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122 アリスを見殺しにするのか!?

 

 普段から安全マージンは多めにとって、無理な攻撃をすることはないアリスに限ってそんなことはないと信じていた。


 しかし、今、自分の視界の中にいる赤ラインドブネズミは立ち止まって何かに攻撃を仕掛けている。


「あそこで赤ラインドブネズミと戦っていたのはアリスだ・・・他には誰もいない・・・はずだ。何もいないところにあれほどの攻撃をすることはあり得ない・・・」


 自分の心配は一気にレッドゾーンを振り切っていた。


 すぐにでも応援に向かいたい・・・。


 が・・・、自分がこの場を離れたら、でかドブネズミに赤ラインドブネズミとの合流を許してしまう。


 でかドブネズミの能力がわからない状態でこの場を離れるのは一気に勝利から遠ざかってしまう。


 それは、逆に・・・・全滅につながる・・・のか!?



 だから、それを言い訳にして・・・このまま、アリスを見殺しにするのか?



 ドクンッ!!



 自分の中の血流が加速して、心臓が大きく動いたような気がした。



 ドクンッ!!ドクンッ!!



 いや、自分の中で間違いなく、心臓が高鳴っていることを感じていた。



 アリスを見殺しにして、この先やっていけるのか!?



 ドクッ!ドクッ!ドクッ!


 ドッ!ドッ!ドッ!


 ドドドドドド・・・・・・ッ!



 考えるまでもなく、心臓が教えてくれていた。



 今は、アリスを全力で助けるんだ!



 結果全滅しても、後悔はしない!



 もしも、助けずに自分とギィだけが残ってもそれではのちのち絶対に後悔する。



 そうだっ!今、後悔することはアリスを助けないことだ!!



 だから、今は助けることに全力を注ぐっ!!!



 自分はでかドブネズミとの闘いの最中だったが、アリスを助けに行くという選択をした。


 動きを決めたあと、心臓の鼓動はいつも通りに動いているのだろう。


 少し冷静になっているのに気が付いた。


 しかし、今いる位置からアリスのいるところまでは、距離がある。



「くっそぉ!遠いなぁ!」



 アリスは今赤ラインドブネズミの猛攻撃を受けている。間に合うのか心配ではあったが、それは、アリスのところまで行ってから決めればいい!!



「えーーーーい!!ままよ!」



 そう考えて、アリスに向かって飛びだそうとしていた。



「なんだっ!!!」



 ふっと危険な気配を感じた。


 体中のうろこが逆立つような感じだ!



 アリスの事を考えることに集中しすぎていた為、移動するのを忘れて止まったままでいた。水弾丸(改)槍を発射して移動することを繰り返すはずが、肝心な移動するのを忘れていたのだ。



 その時間はほんの数秒であった。


 しかし、その数秒が、でかドブネズミにとって自分を見つける機会を作るには十分すぎる時間でもあった。



「やばい!!!」



 でかドブネズミがものすごい勢いでこちらに向かってきている。


 攻撃と逃げるを繰り返すことで、溜まったうっぷんを晴らすかのように、ものすごい形相に見えた。


 でかドブネズミにそのような感情があるかどうかはわからないが、変わらず怒りのこもった表情をよく見ると、口の辺りに赤い光が見えた。



「うわぁ!口の辺りの赤い光は魔法じゃないかぁっ!!」



 でかドブネズミは走って自分の方に向かってきつつ、ファイヤーボールをこちらに向けて発射しようとしていた。



「このまま普通に避けていても間に合わないっ!」



 通常の動きでは、でかドブネズミのファイヤーボールをよけることは到底無理だと感じた。


 アリスの事も気になるが、とにかく、今は・・・。


 でかドブネズミの攻撃を回避することに専念することにした。



 といっても、逃げる手段はジャンプしかない。



 しかし、これからの自分がアリス救出に向かうということがばれてはまずい。



 でかドブネズミの視界の範囲内でジャンプをしたら・・・・でかドブネズミに自分の動きが読まれてしまう。


 右に飛んでも、左に飛んでも、後ろに飛んでもでかドブネズミの視界から外れることはできない。


 でかドブネズミの視界に入ると、どういうわけか自分の動きが読まれてしまう。


 そしたら、残る方向は前・・・正面から向かってきているでかドブネズミの頭上を越えてジャンプするしかない。


 でかドブネズミはファイヤーボールを発射寸前だった。


 危険だとは思ったが、今は危険な状況よりもアリス救出が1番必要だと思い、一気にでかドブネズミの方向に向かって大ジャンプを実行した。



「飛べーーーーーーーーっ!!」



 自分のジャンプとでかドブネズミのファイヤーボールの発射がほぼ同時だった。


 ファイヤーボールのスピードはそれほど速くないが、自分がジャンプした方向に向かって飛んできていた。



「やっぱり狙われていたかっ!!」



 でかドブネズミは自分のジャンプを読んでいたようにファイヤーボールを上に進むように角度をつけていたのだ。



「狙ってくるのは自分も織り込み済みだよ!!」



 しかし、自分のジャンプスピードを読むことまでは出来ていなかったようでこのまま飛べば当たらないと感じた。ファイヤーボールのスピードが遅いこともあったが、何とか直撃を避けることが出来た。



「よし、次はアリス達の確認だなっ!」



 と、思った瞬間ファイヤボールの死角の位置からもう1発のファイヤーボールは飛んできていた。



「なんだ!自分が予測することを予測していたのか!?くっそぉぉおお!!!」



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