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13 ラージスネーク

【ラージスネークへの進化に成功しました】


 メッセージさんの声で目が覚めた。


「あれ、びっくりしない!?ラージスネークに進化したから・・・なのかな!?」


【・・・・・・・・・・・・・ッ!】


「あっれ~メッセージさん・・・もしかして・・・今、何か言いましたか?よく聞こえませんでしたけれども。いや~そんなこと言うはずないですよね~。メッセージさんですもんね~。ははっ!」


【・・・・・・・・・・・・・ッ!】


「あっれ~メッセージさん。もしかしてこれまで、自分がびっくりするの楽しんでたのかなぁ~。でも~気のせいですよね。だって、メッセージさんに人格があるはずないしな、うん、やっぱりそうだ、自分の気のせい・・・ですよねぇ~」


 メッセージさんから特別な返事があったわけではなかったが、何か、苛ついているような雰囲気の言葉が出たような気がした。


 しかし、異世界に来て話をする相手がいないことで、独り言が増えていることもあった。


 それで空耳かなと自分自身に納得させることにした。


 そんなことより、まず、初めての進化だ。


 わくわくするなぁ!!


 気になるところは色々あるが、やっぱり最初は自分の外見がどうなっているかが、最も気になっていた。


 そこで、体のサイズや外観について観察してみた。


 頭の先から尻尾の先までの長さはスネークだった時の約2倍で4m程であった。


 ラージスネークというネーミングの通り体全体が大きくなっていた。


 そして、長さだけでなく太さも一回り大きくなっていて、盛り上がった筋肉がより頑丈に見せていた。


 進化前の体と較べて、とても強そうに見えた。


 もちろん、体が大きくなり筋肉量も増えれば当然だった。


 どう説明していいかわからないが、人間の腹筋のように割れているように見えるのだ。


 もしも、腹筋のように割れていたら、でこぼこの体になってしまう。


 不思議に思い体の表面をじっくりと観察してみた。


 ヒカリゴケの決して明るいとは言えない状況のなかで、じっくり見てわかったのは、頑丈に見えたのは筋肉の付き具合だけでなく模様が入っていたからだということに気が付いた。


 進化前の体は黒光りしていて、山で見かける普通の蛇によくある単色だった。


 それが、進化後は薄い黄色で縞が入っていたのだ。

 まるでボーダーTシャツの模様みたいだった。

 砂漠などでよく見かける毒蛇のような印象に見えた。


「おお!なんかカッコよくなったなぁ。進化してよかったぁ」


 そう思いながら、自分の体をしげしげと眺めていると、一つのことに気が付いた。


「う~ん、それにしても周りがよく見えるようになった気がするのだが・・・・・特に後ろがよく見えるんだよねぇ。まあ、もともと、頭が自由に動かせるから、後ろもよく見えてはいたんだが・・・気のせいかな」


 体の模様や天井や尻尾の先まで出来るだけ頭を動かさないようにして眺めてみた。


「いや~、気のせいではないよなぁ。前を向いているに、天井までよく見えるんだよな。っていうか、これ、頭を動かさなくても後ろまで見えてるよね」


 人間だったころと比べて、見え方があまりにも違っていた。自分の中では、ほぼ確信していたのだが・・・一応、念のため、一つずつ目をつむって見た。


「ひと~つ、ふた~つ、みぃっ~つ。う~~~ん、もう一回!ひと~つ、ふた~つ、みぃっ~つ・・・・・・やっぱり、目は3つあるな。間違いない」


 あまりにも見え方が違うので、人からだんだん離れていっていることに、すこし、違和感を感じた。


「まあ、全方位見えるのは、戦いには向いているよな。生き延びていくためには必要な能力か・・・ふぅ~」


 化け物じみてきた自分の姿に無理やり納得させた。

 常時3つの目を開いていると見えすぎて気持ち悪くなるので、普段は額のところにある3つ目の瞳は閉じておくことにした。


 見た目の観察もおおむね終わり、体が大きくなったことによる運動能力の変化の確認をしてみることにした。

 進化後にどの程度能力が向上しているかは、これからの戦いのためにも確認しておく必要があった。


 まずは前進することからだな。


 体も大きくなって重くなっていることを考えるとどの程度スピードが出るかはとても重要な能力だもんな。


「よし、まずは前進から・・・・うわぁぁぁぁぁ!!」


 正面にあった洞窟の壁がものすごい勢いで近づいてきた。


「とまれっ!とまれっ!ストップ!!すとーっぷ!!!」


 軽く前進しようとしたら、スネークだった頃の全速力ぐらいのスピードがでた。

 そのため、危うく洞窟の壁に激突しそうになった。


 体が大きくなったので、移動は少しのろくなるのではないかと考えていた。

 トラックを運転する時に出だしがゆっくりになる動作を想像していたのだ。

 しかし、実際にでたスピードはその逆だった為、余計に驚いた。


 心臓がバクバクしていた。


 少し落ち着いた後、過剰に動きすぎないように注意しながら、前進以外の動きをチェックした。

 後退や両サイドへの回避に、ジャンプに至るまで、進化前を軽く凌駕していた。


「うわぁぁ高性能だなぁ!進化ってものすげ~なぁ!こうなるとステータスを見るのがとても楽しみになってきたぞ!レベルアップや進化後のステータスってワクワクするんだよなぁ。RPGをしてた頃は、新しいスキルやレベルアップした数値に一喜一憂してたもんなぁ」


