言葉は選んで話しましょう
これは運命なのか......
運命なんて存在しない、運命を変えるなどという言葉を聞いたことはあるが俺は間違いだと考えよう。
昔は運命なんてないと考えた。
運命を変えるという言葉にもかっこいいと思っていた。
だが運命は存在するのだ。
例えば2分後新山が話しかけてくるかどうかは新山が決めることだから運命なんてわからない、としよう。
だが二分後話しかけてきた場合の運命と話しかけてこなかった場合の二つの運命があるといえるのではないか。
あれですね、シュレーディンガーの猫ですね。
「...なんでここにきたの」
彼女は俺を睨みつけながらそう言う。
「あ、いやその……」
怖くて目を合わせられなかったので先生に助けを求めるように視線を向けた。
「ん?なんだ知り合いか。私は彼女の姉とは同級生でな。こうやって面倒見てるんだ。ちなみにこの部の部長な」
いやいや部員がひとりしかいないのに部活として認めていいのかよ......
「いいんだよ。私の代の時にちゃんと実績は出してるし、私が顧問をしているからな」
あら口に出しちゃってたよ。
「先生、この人はなんなんですか」
「ああ、紹介してなかったな。新しい部員だ」
「「はぁ?!! 」」
俺は流石にやめて欲しいという気持ちで
新山は驚きを隠せずに
その言葉を発した。
「待ってください先生。さすがにきついです。主にメンタルの問題と気まずさで死んでしまう! 先生知らないんですか? 入学式のこと」
自分で思い出したくもないことをいうと先生は
「いや、知っているぞ。だが告白して振られたということしか知らないのだ。まさか相手は新山なのか」
俺が黙って下を向くと先生は理解してくれたようで
「はぁ……だが君をこの部に入れることに変わりはない。仲直りするチャンスじゃないか」
笑顔でそう言う。
が、こっちの事考えてほしいんですけど。
「私は反対です。こんな男と2人きりでいたら何されるかわかったものじゃありません」
少し黙っていた彼女が口を開いた。
「失敬な。俺は卑猥なことばかりを考えている訳では無い。そこらへんの一般男子高校生と一緒にしないでもらいたいな」
俺だって他にもいろいろ考えてる。
タイムマシンがあった時のこととかドラ〇もんが家に来たら、とか宝くじが当たったら、とかね
・・・堕落した生活を送るだろうね。
「まあまあそんなに喧嘩するな。じゃあ私はもう戻るから仲よくしろよ。」
そう言い、職員室へ戻っていったあの人を俺は睨みつけた。
どうしろってんだよ。
一つの教室に美少女と二人きり。
ラブコメならここでいい雰囲気になりいい感じになるが俺は振られているからそういうことにはならないことは確定。
沈黙に耐えれなくなった俺は
「あ、あのさ」
と、声をかけることにした。
「なに」
「入学式のことなんだけど、あれ忘れてくれ。調子に乗ってたんだすまない!」
そういい渾身の土下座すると
「・・・」
彼女は何も言わない。
このまま何も言われない状況はお互いにまずいと俺が一方的に思い顔を上げようかと考えるが、あげないと進まないと思い顔を上げる決心をする。
相手の反応を見るため顔を上げ新山をみると......
泣いていた。
袖で涙を拭っているが涙は溢れ出てきて止まらない。
「お、おい」
声をかけ、近づこうとすると、
「近寄らないで! もう帰って!」
そう怒声をあげる。
「ごめん...」
自分でもなにがごめんなのかわからないまま言われた通りにするため部屋を出た。
ドア前でため息をつき立っていると中ですすり泣く音が聞こえる。
いったいどういう事なんだ。