表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
121/238

121 アリスに何が起きてる?

「ギィちゃん!ちょっと、あの赤ラインの御方が見えるように体をすこし動かしていただける?」


「これでいい?」


「ええ!ありがとうですの」


 アリスは横になった状態から、赤ラインドブネズミ達を見ていた。この場所から見える赤ラインドブネズミは、周辺を警戒しながらうろうろしていた。


 草むらが深いとはいえ、赤ラインドブネズミの頭と背中部分が出ているので所在を確認することは簡単だった。


 ただし、リーダー格のドブネズミの姿は見えなかった。また隠れて、周辺探索をしているんだろう。


 しかし、それでも自分達に気づいた様子は()()なかった。


 アリスはこの後の状況を想像して、心配なことがあった。


 それは、いつまでも赤ラインドブネズミ達が周辺探索を続けてくれるわけではなく、そろそろ私たちが近くにいないということに気づくだろうということだ。


 一方、私はまだ麻痺した状態で何らかのアクションを起こすことはできない。麻痺が解けるのを待つ以外に出来ることはなかった。


 それは、ギィも同じだった。麻痺耐性のないギィにとって、白とげは絶対に受けてはいけない攻撃だったからだ。


 ただし、それも攻撃をするって事に関してのみだった。


 仮に、私たちの方にやってきたとしても、ここまで来た時と同じように、ギィちゃんに抱えてもらい逃げれば済むことだった。


 ここまでは構わない。しかし、一番の問題は私たちが近くにいないことで赤ラインドブネズミが追撃をあきらめることだった。


 そして、あきらめて移動するとするとしたら、間違いなく、でかドブネズミの応援に行くはずだ。



 師匠と考えた作戦も私たちが考えた作戦もどちらも失敗となる。



「困りましたわね!」



「アリスちゃんどうしたの?もしかして淑女のたしなみってやつですか?ここだと茂みの中でひっそりと行うって・・・ここ茂みだし、私後ろ向いておこうか?」


「もう!ギィちゃんたら、冗談なのか本気なのかわからないですわ!!・・・それに、違いますわ。赤ラインドブネズミの事ですわ」


 こんな緊張感の中で、あきれたことを話してくるギィにいら立つような、ほっとするような気持にさせられたが、ギィだから仕方ないと半ば怒るのをあきらめて話を続けた。


「でも、まだうろうろしているだけだけど・・・」


「今は・・・ですわ!もしも、私ならば、そろそろ近くにいないと仮定して別の動きを始めますの!う~~ん。きっと、師匠とでかドブネズミの戦いの応援に行くはずですわ・・・」


 ギィに状況を想定させるのは、きっと理解できないと考えてまずい方の結果だけを伝えた。


「それは、まずいっすよ!師匠に怒られるっす!アリスちゃんどうしたらいいと思う?すぐに飛び出てファイヤーボールをぶつけてくる?」


「まって!まって!まって!そんなことしたらせっかくの私たちの作戦が台無しになってしまいますわ。」


 ギィは直感で物事を考えてしまう傾向がある。戦闘における直感とその対応の速さは目を見張るものがあるが、時に浅はかである・・・・。


「とにかく今はギリギリまで、私の麻痺が解けるギリギリまで待ちますの!!ギィちゃんお願いね!」


「うん!アリスちゃんわかったよ!いつでも飛び出せるようにしておくから教えてね!!」



 ※     ※     ※



 自分は草むらの中をひっそりと進んでいた。進行方向がばれないように、こまめに方向転換を行いながら、方向転換の直前に尻尾の先から水弾丸(改)槍をでかドブネズミに向かって発射していた。


 でかドブネズミに水弾丸(改)槍を発射し、でかドブネズミが進むのを確認した後、もしも右側に進んだら反対側である左側に進み、いつも左側だとおかしいと思い、時には奥側だったり、さらに右側だったり、また左側だったり、時には離れた奥からだったり、と完全にでかドブネズミを翻弄していた。


 でかドブネズミを翻弄出来てはいたが、自分が水弾丸(改)槍を発射したしたら、発射した場所にまっすぐに向かってくる。


 しかも、そのスピードはかなり速かった。


 それゆえ、落ち着いてでかドブネズミに狙いを定めて水弾丸(改)槍を発射することはできていなかった。


 それでも、数発に1発程度はでかドブネズミに当たっているはずだが、でかドブネズミはどれほどHPがあるのだろうか、一向にダメージを与えている気がしなかった。


 それどころか、本当にダメージを与えられているのだろうか心配になるくらいだった。


 とにかく、作戦『アンダーフロア』の為、赤ラインドブネズミとでかドブネズミは離しておかないといけない。


 今は、ダメージを与えるよりも、距離をとることを優先させる必要があると考えていた。


 翻弄しながらも、少しづつ右側の壁に向かって誘導していた。


 そのため、自分はでかドブネズミを引き付けておくことだけは確実に行えていた。


 移動を繰り返しながら、ふと赤ラインドブネズミの姿が目に入った。


 赤ラインドブネズミが立ち止まって白とげを同じ個所に撃ち続けていたのだ。



「えっ!なんでだ!」



 ずっと移動を繰り返して、アリスと戦闘を続けていたはずだが・・・・・・。



「なんだ!何が起きているんだ!そんな・・・まさか・・・アリスが・・・やられているのか?」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