108 打開策
こうなったら増援が到着する前に、赤ラインドブネズミを何とかしないといけない。
これまでの赤ラインドブネズミとの対戦を振り返ってみた。何か打開策が見つかるかもしれないと考えたのだ。時間のない今こそ必要な手続きだと考えた。
ウインドカッターを打ちまくった時に1~2発は当たっていたはずだ、しかし、大きなダメージになっていた様子がなかった。仮にダメージを受けていないふりをしていただけだとしても、致命的なダメージになっていないのは確実だった。
それに、赤ラインドブネズミは白とげがあるから、遠距離からでも攻撃を加えてくる。しかも、麻痺耐性のないギィにとってはかなり危険な相手となる。
これまでの戦いの中で、赤ラインドブネズミは白とげでの遠距離攻撃しか行っていない。もしも、近距離で強力な攻撃手段があるとするとむやみに近づくのは危険だ。
くっそぉ!わからない情報だらけじゃないか!あいつが1匹だけならいいのにまだ2匹も残っている。それに増援に来るドブネズミが同じやつかもしれない。
あーー、落ち着け!自分、落ち着くんだ!
慌てても何も良いことないじゃないか!
それは、これまでの戦いの中で分かってきたことだろうがっ!
ふぅぅぅぅーーーーーー
はぁーーーぁぁあああ!!!
とにかく深呼吸をして気持ちを落ち着かせた。
何か困難なことがあった時に深呼吸って・・・、最近よく深呼吸しているよな。
でも、大事なことに思えるから丁度いいや。
もう1度考えるんだ。打開策を見つけるんだ!
攻撃は遠距離の白とげ、近距離は不明。
耐久性はウイングカッターを数発受けても何ともない。
HP,MPなどもろもろ不明だ。
体のサイズはドブネズミと同じで小さい。
スピードは速い。
やっぱりわかんないことだらけだし、対処方法を思いつかないじゃないかぁあ!!
何かないか!?
何か!?
何!?
近距離攻撃は不明・・・耐久性もかなりある・・・スピードは速い・・・HP・MP不明・・・。
『スピードは速い』このことに何か引っかかるものを感じた。
そうだ!スピードか!
スピードが速いのが問題だとしたら、遅くすればいいじゃないか?
自分にはウルトラソニックがある!!
攻撃ばかりに目がいってしまい、自分のデバフスキルの事を完全に忘れてしまっていた。
そしたら、このデバフスキルをどう使用すればいいんだ!
現状、赤ラインドブネズミは壁側に1匹、中央に1匹と離れたところに点在している。
同時に対処できない・・・そうだ、ここも逆転の発想だ。
同時に対処しなくてもいけるじゃないか!
そうだ!1匹づつ対処すれば何とかなる。
いわゆる各個撃破していけばいいんだ!
パターン①
壁側の赤ラインドブネズミにウルトラソニックを当てて倒す。
パターン②
中央の赤ラインドブネズミにウルトラソニックを当てて倒す。
パターン③
壁側の赤ラインドブネズミにウルトラソニックを当てて、中央の赤ラインドブネズミを倒す。
パターン④
中央の赤ラインドブネズミにウルトラソニックを当てて、壁側の赤ラインドブネズミを倒す。
今自分がいる位置は中央寄りだから、パターン④でいけばよくないか!!
中央の赤ラインドブネズミにウルトラソニックを当てて、そこからジャンプ&巻き付きで固定したままポイズンファングで噛み付きを入れる。そして、同じ要領でスピードの遅くなった中央の赤ラインドブネズミを倒す。
よし!これでいける。
これで倒せるかもしれない。
あとは、時間との勝負か。
そうと決まれば、さっそく開始だ。
自分は壁がわの赤ラインドブネズミと中央の赤ラインドブネズミに少しでも距離がでるように、ジャンプで右の壁よりに進んだ。
自分が右に進んだことで、中央の赤ラインドブネズミは自分に気が付いて少し距離を近づけてきていた。きっと白とげの射程範囲に自分を入れるためだろう。こうしてみてくると、案外赤ラインドブネズミに近距離攻撃手段はないかもしれない。
それはちょっと安易に考えすぎているかもしれない、例えば、白とげで威嚇を続け、仲間が来るのを待っている可能性もあるからだった。
とにかく、中央の赤ラインドブネズミが移動を終えるのを待っていた。それほど、移動してこなかったが、壁側のやつと中央のやつの距離を少しでも離すことに成功した。
今度は、右の壁際から最大ジャンプで一気に中央の赤ラインドブネズミの側まで詰めた。急な移動に驚くかと思ったが、中央の赤ラインドブネズミは冷静なまま、白とげの連射をしてきた。
近距離だったせいもあり、10数発白とげを食らってしまったが、代わりにウルトラソニックを当てて素早さ減少させることに成功した。
ウルトラソニックの効果時間・・・60秒
このまま、ここで倒してしまった方がいいのかもしれないという考えが頭をよぎったが、ウルトラソニックの効果時間を効率的に使用できるのはやはりパターン④だろうと考え、壁側の赤ラインドブネズミにの方に体を向きなおした。
そして、そこから一気に最大ジャンプで壁際の赤ラインドブネズミの方に向かった。しかし、1回の最大ジャンプでは赤ラインドブネズミには届かなかった。
それだけでなく、壁際の赤ラインドブネズミに自分が向かっていることを気づかれてしまった。