114 なんでこちらの動きが読めるんだ!!
とにかく着地後すぐに発射だ!!
水弾丸(改)槍!!
自分に対してすでに正面を向いているでかドブネズミに対して、悠長に狙いを定める時間はなかった。
そのため狙いも適当に5連射しておいた。
ジャンプ後の着地で滑りながらの連射だったので、運よく少しづつ角度がついた状態で発射出来ていた。おかげで5発の水弾丸(改)槍は扇状にでかドブネズミに向かって進んでいった。
近距離での水弾丸(改)槍はスピードもあり、でかドブネズミの体のサイズなら全弾当たると予想した。にもかかわらずでかドブネズミはすでに回避行動を始めていた。
なんだっ!!発射したとき・・・いや、発射とほぼ同時じゃなかったか!!
ウルトラソニックの効果があるはずなのに、まるで自分が水弾丸(改)槍を発射するのをわかっていたような感じで避けていたように見えた。
素早さが下がっているでかドブネズミは全てをよけることが出来ずに水弾丸(改)槍は3発命中していた。しかし・・・。
うっ!!この距離で2発も外れた・・のか!?
その上、水弾丸(改)槍が3発命中したはずなのに、でかドブネズミはうろたえもせずにファイヤーボールを発射してきた。
ダメージを気にしないのか!?それとも、効果がない!?
着地後にスリップ状態が続いていたので、すぐにジャンプをすることが出来ずにいた。しかも、こちらの攻撃にひるむことなくでかドブネズミはファイヤーボールを打ってきていたので、その分、自分も反応が遅れてしまっていた。
結果、自分は体の側面全体をでかドブネズミに対して無防備にさらしている状態だった。
相手からすればどこに撃っても当たる状態に見えたはずだ。
でかドブネズミはその隙を逃さずに、ファイヤーボールを撃ってきていたのだ。
ファイヤーボールが自分に対して容赦なく迫ってきていた。
自分はというと体が伸び切っている上に、まだ前方へのスリップは続いていた。
そんな状態では、ジャンプをしようとしても、全く力が入らない。
ジャンプが出来ないならどうする!?
このまま無防備なまま攻撃をうけるか!?
そんなのは嫌だ!!
とにかく当たる面積を小さくして避けるしかないぃぃぃぃいいいい!!!!
全身の筋肉を振り絞って、首から下を無理やり前に出した。
ズジャジャザザッズシャーーーーァァァアア!!!
首から下を前に無理やり出すことにより、まるでバールが横に滑っているようになった。
でかドブネズミも素早さが落ちている状態で、自分が滑っているスピードも速かったせいか、ファイヤーボールは丁度自分の体の中心より後ろに向かって飛んでいった。
しかし、体を折り曲げなかったら、完全に命中していた。
結果、ファイヤーボールの直撃は避けられた。
しかし、そうはいってもファイヤーボールのサイズが大きいため完全によけることはできずに尻尾の一部にダメージを受けていた。
直撃を避けることができたと思った矢先、でかドブネズミはさらにファイヤーボールを打ってきていた。
しかも今度は頭だ!!
自分はまだ体の制御ができてなく、しかも、前弾を避けるために体を前に進めたことで、スリップに加速がついていた。
くっそぉ!しつこい上に狙いも正確じゃないかぁぁあああ!!!
次は避けられないっ!!
そう考えたが、なぜか1つ避ける方法を思いついた。
曲げることが出来たなら、今度は伸ばせばいいだろぉぉおお!!!
そして、曲がった首をまっすぐに伸ばした。
すると、今度は、滑りながらも丁度でかドブネズミに対して、全身まっすぐにな状態になった。
曲がった首をまっすぐにしたおかげて、抵抗が少なくなり減速スピードが下がっていった。
それならと、いっそ止まろうとするのをやめることにした。
止まるのをやめてどうするかというと、さらに転がることにしたのだ。
そして、力いっぱい頭をひねって転がり始めた。
「回れぇぇえええ!!!!」
すぐ側をファイヤーボールがかすめていきながらもなんとかよけることが出来た。
その後にも、ファイヤーボールは2発・・・3発・・・4発・・・5発と連続で飛んできたが、でかドブネズミに対して、まっすぐに転がっているため、うまく狙いが定められなくて、全弾よけることが出来た。
グルグルと横に転がることで、スリップしていた状態から体の制御を取り戻すことが出来た。
体の制御が取り戻せたっ!!
