131 怒りのでかドブネズミ
久しぶりの続きとなります。お休みが長くなりすみません。
執筆が止まっていても、読んでくださる方がいることで少し元気も出てきました。
ありがとうございます。
若干心配したこともあったが、『アンダーフロア』は順調に進んでいたはずだった。でかドブネズミと赤ラインドブネズミが洞窟の両側に誘導できた状況はまさに、アリス達と入れ替わるのに絶好の機会に感じていた。
にもかかわらず、赤ラインドブネズミが盛大に転がっていたことに、でかドブネズミを誘導中であることをまたもや忘れて、口を開けたまま思考停止してしまった。
幸い、でかドブネズミも赤ラインドブネズミが盛大に転倒した方に気をとられていた為、自分へ攻撃することを忘れているようだった。
いや~、危なかったぁぁっ!
草むらから出していた頭を、勢いよく下げて猛スピードで移動を開始した。そして、移動中にこれからの対策を考えた。
おいおいっ、アリスっ、お前たち赤ラインドブネズミの麻痺攻撃は大丈夫なのか?
赤ラインドブネズミのあの倒れ方は明らかにお前たちの攻撃によるものだろう!
ついさっき死にかけたんだろうが・・・。
・・・・くっそぉぉおお!また、応援に行くかどうか迷うじゃねぇかぁぁあああ!!
自分だけで迷っていても仕方がないとおもい、移動しながら、でかドブネズミの動きを確認してみた。自分の動いた方にしっかり追ってきているように見えたが、あれはきっと正確に追えているわけではないだろう。なんとなくそんな気がした。
う~~ん!わからないことを悩み続けるよりも、一度大ジャンプをして、アリス達の様子を確認することにしよう。それが手っ取り早く解決できる。
でかドブネズミに姿を見せた後、草むらの中をしばらく進んでいたが、1度姿を見せた後なので、自分の動きを予測されることに心配な点があった。姿を見ていると予測できることは分かっていたが、その時間?距離?がどこまでなのか分からなかったからだ。
少し危険だが、でかドブネズミの方に方向転換をして後ろに回り込むことで、視界の外で大ジャンプをすることにした。
でかドブネズミから少し離れたところで方向転換をすませ、ゆっくりとでかドブネズミの方に向かって進んだ。方向転換をした時点で、でかドブネズミの視点は外れていたが、一応用心の為に、いつでも回避できるように意識をしたまま進んだ。
草むらで姿が見えないせいか、でかドブネズミは最初に進んでいた方向に向かってわき目もふらずに歩いていた。
あ~~~なんか拍子抜けだなぁ・・・。まあ、無事に通過できたからな。赤ラインドブネズミが転がっていったのは、あそこらへんだから・・・。
目標を決めて、大ジャンプをした。でかドブネズミの視界から外れる後ろ側からのだったが、ジャンプとほぼ同時に自分の居場所に気が付き、すぐにファイヤボールの攻撃態勢に入っていた。
しかし、自分のジャンプ中に狙って魔法を打ってきても、ほぼ当たらないのはわかっていたので、着地後に移動する方向だけ考えて、アリス達の方を確認した。
「なんだっ!あいつら赤ラインドブネズミをやっちゃんだ!かなり心配したがこれで残るはでかドブネズミだけだな。はははっ!!」
ジャンプしてすぐに、アリス達の場所を確認することが出来た。それは、赤ラインドブネズミの両サイドで殴り続けている姿が見えたからだった。・・・・無防備な赤ラインドブネズミの姿が少しかわいそうになるくらいだった・・・。
ジャンプしてよかったぁ。これで、応援に行く必要もなく後はアリスとギィの到着を待つだけだな。
いや、だめだ、アリスは遠距離攻撃が中心だから、いいとして、もしもギィがむやみに、でかドブネズミの正面から直接攻撃で向かって行くとやつの予測能力の餌食だ。格上であると思われるでかドブネズミの予想以上にスピードと威力のあるファイヤボールを食らうと命の危険につながるかもしれない。
かといって、自分がアリスとギィの方に向かってすれ違いになってもまずいし・・・。たった今ジャンプしてすぐにジャンプをするとなっても、でかドブネズミの予測で攻撃を受けるとまずいし・・・。やばい、困った。
困った。
・・・困った。
・・・・・・困った。
あっ!そうか、敵はでかドブネズミだけだから、自分がアリスとギィの場所に行き、そこまで、でかドブネズミを誘導すればいいんだ。
「アリスっそれにギィっ!今からそっちに行くから、動かずにまってろぉぉぉおおお!!!」
でかドブネズミを誘導する目的もあり、大声で集合することを伝えた。
・・・舐めてた!
・・・・・・でかドブネズミの事をとんでもなく舐めてた。
正面からの予測しかできないから・・・・。草むらの中で移動すれば見つかりにくいから・・・・。
であれば、簡単にでかドブネズミを振り切って、アリス達と合流できるだろうと簡単に考えていた。そのつもりで、全速力でアリス達の方に向かって進みながら、でかドブネズミの動きを確認した。
すると、でかドブネズミは体の周囲から赤い光が湧き上がり、さらに、目も真っ赤に染まってなんか炎をまとっているような表情になっていた。それだけでなく、ものすごい勢いで、自分に向かって走ってきた。あの巨体であのスピードは反則だろう。
やばいっ、やばいっ、やばいっ・・・・。
なんだ、バーサーカーモードみたいなものか!?やばすぎだろう。
それに、なんだ、口元が赤くなってって・・・・。走りながらファイヤボールを打ってくるのかぁ!!
ちょっとっ。まっすぐ進むとまずそうだから右に避けてっと!これでどうだ。
でかドブネズミは右に折れた自分に追随してくるかと思い見ていると、まっすぐに進みながらファイヤボールを打ってきた。
いや、そんな単発のファイヤーボールがあたるはず・・・・・が・・・・って、単発じゃない!!
2連続・・いや・・3連続・・そんなぁ・・・って、まだ続くの!!
って、ファイヤボール止まらないじゃないかぁぁあああああ!!!
それって、ファイヤボールじゃなくてもう火炎放射器でいいじゃないかっ・・・って!!
やばいよっぉぉおおお!!