 ゲームをしていたころを思い出しながら、ワクワクしていつものようにステータスを呼び出した。


「よ~し!ステータスでろぉ~」


 ーーーーーーーーー


【名前】 なし

 NEW)【種族】 ラージスネーク


 NEW)【ランク】 F

【レベル】 1/15


【HP】  645/ 645

【MP】 2560/2560


【体力 】 135

【力  】 120

【知力 】 112

【素早さ】 122


【物理攻撃力】 310

【魔法攻撃力】 248

【物理防御力】1550

【魔法防御力】1330


【通常スキル】

 噛みつき ランク6

 牙    ランク6(+160)

 巻き付き ランク6

 ジャンプ ランク6

 魔力操作 ランク6

 隠密   ランク1(MP=50 time=30min)

 気配察知 ランク1


【特殊スキル】 

 卵の殻壁 ランク6(×10)

 水弾丸  ランク6(MP=1)

 水弾丸(改)ランク4(MP=15)

 鋼外殻  ランク2(MP=100 time=60min)


【耐性】 

 毒耐性(中)

 麻痺耐性(小)


 ーーーーーーーーー


 ステータスを見てMPと防御力の数値を何度も見返してみた。

 どちらも1000を超えていたのだ。

 それに、他の数値も、のきなみ3桁になっていた。

 これだけ数値がアップしていれば、運動能力が格段にアップしているのにも納得がいく。


「あっ、これって、最前線で魔法打ち放題!ってことだよね!ということは、ありんこも無双できるって事だ!!」


 水辺周辺に生息していたスライムやポイズンバタフライは際限なく復活してくるの。

 そうすると、ありんこ達も復活するのは間違いないだろう。

 しかし、進化前にあの量の集団を再度倒すと考えると、それだけで気持ちが折れそうになっていた。

 それでも、苦労するが何とかしないと先には進めないのでやるしかないと考えていたところだった。


 そこで、このラージスネークへの進化はうれしい誤算だった。

 これだけ能力向上すればあのありんこ達で更なるレベルアップができるに違いない。


 それを思うと一人で感激に打ち震えていた。


「よし!とりあえず進化後の確認はこんなもんだろう。次はありんこ攻略の為の準備をするだけだ!」


 出発の準備をするといっても、緑エノキを尻尾につかむだけだけど・・・・大きくなっても蛇だから。


「よし、準備は万端、これで出発だ!予想外に能力が向上したので、今の運動能力に慣れないといけないな!そうだありんこ洞窟までの道で色々な動作を試して慣れておこう。自分の動きに慣れてからありんこ攻略だな。うん、それがいい」


