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4.ドラゴン討伐

俺とアンナはビースト平原からさらに遠くにあるビースト森林に来ていた。


ここには多種多様な動物や植物があるらしく、森林の奥にはどんな病気でも治してしまう「フルラフレシア」という植物があるらしい。


森林には沢山の獣がいると聞いていたがまあ、今の俺なら大丈夫だろ。そう思っていた少し前の自分を殴りたい。



「うわぁぁぁぁあ!」



俺はアンナを背中に乗せ森林の中を全力で走る。たしかに、この森に出てくる獣は大したことなかった。だいたいが一発殴れば現代アートのようになる。しかし、この森で真に恐ろしいのは獣ではなかった!



「なんで植物の方が強いんだよ!チクショォォォォ!」



マジで強い。たしかにぶん殴ればあっさり砕け散る。しかしものの数秒で分裂、再生して迫ってくる。どうやら魔法で焼き尽くすなどしないと倒せないらしい。


俺はステータスを身体能力に全振りしてるので物理無効の相手には勝てない。


幸い植物はその場から動けない、待ち伏せ型の狩りをしているので全力で走っていれば植物に食われることもない。



「アンナ!薬草が生えてる場所はまだなのか?」


「多分、もう少し先です! もう一踏ん張りです!」


「わかった! とばすぞ、しっかり掴まっとけよ!」



俺はさらに加速して植物を振り切る。そしてなんとか目的地の森林の奥までたどり着いた。


「はぁ、はぁ、アンナ、どうだ? 薬草はあったか?」


「はい、でも……崖の上にあって取れないかもしれません。」


アンナの見上げる先には大きな崖が。その上に一輪の綺麗な花が咲いている。



「任せとけ。このくらいどうってことない。」



俺は崖の出っ張ってる部分を蹴ってガンガンと登っていく。そのままあっさりと崖の上に到達した。



アンナが下で何か言っている。


あっさりと崖を登りきった事に驚いているのか? 俺は耳を澄ましてみる、するとーーーー


「カナメ様! 崖の上にはドラゴンが生息しているって噂がありますのでお気をつけて下さい!」



え? ドラゴン? そんなファンタジーモンスターも存在するのかこの世界は。



まあ、でも花を取って帰るだけだしすぐに崖を降りれば問題な……!



ガァッッ! ドォォォン!



俺の立っていた崖の上の岩は無残にも砕け散り、俺は崖の下まで落ちる。


崖の上には巨大なドラゴンがいた。



「くっそ、タイミングわるいな! アンナあれがお前のいってたドラゴンか?」


「は、はい! 多分あれが噂のドラゴンです!」


ドラゴンは自分の縄張りを荒らされて怒っているのだろうか、崖の上からこちらに向けて破壊光線のようなものを発射する。


あれが俗に言う「ドラゴンブレス」と言ったものなのだろう。


俺はアンナを背負ってすぐさま回避する。


俺たちのいた場所は崖の上の岩同様、木っ端微塵に砕け散る。


「おい!ドラゴンって殴って倒せるのか?」


俺はドラゴンの攻撃を避けながらアンナに尋ねる。


「ドラゴンは魔法攻撃には強いですが物理攻撃には弱いはずです!」



アンナも必死で答える。



「よし、じゃあぶん殴りに行くぞ!」


「へ? きゃぁぁぁ⁈」



俺はアンナを抱えたまま全力でドラゴンめがけてジャンプする。今の俺ならこの崖くらいなら一回で跳べる。


「このクソトカゲ! 哺乳類なめんな‼︎ ツラァァァ‼︎」


俺はジャンプの勢いも利用して全力でドラゴンの顔面をぶん殴る。


流石はドラゴン、先程までの雑魚と違ってグロテスクな姿にはならず、口から血反吐を吐いただけだった。


ドラゴンは殴られた勢いで崖の下まで落ちていった。ぐったり伸びている。



「カナメ様、やり過ぎでは?」


「ハァ、わかってる。反省する。」



少しドラゴンに申し訳ない気持ちがある。たしかに最初に攻撃してきたのはドラゴンの方だがそもそも、それは俺がドラゴンのテリトリーに入ったからであって……。


「ま、いっか。さっさと薬草だけ取って帰るぞ。ドラゴンにトドメを刺すのは流石に可哀想だから放置しとくか。」


切り替えは大事だ。


そのまま崖の上で薬草を摘んでなんとか臨時クエストをクリアした。


そのまままた森を駆け抜けて帰ろうとしたのだが……


「これは⁈ アンナこれってもしかして……!」


崖の上には洞窟があり、その中には沢山の財宝があった。


「す、すごい量ですね。これだけあれば一生遊んで暮らせますよ……。」


おそらく崖の下で気絶してるドラゴンが集めたんだろうな。


俺とアンナは洞窟の中を満たす財宝に圧倒されていた。そんな時ーーーー!


ドォォォン!


洞窟の入り口の方から音が、これはーーーー!


「くっそ、もう回復したのか? タフ過ぎだろ!」



そこには先程殴り飛ばしたドラゴンがいた。その形相は怒りに満ちている。


洞窟の中に向けてドラゴンブレスを打とうと魔力を集中させている。


このままではまずい。奴の攻撃を避けきれない。多分俺は平気だと思うがアンナは確実に無事では済まないだろう。


万事休すか。いや、待て!


