表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/238

105 ドブネズミ達の増援

 どうなっているんだ?


 なんで、ギィの悲鳴が聞こえてきた?


 そして、こいつは・・・このドブネズミはなんで自分に噛み付いているんだ?


 いや!とにかく落ち着け!自分落ち着け!慌てるのは悪い癖だぞ!


 ふぅぅぅぅーーーーーっ!!


 はぁーーーぁぁあああ!!!


 大きく深呼吸をすることで少し落ち着きを取り戻した。


 状況は分からないが、とにかくこの噛み付いているドブネズミを倒してから考えるんだ!!


 そうして、噛みついているドブネズミに意識を集中した。


「いつまで噛みついている気だぁぁあああ!!」


 自分がギィの悲鳴に気をとられていた隙に、正面から来て噛みついていたドブネズミに頭から噛みつき返した。体に噛み付いていたドブネズミの首の後ろのところに、自分の牙が完全に食い込み、そのまま毒を流し込んだ。噛み付き攻撃だけでも倒せた思うが、ギィのことが気になったので、確実にとどめが刺せるようにポイズンファングを使った。


 自分の噛み付きの攻撃を食らった瞬間、ドブネズミはのけぞるようにして暴れだした。すると自分の体に突き立てていた牙の力も少しづつゆるみ始めた。


 ドブネズミの噛み付く力が消えていく感覚を感じたので、自分の体からドブネズミを一気に引き剥がした。わずかに刺さっていたドブネズミの牙は無視だ!しかし、その牙はわずかであったが、自分の体を引き裂くには十分な鋭かった。多少は痛みもあったが、痛みよりも倒しきることを先行させた。それに、ギィが受けていた傷に比べれば大したことはないと忘れることにした。


 そして、自分の口に瀕死のドブネズミを咥えたまま、最大限まで持ち上げて、そのまま地面に向かってドブネズミを投げつけた。自分の毒ですでに息絶えていたかもしれないが、地面に投げつけることでドブネズミは完全に絶命させることが出来た。


 地面に投げつけたのは、完全に絶命させる為だけではなかった。それは、投げつけた先には、自分に攻撃を仕掛けようとしていたドブネズミがまだ1匹残っていて、少しでも早くギィの確認をするために、そいつをうまく巻き込めればと思っていた。


 すると残っていたドブネズミは仲間を受けるために、自分が投げつけたところに向かって行ったように見えた。それはまるで、仲間をかばおうとした行為のようにも見えた。その行為が、偶然なのか、自分がそう思いたいだけなのか分からなかったが、何か不思議な感覚にとらわれずにはいられなかった。


 過程はどうあれ、結果として投げつけたドブネズミと一緒に残ったドブネズミも洞窟の端の壁まで吹き飛ばされて、気絶しているようだった。


 これで、ギィを探せるぞ!!!


 正面のドブネズミを倒し、残っていたドブネズミに対しても時間を稼ぐことが出来たので、後ろから向かってきていたはずのギィの姿を探した。


 ギィ・・・・は、いない!


 どこだ!?


 想定していた場所にギィの姿を探したが、そこにはいなかった。


 それなら・・・どこだ!?


 あわてて周辺を見回してみた。


 ・・・・・いた!


 最初に探した場所から10m位離れたところに横たわっているギィを見つけた。そして、アリスがそこに向かっているのも見えた。


 アリスが向かっているからとりあえずは安心だな。だが、ギィはなんでそんなところにいるんだ?


 しかし、考えられるのは敵すなわちドブネズミの攻撃としか考えられない。ギィとドブネズミでは体のサイズが2倍位違う。そんなギィを吹き飛ばすことが出来るドブネズミではないはずだ。とすると、複数のドブネズミの体当たりを食らった可能性がある!?


 もしくは・・・・通常のサイズではない・・・ドブネズミか!?


 いや!それはないな。そんなサイズならここからでも姿が見えるはずだ。


 だとすると、複数のドブネズミが有力となる。しかも、まだ所在のわかっていない新しいドブネズミがいるはずだ。・・・そうすると、


もう一度サーチをかけて現状を再確認する必要があるな。


そう考え、少しでも早くギィのところに向かいたかったが、サーチを先にかけることを優先した。


 それと同時に、途中からいなくなった1匹のドブネズミのことが頭をよぎった。もしかすると、あの1匹が仲間の増援を呼びに行っていた可能性を考えた!そして、あいつはチームリーダー的な存在なのかもしれないとも思いながら、サーチを唱えた。 


 うわぁっ!ギィが4匹のドブネズミに囲まれているじゃなかいかぁ!!


 やばいやばいやばい!


 サーチをかけてみると、自分の予想が嫌な方で正解していた。


 自分の後ろに回り込んでいたドブネズミ1匹に加えて、今までいなかった3匹が増えていたのだ。


 そして、状況からはんだんして、おそらく、回り込んできていたドブネズミにギィが攻撃を加えようとした瞬間に、3匹の体当たりを食らって吹き飛ばされたに違いない。そうだとすると、ギィは気絶しているだけかもしれないと少し楽観的に考えていた。しかし、全部で4匹のドブネズミがギィに攻撃をしようと向かって行っていた。


「アリス!4匹のドブネズミがギィの正面に向かっている!たのむ牽制してくれ!!」


 ギィがすぐに目を覚ますことが出来るかわからないし、自分から距離がありすぎて、すぐに間に入ることは難しそうだったので、アリスに大声を上げて牽制を頼んだ。


 後ろのドブネズミの方を第3の瞳で確認すると、まだ気絶したままだった。行くなら今のうちだろうと思い、自分もジャンプを行ってギィの側に向かった。


 ギィの側に向かいながら、アリスの方から硫酸弾らしきものが複数飛来しているのが見えた。それにより、ドブネズミ達の足が一瞬止まっているのが見えた。


 よかった!これで、自分が間に入る時間が確保できそうだ!








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