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106 赤ラインドブネズミ

 倒れているギィとギィをかこんでいる4匹のドブネズミの間に滑り込むように割り込んだ。それにより一旦ギィの危険は回避されたが、自分は4匹のドブネズミ達の正面でしかも無防備な状態をさらしていた。そんな状態の自分を放置しておいてくれるはずもなかった・・・。


「少しだけ見逃してくれるなんてことは・・・うわぁぁぁぁぁぁ」


 ちょっとだけかわいらしくお願いしてみたが、4匹のドブネズミ達からの容赦ない一斉攻撃がやってきた。


 最初に来たのは噛みつきだ。


 左側にいた2匹のドブネズミは自分に向かってきて勢いよく噛み付いてきた。さっき戦っていたドブネズミの噛み付きとは違って威力が段違いだった。



 もしかして魔法か!



 そして、噛み付かれただけでなく、針のようなもので刺された感覚も感じた。



 単純な噛み付きじゃないのか!?



 痛みの走ったところを見てみると、そこには白いとげが4本刺さっていた。



 痛てぇーなぁ!くそぉっ!早くこの場を離れないとまずいっ!!



 危機感を感じながら、さらにドブネズミの方から白いものが飛んできていた。たった今、針のような痛みを与えたものだった。それがさらに飛んできていたのだ!


 針の飛んできた方向をたどっていくとそこにいたのは、後からやってきた2匹のドブネズミだ。


 そいつらは背中に赤いラインが入っていた。今までのドブネズミにはそんなラインは入っていなかったから、もしかするとドブネズミの上位種なのか!


 そいつらは直接攻撃するために向かってくることはせずに、尻尾から()()のようなものをとばしてきた。


 連続して痛みが続いた後、刺された部分にしびれを感じた。


 この感覚・・・もしかして麻痺の性質を持っているのか!?


 自分やアリスは麻痺耐性があるから何とかなりそうだが、ギィとは相性が最悪だ!もしも、麻痺のとげを受けたら命の危険がある。


 うっ!ぐっ!


 白いとげが直撃した!


 なんだこのとげしびれだけでなく、攻撃力も高い、しかも連続なのかぁぁああ!!


 最初の2匹のドブネズミは噛み付いたまま離さないし、奥のドブネズミは連続で白いとげをとばしてきていた。単発の発射ではあるが、射撃精度も高く、すべて命中させてきていた。


 後ろにギィが横たわっている以上、麻痺系の白いとげを受けてしまうとまずい!それならば、今は自分が凌ぐしかない。そう考えて、ギィに向かっているアリスのほうに意識を向けた。



 まだ、距離があるな!


 すぐにはギィのところまで到着できないか!



 こうなったら凌ぐしかないか!ドブネズミ達とギィの間に滑り込んで崩れた体勢もそろそろ整え直すことが出来ていた。ドブネズミ達の一斉攻撃ではかなりのダメージを受けたような気がしてHPを確認してみた。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーー

【HP】 1130/1645 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーー


 3割くらいダメージを受けている。ドブネズミ達の体のサイズにしては予想以上のダメージ量だった。ドブネズミの噛み付きよりも、赤ラインドブネズミの白いとげの連射のせいだろうと思った。倒れ込んで起き上がるまでの時間で20~30発位打ち込んできていたからだ。


「ちくちくとうざいなぁ!お前ら!そして噛み付くだけしか能がないのかぁぁああ!!」


 横たわった自分の体を起こして、ギィに白とげが当たらないように配慮しながら、噛み付いたまま離れようとしないドブネズミに巻き付きを行おうとした。


 するとドブネズミの1匹が声を出した。


「ジッジッジッ!!」


 声を出した瞬間、噛み付いていたドブネズミ2匹が急に離れようとしていた。声を出した方が、何か指示をだしていたに違いない!


「逃がすかぁぁあああ!!!!パラライズニードルっ!!!」


 巻き付きは失敗したが、2匹とも逃がしてなるものかと、尻尾に麻痺の効果をまとわせて1匹のドブネズミに叩きつけた。声を出していた方には届かなかったが、もう1匹の方には完全に当てることが出来た。麻痺耐性は全くない様で、パラライズニードルが当たったドブネズミがその場で麻痺していた。


 麻痺したドブネズミを噛み付きで絶命させたあと、口の中で力なくぶら下がっているドブネズミを、しつこいくらい白とげを打ち続けている赤ラインドブネズミに向かって投げつけた。


 赤ラインドブネズミは飛んできたドブネズミの死体を簡単によけていた。しかし、避けるためには連射していた白とげを止めないといけないようで、一旦、白とげの攻撃は止むことになった。


 この一瞬の間を利用してアリスの動きを確認した。もう少しでギィのところに到着しそうだった。だが、まだこの場を離れることはできなかった。


 しかし、次は自分の攻撃の番だ!


 ウインドカッター!!


 ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!


    ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!


      ヒュルゥゥゥウウウウウーーーーーーーー!!


 ドブネズミの死体を投げつけ、赤ラインドブネズミ達に隙が出来た瞬間を逃さずウインドカッターを連射した。赤ラインドブネズミ達もウインドカッターの攻撃力を知っているようで即座に後退していた。赤ラインドブネズミ達の反応が早く、1発も当たらないのかと思ったが、最後の1発はよけきれずにダメージを残すことが出来た。


「おっ!1発当てることが出来た。しかも、よろめいているぞ!かなり効いているみたいだ!そのまま下がっていっていいぞ!!」


 このウインドカッターはダメージを与えるためではなく、時間稼ぎの為だったので1発当たっただけでも御の字だった。


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