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彼は諦めるという道を選んだ

 「険しい丘を登るためには

  最初にゆっくり歩くことが必要である」



  かの有名なシェイクスピアの名言である。

 このとき彼は何をもってこの言葉を考えたのだろうか。

 劇作家としての仕事がうまくいかなかったりしていた時に

 「これは焦っていたからだ。落ち着いて、落ち着いてやろう。」

 などど考えれていたのかな。


 これを解釈すると

 「急いではことを損じる」

 何事も焦ってやると失敗しがちだから急ぐときほど落ち着いて行動しなさい。

 ということだ......



 だがしかし!



  そんなのはもう遅かったのだ。

 あのとき落ちついていればと後悔。


  前日新山莉織に告白し振られたことはもう学校中に広まっていたのでした。

 きっとその現場を誰かが見ていて、帰り道の時にでも新山莉織に何があったかきいたのでしょう。


 ていうかよく俺だってわかったな。

 名前名乗ってないのに……



 名乗ってないのに()()()()()()というのは特定されていた。

 朝に男女関係なく告白について話しかけてきたことがその証拠。


 「昨日の帰りの時新山さんに告ったんでしょ??」

 「やっぱり高根の花はきついよなー」

 などと冗談交じりかつ暴言もあったが

 コミュ力の低い俺は何を聞かれても

 「あ、うん。そうだよ」

 「そうなんだよね。ははは……」

 としか返事することが出来なかったのである。


  ちなみに話しかけてこなかったやつは今回のことに興味がなかったり

 「いやなんかあいつきもいしからはなしかけたくないし」

 と、聞こえる声で言ってくるようなやつばかりだった。


  俺お前らに()()なんもしてないだろなんできもいとか言うの?

 性格悪すぎだろ。

  酷くない?



 ・・・・・・ 今後一切話さないようにしよ。


  離れた席にいる新山莉織の方を見ると友達らしきものが出来ているようで集まって中学の時の話とかしてるようだ。



 「あそこにいる大谷君、中学一緒なんだけど苦手なんだよね~」


 「あたしもあそこにいるやつと中学一緒で苦手~」


 「私は中学では皆仲良かったよ~」


 「え~凄いね。嫌いな人とかいなかったの?」



 などと意味不明な話をしている。

  みんなが仲いいとかありえんだろーが。

 どこの学校にもぼっちは存在してるんだよ。

 ソースは俺。



 中学時代、俺のクラスはほかのクラスより友好関係が深いと思われていた。

 休み時間など10分しかないのに立ち歩いて友達と話し合ったり遊んだりしている人が多いクラスだった。

 俺を除いて。

 孤独感を感じる時間であり、うるさくてイライラする時間でもあった。

 なかなかに大変だったなーー

 よく話が尽きないものだよ




 今でも思う、女子とは凄いものだと。

 お互いに気を使って表面上だけの関係だからすぐに友達になれたと勘違いしている生き物のくせにそれをお互いにわかっていてもその関係をやめれない。

 やめたくてもやめれないんだ。

 女子の言葉は何かわかんないけど深く刺さるからね。



 いや~無理だわ。

 さすがに疲れてくるし。

 絶対ため息とか多いよ。

 ぜったいストレスたまりまくってるよ。



  休み時間、俺は窓側の後ろの席で1人読書をしている。

 決して友達ができないからという訳では無い。

 ただ話しかける人達が俺を避けていくだけなんだ。

 俺のテンションが低くノリが嫌いな奴で塩対応しかしないから話しかけてきたやつがすぐどっかに行ってるだけなんだ。

 俺も気持ちも考えてほしいものだよ。

 お前らが俺と同じ状況になったらぜったいこうなるって。


 俺は悪くない。


 てかあっちから避けるんだったら俺も避けるからな。

 すぐに崩れる関係とかノリとか気使うのはめんどくさいし。

 だから当初考えてた運動部にも入ることはやめたし生徒会長どころか生徒会にすら入らない。

 帰宅部でダラダラ過ごすことに決めたよ。

 基本優柔不断の俺がすぐ決めれたことだから貫くよ。

 これが一番楽で幸せだと考えよう。



 

  学校が終わり帰るときに玄関で新山莉織を発見し、あちらも俺に気づいたようで目が合った。


 っと思ったら俺のことを睨みつけせっせと帰っていく。

 俺は声をかけることもかけられることも出来ずに呆然と立ちすくんでしてしまっていた。


  ・・・何か言った方が良かったのかな

 昨日のことについてとか

 たわいのない話とか


  だが今の関係ではそんなことできないしそもそも俺はそんなキャラじゃない。

 それにもう終わったことだから考えても仕方がないだろう。

 考えるなら今後の生活のこととかせめて仲直りするとかにしようかな。


  と、そんなこと考えながら逃伊崎愛人は日が落ちる前にゆっくり歩いて帰っていく。

 

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