俺は背後にある財宝の山に手を触れて


「魔法能力に課金する!」


そう叫ぶ。


今回は保護者が云々は出ずに課金が完了した。


そこら中にあった財宝は跡形もなく消え去る。



そしてその代わりに俺の頭の中に魔法の知識が流れ込んでくる。



グァアワダァァァォォォォオ!



洞窟の中にドラゴンブレスが打たれた。破壊の渦となって流れ込んでくる。


俺は魔法を唱える。


「デルタ・プロ・エリア!」


俺とアンナを中心に正四面体のバリアが出現する。


結果、俺もアンナも無傷だった。


「す、すごい。ドラゴンのブレスはA級の魔術師でも防げないのに……!」


よくわからんがかなりの魔法なのだろう。なんせあれだけの財宝でステータスを強化したのだ。


ドラゴンも驚いたようでポカンと口を開けたまま動けない。


「え? 今ので死なないの⁈」


って顔だ。



「さーて、そんじゃドラゴン狩りといきますか!」


俺はバリアの中にアンナを残し、地面を蹴ってドラゴンとの距離を詰める。


そして、


「ミー・バフ・フィジカ!」


身体能力向上魔法を自分にかけ、先程とは比べものにならないほどの一撃をお見舞いする。


ドラゴンは空の彼方まで吹っ飛んでいった。


さて、これで本当に一件落着だな。俺はアンナのいる場所まで戻る。



「さて、帰ろうか。アンナ。」


「は、はい! カナメ様!」



そのままアンナを背中に乗せ森の中を駆け抜ける。


帰りは自分の周りにバリアを張っておいたので獣も植物も俺に攻撃できない。


そのまま街にあるアンナの家まで送り届ける。


もうすでに夕方になっていた。


俺とアンナはすぐに二階の寝室に向かう。そこにアンナのお母さんで眠っているそうだ。




「お母さん! 薬草取ってきたよ! これで元気に……あれ?」



しかし、アンナのお母さんはそこにはいなかった。



「どういうことだ? アンナ、お母さんは?」


「わからない。朝はたしかにここにいたはずなのに……。」


二人ともなにがなんだかわからずにいると、下の階から誰かが上ってくる音が。


その音の主はアンナのお母さんだった。


「アンナ、帰ってたのかい? それにそちらの方は……?」


アンナのお母さんはどう見ても健康体だ。


「お母さん、どうして? 病気で動けないんじゃなかったの?」


「アンナ、だから何度もいったじゃないかい! 私が三日も寝込んでいたのは風邪と二日酔いを同時にやっちゃったからだって! ほんとにこの子はいっつも大げさなんだから。」


「でも、今朝も寝込んでたじゃない! お母さんは私を心配させまいと嘘をついてるんでしょ?」


「そりゃ今日は仕事が休みなんだから朝でもゆっくり寝るよ!」



なーるほど(棒)つまりはすべてアンナの勘違いってやつか。やってられるか!



俺は口論を繰り返す親子を後にしてギルドにダブルヘッドウルフのクエスト報酬を受け取りに行こうとするが……


「カナメ様! お待ち下さい。」


アンナが俺を呼び止める。


「どうしたの? 俺、もうギルドに行きたいんだけど。」


「その前に、今回の依頼の報酬です!」


そう言ってアンナは俺との冒険で少し泥のついた顔で、満面の笑みを浮かべる。


「私の勘違いもあったみたいですけど、ありがとうございました!」


アンナの屈託のない笑顔も見れたし少しは頑張ったかいもあったかもな。


ガラにも無くそんなことを思ってしまった。



その後、俺はダブルヘッドウルフのクエスト報酬をギルドから受け取り、近くの宿を借りて、風呂に入って、ご飯を食べて、ゆっくり休む。


ここの宿は一泊で30000ペルだそうだ。


儲けの半分以上は失うが討伐クエストは一年中あるそうなので大丈夫だろう。


少しリラックスしたら、俺はとりあえずステータスを確認してみることにした。


視界のメニューバーをタップしステータス画面を開く。



◯財前 要:人間、転生者、冒険者


◯ステータス


身体能力レベル562

魔法能力レベル435

調整能力レベル1

抵抗能力レベル1


◯所持アイテム等


友人1人

所持金20000ペル

アイテムストレージ 0個



やっぱりとんでもなくレベルが上がっていた。この調子ならたとえ魔王でも余裕で倒せるんじゃないだろうか。


そんなことを思いながらステータス画面を閉じ眠りにつこうとする、すると


ドン、ドン!


ドアを叩く音が、ずいぶん乱暴なノックだな。


俺は目をこすりながらドアを開ける。


「誰だ? せっかく眠むりかけてたのに……。」


ドアの前にはひとりの少女が立っていた。


これまた凄い美少女だ。栗色の長く綺麗な髪、透き通った肌、胸は小ちゃいがアンナと比べても全然見劣りしない、正真正銘の美少女だ。


「どうしたんだ?こんな夜に……。てか、誰?」


「私は今日あなたに倒されたドラゴンのエリー・ブラウニーです。今日の昼は大変申し訳ありませんでした!」


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