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初めての相談者が来た

 授業って嫌だな。


 誰もが思ったことのあることだと思う。

 だが大半は授業自体も嫌だが勉強というものが嫌なのだろう。


 俺は違う。

 勉強自体は嫌いではない。

 知識が増えていくって面白いぞ。

 なぜ嫌いなのかというと隣の人とペア組まされたり、当てられて発表することがあるからだ。


 隣のやつは俺と組みたくないがために、わざわざ後ろの奴の組に混ざろうとする。



 なんで毛嫌いされなきゃいけないの。

 俺はゴキブリかなんかですか。


 最初の頃は先生にたくさん当てられていたが今は少なくなった。

 特に国語。



 「この物語の主人公Aはこの時どう思ったか。逃伊崎答えろ」


 という質問に対し


「Aは考えるのをやめた」


 などとどこぞの不死身の戦士の名言を使ってしまった。

 これを知ってるやつは多少笑ってくれたが

 知らない奴からしたら「は? なに言ってんのこいつ」となる。

 こんな風なやり取りを繰り返してたら当然先生も当てなくなるだろう。

 クラスメイトの視線が痛い。



 だから嫌だ。



 あとはあれだ。

 誰かの意見に対して自分の意見をぶつける口論的なやつ。

 だいたい意見してくるやつは柳か岡山くんだ。

 最終的には二人の意見が別れてクラス全体を巻き込んで口論してる。

 俺が混ざれば一瞬で終わるだろう。

 てか喋るだけで静まり返る。



 俺からしたらあいつらははっきりいってウザイ。

 嫌いではないがうざい。

 だが二人とも性格はいいようでクラスでは上位カーストを保っている。

 その二人を中心としたグループはこのクラスの最上位カーストと言って良いだろう。

 俺みたいな最底辺カーストの人間は近づくのも拒まれるはず。

 あっちが嫌うのだったらこっちも嫌う。

 これが定石というものだ。

 そんなこと起きないためにはかかわらないのが一番。


 話がずれてしまったな。

 結局俺が嫌いなのは授業や勉強じゃなくて俺が嫌がることをしてくる人が嫌いなだけでした。






 「ごめんなさい」


 部室に行く途中廊下でそう聞こえた。

 そっと除くとそこには新山と知らない男子生徒がいた。


 あ、また告白されてるんだ。


 男子生徒はぺこりとお辞儀をして彼女から離れていった。

 すると新山はこちらに気づいたようで歩いてくる。

 俺は逃げるようにして部室に入ろうとしたが開かない。



 「まだ鍵開けてないから開かないわよ。馬鹿なの?」

 

 「そ、そうかじゃあ早く開けてくれ」


 動揺混じりの声でそう言い開けてもらい、ともに中に入る。


 「見た? 今の」


 なんで聞いてくんだよクソォ。


 「み……みてない……」


 顔を背けて嘘をつく。

 こんなバレバレな嘘つくやついないだろ。


 「ふーんそう。別にいいわどうでも」



 意外とあっさりしていた。

 どうでもいいなら聞いてくんなよ。

 怖かっただろうが。


 でも本心は嫌がっているだろうな。

 俺に話したからと言ってその気持ちは変わらないだろうし。





 「てかこの部全然人来ねぇな」


 独り言で小さな声のつもりでそういったのだが


 「そうね。でも悩みがないっていうのもいい事じゃない? 自分のやりたいことが自分で決めれてるってことでしょう」


 新山は返答してきた。

 ここで無視はまずいので


 「そうだな。でも何かしらしないとこの部潰れるんじゃないの? 俺らの実績ないし」


 と、いっておく。

 我ながらちゃんと喋れることに驚いている。

 まだ会話できたんだ俺。



 喋らなくなった新山の方を見ると

 あっ、という顔をしていた。


 え、まじ、考えてなかったの。


 という顔をすると


 「う~ん」


 困っているっぽい。



 するとドアの方でノックが鳴った。


 ナイスタイミング。


 失礼しますといい入ってきたのはうちのクラスの最上位カーストに属している茎根凛花。


 「あの、相談部ってここでいいんですよね? 入江先生に言われて来たんですけど」


 オドオドしながら喋っている。


 「ええ! ここが相談部ですよ! ささ座って座って」


 俺といる時とは真逆のテンションで対応する。



 こいつやっぱり二重人格なんじゃないの?



 「あっはい」


 茎根は用意された新山の正面の椅子に座った。


 「それでなんの相談でしょうか?」


 そう新山が聞くと


 「その……クラスでのグループのことなんですが。最近運動部のグループの人が私たちを敵対視しているようで怖いんです」


 「ほうほう。具体的には?」


 「えっと、サッカー部の人が同じサッカー部の柳くんをよく思ってなくて、虐めてやろうってなったらしくそれを聞いてた赤鬼くんが止めた事がきっかけとなって、陰口や悪い噂を流すようになったんです」



 うわーどこの女子高生だよ。

 怖すぎだろ。


 「んーそれはたしかに嫌だね。ていうか誰がやってるってわかっているなら直接本人にいえばいいんじゃない?」


 新山はそう呑気な対応をした。


 「その、私たちのグループ全員が柳くんと仲良いから全員敵対視されるようになって話も聞いてくれないんです」


 そりゃそうだ。

 やめてくださいっていってやめるようだったらいじめるかどうかってとこまでいかないだろ。



 「要するに相談内容はそのいざこざをどうにかしろってことだろ」


 俺が喋ったことにびっくりしたのか茎根は驚いたようだ。



 そういうのいいから。



 「う、うんそういうこと」


 「わかった! この相談受けるわ!」


 新山は立ち上がりはっきりとその言葉を放った。



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