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102 作戦は決まった!

 ドブネズミ達は後退したまま姿を見せなかった。


 何かを警戒しているのかわからないが、追撃はしてこないと考えた。


 念の為にサーチをかけたが、4匹のドブネズミが距離をとった状態でうろうろしているのがわかった。


 しかし、最初は5匹いたはずのドブネズミが4匹ということが気になった。


 ダメージを受けたドブネズミが後退した可能性もゼロではないが、何か嫌な予感がする。


 だが、その前に、ギィのケガの確認がいるな。


「ギィ!ケガの様子はどうだ?噛みつかれた状態を無理やり引き離していたみたいだが?」


 ギィの様子を見ると表情に弱気なものはなく、意気揚々としていた。


「傷は・・・ちょっと残っているっす。でも、緑エノキを食べて少し回復したから、全く問題ないっす。でもちょっと暑いっすね!それに臭いっす!」


「ギィちゃんも暑いですの?私もちょっと体全体が熱を持っているみたいですの!実戦で高揚しているのかしら!?」


 たしかに、この場所は少し熱くなってジメジメしているのは間違いないが、ギィとアリスが話しているほど暑いとは思えない。


 やっぱり何かの状態異常かもしれない。


「ギィ!アリス!その暑さはドブネズミの攻撃による状態異常の可能性がある。何か制限があるに違いないんだが・・・。何か変わったことはないか?」


「変わったことですの?・・・そうですね・・・何か体が少し重いような気がしますの!」


「私はよくわからないっすねぇ!でも、暑いっす!」


 状態異常があると思うが、それほど影響がでているとも思えない。


 強い状態異常はないのかもしれない。


「そうか・・・。とにかく、何か変化があったら教えてくれ。それから、何か策を練ろうと思う。何か考えはないか?」


 自分の中に1つ策はあったが、それが最善とは思えなかった。


 なので、ギィとアリスに何かいい案がないか訊ねてみた。


「あいつら右かと思ったら、左や後ろにいるっすよ!わずらわしいくてたまらないっすね!それに草むらがあるから、相手の姿が見えないっす!」


「遠距離攻撃が草むらに阻まれてちゃんと当たらないですの!嫌になりますわ!」


「そうなんだ!あいつら自分達のテリトリーを把握していて、草むらの低くなるこの付近まではやってこないんだ。追撃を心配していたから、牽制しようとかまえていたのに、あいつらすぐに後退しやがったんだよ」


 ドブネズミ達は草むらに隠れて、侵入してきた敵を挟撃する。


 そして、一匹がおとりになり、もう一匹が後ろや死角から攻撃を加える。


 単純で分かりやすくあるが徹底していたため、効果的だった。


 逆にこちらからすると、とてもやりにくい相手となっていた。


 このまま撤退するか?


 だめだ!初めての集団戦で負けたという印象をギィにつけさせたくない。


 それに、アリスにとってこのドブネズミ達との戦いは、実質初めてのモンスター戦だ!


 ポイズンバット討伐は行ってきたが、水弾丸(改)網で絡められていた敵モンスターを一方的に倒すだけだった。


 それを考えると、ここは絶対に勝利が必要だ!


 それにまだまだ、ギィもアリスも気持ちで負けていない。


「それなら、私たちも同じようにしたらいかがですの?スピードもあるギィちゃんがおとりになって、師匠と私で攻撃すれはいいですの!」


「ギィがおとりか・・・それも悪くはない・・・が、体力と防御力が高い自分がおとりは引き受ける。だから、回り込んできたドブネズミ達をギィ!アリス!お前らで蹴散らしてくれ!」


「わかりましたわ!師匠!次は倒しますの!」


「殲滅っすね!師匠!やるっすよぉお!」


 作戦は決まった。


 目には目を!歯には歯を!だ。


 ドブネズミ達がおとり役と攻撃役に分かれて攻撃してくるなら、こちらもおとり役と攻撃役を作るまでだ!


 あいつらの攻撃はどれだけでも受けてやる!絶対に勝利するんだ!


「そしたら、反撃戦の開始だな!自分が先頭にでるから、回り込んできたドブネズミをお前たちで挟撃してくれな!」


「わかりましたわ!」


「はいっす!」


 自分が先頭に立ち、ゆっくりと進んだ!サーチをかけると、正面に4匹がこちらを囲むように扇形に広がって隠れていた。


 ドブネズミ達は自分に動きがばれているとは考えていないようだったので、とにかく1匹を倒すことを優先しようと考えた。


 ギィ、アリスと少し距離が離れたところで、予想通りどぶねずみ達は挟撃を始めた。


 正面には3匹のドブネズミ達がいて、1匹が回り込んできていた。


 自分はドブネズミ達の策に乗ったふりをして、3匹の方に向かった。


 正面のドブネズミ達は1匹が姿を見せた、そして、残りの2匹は後ろで隠れてかまえていた。


 あいつら、自分が正面の1匹に攻撃すれば、その後ろからかぶせるように攻撃を加えて、さらに後方から攻撃を入れるといった3重の作戦のようだった。


 サーチがなかったら、まじやばかったな。


 回り込んでいたドブネズミが完全に孤立した状態で、連携を断ち切るように間に割り込んでギィとアリスに声をかけた。


「右側に一匹回り込んでいるぞ!!!」



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