放射器をよけながら、みんなで右に避けて進んだ。


「あいつ、今ちょっとおかしなことになっているが、正面からは予知能力の様なものがあるんだ。次は洞窟の奥に向かってさらに右に曲がるぞ」

「はいっす」

「はいですわ」


 丁度洞窟の壁に沿って、奥に向かって進んでいった。でかドブネズミは火炎放射器を続けながら、洞窟の壁に激突することで、一瞬スピードがゆるんだが、自身のダメージを気にすることなく、壁を削りながら追いかけてきた。


「なんだよぉ。あいつのでたらめな防御力は!!え~とっ!話を戻すが・・攻撃は後ろからに集中するんだ。そういうわけで、2手に分かれるぞ。アリスとギィは自分の前に入ってから右に曲がって、でかドブネズミの右側に回り込んでくれ。その後、自分の方に引き付けて誘導するからな。いいか?何か質問は?」

「師匠っ!口あけてっ!」

「っえ!口を開けるのか!あ~~~!!こわっくっくっ!」


 げほっゴホッゴホッ。口を開けた瞬間に何かが入ってきた。そして、思わず飲み込んでしまった。


「ギィなんだこれ!」

「回復薬っす。そしたら、私たちは右っすね!」


 返事をするまでもなく、アリスとギィは右に曲がって、でかドブネズミの右側に進んでいった。


 でかドブネズミはアリスやギィのことには目もくれずに、自分に向かって火炎放射器を吐き続けた。


 念の為に、水弾丸(改)網を撃ち込んでおこう!


 ブァッ!サ~


 ギィとアリスがでかドブネズミの側を通り過ぎる時に、攻撃を食らってしまうと大ダメージになると考えて牽制の為に水弾丸(改)網を撃ち込もうと考えた。火属性の魔法に対して水属性の魔法であれば、牽制になるだろうと思っていた。


 水弾丸(改)網は大きく広がり連続で発射されているファイヤボールを包むように進んでいった。でかドブネズミは避けるそぶりも見せずに水弾丸(改)網に向かって直進してきた。


 うわぁ~!何も考えてないなぁ。あいつ。


 全く避けるそぶりがないので、続けて水弾丸(改)網を5発まとめて発射しておいた。最初の1発目を追いかけるように全6発の水弾丸(改)網がでかドブネズミに向かって行った。


 最初の1発目がファイヤボールに当たった瞬間、辺り一面にいっきに水蒸気が広がった。まるで、薄い霧に包まれるように見えた。そしてその中心に向かって残りの5発が向かって行く様子を見て焦りを感じた。


 えっ、もしかしてあれってやばいやつじゃないのか?

 っていうか、絶対やばいやつだ!


「みんな伏せろぉぉおおお!!!」


 よくわからないが、水が高熱に触れることで一気に広がるとそれが爆発みたいになるみたいなことを聴いたことがあった。今回の状況も直感でしかなかったが、もしも、こんな近距離で爆発が起きたら大変なことになるのではないかと感じたのだ。


 でも、異世界でみんな人間じゃないから案外大丈夫なのかなとも考えたが、用心しても問題ないだろうと思い声をかけた。


 ギィとアリスからは困惑した返事が聞こえたような気がしたが、それよりも先に水弾丸(改)網がでかドブネズミのファイヤボールの火炎放射器に当たった音が聞こえてきた。


 ボッボッボッボッボッ!ボワッフォォオオ!!オオオォォォォッ・・・。


 あれっ何も起きなかった!?


 一瞬にして視界が濃い霧に覆われてしまい、周囲を見ることが出来なくなった。そして、その中で聞こえてきた音が次第に小さくなって行ったのだ。勘違いだったのかな!一応、音が消えてしまうのを待ってみようと思った瞬間、


 ボワッフォォオオ!!ドガガガッァァァアアアアアアアアンンンンン!!!


 地面を揺るがすような振動と爆風が辺り一面に鳴り響いた。


 自分は爆風で吹き飛ばされ、洞窟の奥に向かって進んでいたので、そのまま奥まで吹き飛ばされてしまった。ギィとアリスはでかドブネズミの丁度右側に位置していた為、爆風で飛ばされたでかドブネズミと一緒に洞窟の反対側の壁まで吹き飛ばされていた。


 突然の衝撃でめまいがしたが、何とか体を無理やり起き上がらせて、ギィとアリスそれにでかドブネズミの飛んでいった方角を確認した。


 洞窟の反対側の壁がわに皆横たわっていたが、すぐに確認できた。


 なぜなら、爆発の中心から円状に草むらが完全になぎ倒されて、でかドブネズミの火炎放射器で燃え盛っていた草も完全に火が消えていたのだ。


「やべぇなぁあ!ここからじゃちょっと遠いな!」


 姿を確認することはできたが、でかドブネズミが先に目を覚ますとギィとアリスの命の危険があった。それで、急いで向かうことにした。


「うわぁああ、フラフラするし、体中が痛ぇなぁ」


 爆発の衝撃で脳震盪を起こしたのだろう、体を見ると全体に傷だらけだった。HPを確認すると、


 ーーーーーーーーー

【HP】 550/1645

 ーーーーーーーーー


 となっていた。途中でギィから回復キノコを食べさせられていたので、いくらかは回復していたはずだった。にもかかわらず現在HPが3割を切っているという状況を考えると爆風がどれほどすごかったのかが想像できた。


 ギィとアリスが自分の指示に従って伏せることが間に合っていればいいんだが・・・・。


 いくつかの不安を感じながら急いで皆のいる場所に向かって進んだ。



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