1 真っ暗なんだけど・・・。
「ぎゃおおおおおおおおおおおおお!」
鼓膜が破れてしまうような轟音が鳴り響く。
同時に、体を支えられない位の大きな振動に目を覚ました。
「はっ・・・なんだ、なんだ、何の音だ!」
生まれてからこれまでに聞いたことのない轟音と振動に混乱していた。
「あれっ!今は昼だったはず。なんで、なんでっ!真っ暗なんだけど・・・」
突然、意識を失い、気が付いたら、経験したことのない真っ暗闇、もしかして何か天変地異でも起こったのか不安に思った。
「いや、いや・・・それどころじゃないよ」
もしも、天変地異だったら、こんな悠長なこと言っている場合じゃないよな。
「逃げないと・・・死んじゃうんじゃない・・・」
そうだ、逃げないといけないはず。
でも、どこへ!?
いやまずは・・・どっちへ!?
それに、近づいてきてないか・・・!
何も見えない中で、何かとてつもなく大きなものが迫っている事だけはわかった。
それは・・・まるで映画の中のワンシーンにある・・・。
そうだ、飛行機だ!
墜落した後、そのまま、自分の方へ向かってきているんだ!
ヤベェ ダイハードか!?
こんな大きな音は飛行機に違いないっ。
・・・でもなんで見えないんだ?
いったいどこから来ているんだよぉ。
その場にいるだけで、耳が避けるような轟音とともに、地響きが一定のリズムで自分のそばに向かっているような感じを受けた。
落ち着けっ、自分っ、落ち着けっ
飛行機だったら、こんなリズムでは来ない。
だとすると、なんなんだよぉ!?
でも、巨大な何かが来ているのは間違いないんだ。
「大災害の時にはどうしたらいいんだっけっ!あ~~~わからないっ!だれかぁ!誰かたすけてくれぇ~~~」
返事がない・・・。
くそっ!!!
混乱した頭の中で、何か出来ることはないのかと対処法を必死で考える。
しかし、考えることを妨げるかのように、轟音と大地震のような振動は続いた。
そして、何かは見えないのに、はっきりとすぐ側まで近づいているように思われた。
よくわからないけど不意に思い出した。
飛行機の中だったら、頭を下げて体を小さくすることになっていたはず。
「とにかくっ、とにかく頭を押さえて、何かテーブルのような体を隠せるものを探さないとっ!」
とにかく動かないとはじまらないと思い動くことにした。
しかし、ゆっくりしている暇もない。
何かが迫ってきている。
どんどん迫ってきている。
・・・冷静に考えられなくなっていた。
いや、もはやパニック状態だった。
「落ち着け!落ち着け!とにかく動かないと・・・くそっ、それにしても真っ暗だな」
ゴツンッ! ゴロッ!
「うわーああああああああああああっ・・・痛てっ!」
何かにぶつかった。
それだけでなく、世界が傾き始めたのだ。
必死でバランスを取ろうとするが、うまく出来ない。
「なんだ、なんだ、倒れるっ、うわああああ、倒れるっ!」
体を隠せるものを探そうと移動しようとしただけなのに、すぐに壁のようなものにぶつかっていた。
そして、体がうまく動かず、ぶつかった後は壁が急に前のほうに倒れてしまった。
真っ暗だったので何が起こっているのか分からないが、轟音と振動はすこしづつ小さくなっていた。
すこし、ホッとした。
大きな振動は自分の側を通り過ぎたようで一応危機は通り過ぎたように思われた。
【卵の殻壁を獲得しました】
安心したと思ったところで、頭の中に、メッセージが流れてきた。
ロールプレイングゲームなどでレベルアップした際に出てくるあれだ。
「えっだれっ?・・・えっぐうぉーる?・・・ってなに?」
真っ暗な世界の中、とてつもない轟音や大地震の発生・・・それは、まるでこの世の最後のような一瞬だった。
がしかし、・・・通り過ぎた。
「生きてる・・・のかな!?」
その言葉を最後に、頭の中で急に響いてきたメッセージや振動や音に混乱したこともあり、そのまま意識を失ってしまっていた。
読んでいただきありがとうございます。
「面白い」
「続きが読みたい」
そう思っていただけましたら是非ブックマークと評価をお願いします。
評価☆☆☆☆☆↓を少しでも埋めていただければ、物語の続きを書く励みになります。
足跡のつもりで記入していただければ本当にうれしいです。
よろしくお願いします。m(_ _)m