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パルクール・ランナーズ  作者: 桜崎あかり
第3部

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もう一つのフィールド

・2021年10月29日付

細部調整

 3月1日――西雲春南にしぐも・はるなは、3度のレースで1位を2回獲得する。3回目は2位だったが――僅差の展開となっていた。1位となった人物がウルズだったというのも――理由の一つか。


 ラストの直線で、西雲はヒューマノイドモードを使用した。そのタイミング自体は間違っていない。しかし、それ以上にウルズの反応速度が上回っている。普通であればヒューマノイドモードは一種のブースト扱いだ。それよりも機動力が上となると、ある意味でプロのアスリートと言えるかもしれない。


『僅差? 違うな――この場合は――』


 ゴールにたどり着いた西雲の目の前に姿を見せたのが――先ほどの1位であるウルズだった。そして、話の途中でARアーマーとバイザーを解除する。一体、何を考えているのか? 彼女は――中継カメラの目の前で正体を晒しているのである。


「俺様の圧倒的な勝利――とは思わないか?」


 明らかに面倒な人種だと西雲は――あまり言葉を積極的に交わそうとはしなかった。下手にこちらから話をすれば、向こうのペースに乗せられるのが落ちだろう。顔はアマゾネスとは不釣り合いな――萌え系と言う表現が合うのだろうか?


「――これだけは言っておく。今のお前では、上位に入るのは不可能だろうな」


 言いたい事だけ言って、その場を立ち去っていく。他のフィールドへ向かったという言い方の方が正しいか?


 ウルズの言う事は一理ある。圧倒的な勝利――それを周囲のギャラリーも求めているし、そう言った展開が好まれている事も。


 要するに、WEB小説で上位を独占している無双展開やチート展開――そう言った物がブームになっているのは、西雲も把握はしている。


 しかし、こうした展開だけがARゲームではないだろう。ジャイアントキリングや接戦と言った展開は――好まれていないのか?


(上位に入る為には――)


 西雲は自分でも自覚はしている。今のままでは勝てないだろう――と。しかし、ARゲームではチートや反則行為をすればライセンスはく奪になる。


 それを踏まえれば、自然と正攻法しかないのは分かっているはずだ。


【あのウルズは――チートプレイヤーか?】


【チートであれば、最初からはじかれる。あれが彼女の実力だ】


【信じられない。もしかして、プロゲーマーでは?】


【ARゲームのプロゲーマーは数人いるが、オケアノスで確認出来ているのはヴェルダンディだけだろう】


【じゃあ、あれだけの実力者が他にも出てくると言う事か?】


 西雲のARバイザーはSNSモードがONになっていたので、レース後につぶやきサイトのタイムラインが流れてきた。ウルズの実力がかなりの物と言うのは、体感して分かったが――彼女の力の源は何なのか? それは謎に包まれている。



 午後1時30分、西雲はウルズに敗北後――ある事を考えていた。それは必勝パターンの様な物ではない。


「どうすれば――ビスマルクに勝てるのか」


 タブレット端末を片手に、ビスマルクのプレイ動画を研究しているのだが――その内容はここ数日の物ばかりだ。ビスマルクのプレイ回数は100回は軽く超えているのはランキングを見れば分かる。しかし、具体的なランキングだけでは分からない事実もプレイ動画にはあった。


 動画を見て研究しただけで勝てるのかと言われると――それは違うと明言出来るだろう。数週間前の動画を見て研究したとしても、結局は過去の事例である。今の事例ではない――攻略法は日々進化していくものだ。


「結局は動画研究や攻略ウィキ巡りとは違った方法を模索しないと――」


【ARゲームで簡単に勝利できる方法】


 ふとネットサーフィンをしていた際に、ある項目が目に入った。どう考えてもネット炎上を狙った釣りなのは明らかである。実際、このリンクは無効だった。


 運営側で削除していれば、リンクをクリックしても『無効なリンクです』とは表示されない。つまり、何者かが独自で動いている証拠とも言える。一体誰なのかは、西雲にも判断できないだろう。


【次々と釣りサイトが消えている】


【まとめサイトと同じように、魔女狩りが始まっているのか】


【魔女狩り? 今、平成何年だ?】


【禁酒法とか――そういう時代でもないだろう】


【ここは現実世界であって、異世界ではない。草加市そのものが異世界転移した訳でもない――】


【それでも、オケアノス初見には受け入れられない光景だろう】


 つぶやきサイトでも一部のリンクに関しては言及されていた。やはり、第3者によるサイトの強制凍結や閉鎖辺りと予測しているコメントが多い。



 同時刻、ARFPSを中継している番組では――予想外の視聴者数を記録していた。FPSはジャンルによって視聴者数が偏るのだが、この状況は視聴者さえも予想していない。


 その理由は――スクルドの参戦だった。彼女の実力は、一言で言うとリアルチートである。ただし、FPSにおいてはリアルチートと言う意味であり――他のゲームではあまり強くはない。


「さて、と――そろそろ参戦しますか」


 スクルドの手元にあるタブレット端末、そこにはあるホームページが表示されている。そのページとは、ランダムフィールド・パルクールの物だった。


「楽しませてくれるよね?」


 彼女の口元は――怪しい笑みを浮かべている。一体、スクルドは何を目的としてランダムフィールドに参戦をしようと判断したのか?

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