いまだっ!!
でかドブネズミから距離をとるように後方ジャンプをした。
ジャンプと同時に、でかドブネズミのファイヤーボールの6発目が発射されていた。
そして、そのファイヤーボールはジャンプする前に自分がいたところに着弾していた。
ふぅぅぅぅーーーーーー危なかったっ!!
後方ジャンプしたあとに着地したところは草むらで、自分の姿を完全に隠せるくらい深くなっているところだった。
近距離での戦いはまずいな多少時間がかかっても、遠距離から攻撃していくか!!
丁度草むらも深くなっているので、洞窟の壁側に向かって高速で移動した。
なんなんだ!?
あいつ・・・なんであんなに正確にこちらの動きが読めるんだ!
草むらの中を着地した場所から右側に移動しながら、でかドブネズミの動向を見ていた。でかドブネズミは自分が着地したところを目指して進んできていた。
これまでのでかドブネズミの動向を考えると、着地した場所まで着た後に、今進んでいる自分に向けて攻撃をするつもりだろう!
・・・そう考えていたが、攻撃してこなかった。ファイヤーボールくらいは飛んできてもいいと思っていたが、ファイヤーボールすら打っては来なかった。
もしかすると、自分が着地した付近に、あのリーダー格のドブネズミが待機しているのかもしれない。
もしくは、隠密で気配を消しているので、何とかばれずに移動することが出来ているのかもしれない。
理由はわからないが、攻撃が来ないなら距離をとって、攻撃態勢を整ればいい。
そう考えていると、先ほどの近距離での攻撃に対して、水弾丸(改)槍を3発しか当てられなかったことに苛立ちを思い出した。
くっそぉ!なんでだぁ!!
後ろに回り込もうと思っても、全然回り込めなかったぁぁああ!!!
おかしくないか!?
自分の考えが読めるのか?あいつ!!
よくわからないが、動きが読まれているとすると近距離で攻撃するのはまずい。だから、ウルトラソニックの効果があるうちに遠距離から攻撃を続けていくしかない。
丁度今自分は深い草むらの中にいて、でかドブネズミから目が離れている。
この距離があれば、こちらの動きがわかっていても構わないと考えた。
でかドブネズミが自分の位置を見失っている今、とにかく水弾丸(改)槍を打てるだけ打ち込んでやるよっ!!
草むらの中から、水弾丸(改)槍をでかドブネズミに向かって連射した。
でかドブネズミは、草むらの中から急に飛んできた水弾丸(改)槍を回避することが出来ずに、数弾直撃させることが出来た。通常であればもう少し当たると思っていたが、回避行動を始めるのが早いと感じた。
でかドブネズミは回避行動をした後にすぐ、自分が発射したところに向かって進んできた。
しかし、でかドブネズミが回避行動を開始すると同時に、自分はすでに移動を開始していた。
その場所には自分はもういないよぉ~!
でかドブネズミに対して先手をとれたことで、自分の動きが読まれていないと嬉しくなっていた。
しかし、この時、最初に深い草むらに着地した時に攻撃してこなかったこと、それと、今、水弾丸(改)槍で攻撃した後に、じぶんの移動先を把握できていないことに何らかの共通点があるのでないかと気が付いた。
それは、でかドブネズミに自分の動きが読めるなら、水弾丸(改)槍を発射した場所ではなく、今進んでいる自分の方に来るはずだ。
しかし、でかドブネズミは水弾丸(改)槍を発射したところに向かって進んでいた。
・・・自分の動きが読まれていない・・・のか!?
・・・姿が見えないと、でかドブネズミは自分の動きを予測できないのか!?
常に動きを読むことが出来ないとわかったことに少し勝機が見えた気がした。
それは、深い草むらのなかでの移動に関して、ギィの通常移動までとはいかないが、ジャンプを使わなくてもある程度のスピードで移動することが出来るのだ。
草むらの中での移動は、蛇である自分にとってはかなり有利な環境になるんだと感じていた。