 大洞窟からありんこ洞窟に向かう間の大きな花の群生地で、ジャンプやサイドステップ、後退や後方ジャンプと考えられる移動の練習を考えられるだけ繰り返した。

 1日で慣れるかと思ったが、イメージとかけ離れすぎていたので大洞窟での動作練習の為、さらに2日間を要した。


 動作練習中にスライムや毒蝶々から攻撃を食らうことは全くなかったのだ。


 弱いモンスターは強いモンスターを察知して逃げていくのだと感じた。


 ・・・そういえば、スネークだった最初の頃はとても弱かった。

 しかも、この辺のモンスターに何度も殺されかけたし、巨大なオオトカゲから隠れて怯えていたもんな。


 進化前の感傷に浸りながらも、ラージスネークの身体能力にもだいぶ慣れて来たと感じていた。

 とっさの回避運動やジャンプ、そして、ジャンプの着地後すぐの回避運動まで色んな状況を想定して行ったトレーニングもようやく実をむすんだ感じがした。


「よし、これからありんこ攻略だな。進化して強くなったとは言え、あの防御力と集団の力は侮ってはいけない。絶対に侮ってはいけない」


 RPGとは違い、命は一つしかないことを心に刻みながらゆっくりとありんこ攻略に向かって進んでいった。

 そして、大きな花の群生地の端から、ありんこの洞窟が見える距離に到着した。


「進化で防御力は高くなったが、集団戦闘がまっている。だから、用心のため、鋼外殻と隠密を使用しておくことにしよう!」


 戦闘前にもう一度、自分に用心するように言い聞かせた。


「鋼外殻!」

「隠密!」


 そして、2つの魔法を唱えた!。


 鋼外殻は体全体に薄い膜がかかる感じだからすぐに見分けがついた。

 しかし、隠密は使用しても、いまいち、その感覚はわかりにくかった。

 ただ、なんとなく、周りが急に静かになったような気がした。


「ジャンプをしてありんこ洞窟に飛び込み、とにかく、水弾丸(改)槍を打ち込みまくる。そして、赤色ありんこには気を付けるっと」


 よし、作戦は決まった。

 作戦といえるほどのものではないが、言い換えれば、魔法打ちまくりの行き当たりばったりってことだけど・・・・。


 そして、作戦通りに、ジャンプで一気にありんこ洞窟の前に出た。

 洞窟の中は前回と同じように、60匹くらいのありんこがひしめいていた。

 もちろん、赤色ありんこを警戒するために、第3の瞳も開けている。


 赤色ありんこはありんこ達の最後尾で、しかも天井にいたので、普通に見ていれば気が付かなかっただろう。

 ここで、第3の瞳の効果を実感し、やはり、赤色ありんこは最大警戒が必要だと認識した。


 ありんこ達の前に出ているが、隠密の効果と急に現れた自分の姿に気づいていたありんこはいなかった。

 そこで、さっそく水弾丸(改)槍を連続発射した。


 水弾丸(改)槍!、水弾丸(改)槍!、水弾丸(改)槍!、水弾丸(改)槍!、水弾丸(改)槍!、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・水弾丸(改)槍!、くらえ!


 水弾丸(改)槍!を60発位連続で発射した。

 おかげで、ありんこはほぼ全滅させることができた。

 しかし、衝撃による砂ぼこりと大量のありんこの死骸の為、赤色ありんこの所在を見失ってしまった。


 3つの目を使って、赤色ありんこを必死で探してみたが、砂ぼこりやらなにやらで見つけることができなかった。


 そんな中、ありんこの死骸が動いた。


 倒せていないやつがいたのかと思った瞬間、そこから赤色ありんこが飛び出してきた。

 やはり油断できない相手だ。

 仲間の死を無駄にしないとでも言っているかのようだった。


「きっと、なかまの死骸を使ってくるだろうってのは予想済みだよっと、水弾丸(改)槍!を2連射する」


 2発とも命中!よし!と思い、次を探した。

 しかし、赤色ありんこはそれ以上出てこなかった。

 おかしい、そう思ったと同時に、後方から赤色ありんこが攻撃してきていた。


 洞窟の天井か、仲間の死骸の中から攻撃してくると踏んでいたが、いつの間にか後ろに回り込んでいたのだった。


「間に合わない!」


 身体能力も向上し、3つ目の瞳で視野も広がっていたが、赤色ありんこが一枚上手だった。


 3方向から同時に麻痺する針のようなものを刺された。


 やばい、麻痺攻撃だ!そう思った瞬間。


 【パラライズニードルを獲得しました】

 【麻痺耐性(中)を獲得しました】


 メッセージさんの声がした。


「あっ、やっぱり驚かないな」


 そう思った後、


 【・・・・・・・・・・・・・ッ!】


「えっ、メッセージさん、やっぱり、何か言ってるでしょう!?」


 しかし、メッセージさんからの返事はなかった。


「いや、いや、今はそれどころじゃなく、攻撃を食らってたんだった。あ~でも、あんまり、体の動きが悪くなってないなぁ」


 そう思いながら、続けて噛みつき攻撃を仕掛けてきた赤色ありんこへ水弾丸(改)槍を3発お見舞いした。


 シュヒュン!シュヒュン!シュヒュン! 


 身体能力が向上し、全方位確認ができる。

 特に防御力が格段に上がった今、赤色ありんこの攻撃ではほぼダメージを受けることがなく、落ち着いて攻撃が出来る分3体の赤色ありんこに水弾丸(改)槍を外すことなく倒すことができた。


 【レベルが1上がり。2になりました】

 【水弾丸(改)のランクが上がりました】

 【鋼外殻のランクが上がりました】

 【気配察知のランクが上がりました】


「あっ、レベルが上がった。あと、いくつかランクも上がったな。驚かないでいるとメッセージさんの声はとてもかわいいかも!」


 【♪♪♪!】


「あ~~進化した後、メッセージさんに、なんだか感情表現が出てきた気がするな!?」


 異世界転生して会話をする相手がいないから寂しかったのかもしれない。

 それに、単なる思い込みかもしれなかったが、メッセージさんが日本語で話してくれることはとてもうれしかった。


「あっ、そうだ、レベルが上がったから、あの、いやな睡魔がやってくるんだった。どうにかならないかな。あの睡魔・・・ほんとっ先に進むことを邪魔しているんじゃないかと思うよ。マジで!!」


 そう言っても、レベルが上がって30分後に睡魔が来るのは仕方がないので、ご褒美にありんこをつかんで住処に向かった。

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