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そんなに否定しなくてもいいんじゃないかな

 眠い。

 眠すぎる。

 昨日のことのせいで全然眠れなかった。

 授業が始まった瞬間に超眠くなるってなんて不都合だ。

 ほんとは学校を仮病で休みたかったがここで休んでしまうと明日新山にいじられるだろう。


 「あら。逃げるのが得意な逃伊埼くんじゃない。よく戻ってこれたわね」


 てな感じで。

 それに河頼についてもどうにかしなくちゃならないしな。

 河頼が勝手に泣いて逃げて、俺が茎根に散々言われただけであって()()()()()()()()()()()()()()()()

 だから考えよう。

 これを俺の思い込みではなく、河頼も茎根も新山も納得するやり方と伝え方を。



 一時間目が終わりやっと寝れると思ったとき

 あれが聞こえた。


 「まじさー逃伊埼ありえないんだけど」


 「ん? なんかあったの?」


 「昨日相談部っていうところで私の悩みについて相談したんだけどー逃伊埼のやつがなんかいきなりキレだして「お前のグループのやつと縁切れ」っていってきたんだよ? ほんとうざくない?」


 「え、まじで? それはえぐいわ。まじ逃伊埼くんねーわー」

 

 河頼の他人見下し。

 いつものことだが今回は完全に意識してわざとやっているのが分かった。

 しかも言い方が悪い。

 自分の相談したことを言わず自分に都合のいいことしか言ってない。

 自分に都合のいいのは俺も一緒だがそれで俺は人を傷つけない。

 はず。


 その状況を知っている茎根はあえて何も言わず俺のほうを見てアイコンタクトで


 あーあかわいそうな逃伊埼くん。これでまた嫌われたね


 とでもいいさげなことを伝えてくる。

 余計なことだ。

 ということを伝えるために俺はうつぶせになって寝ることにした。


 まだ俺のことについて話し合ってるのが聞こえるがもう聞くのはやめることにする。



 ~~♪♪

 校内のチャイムで目を覚ました。

 時計を見ると12時40分で4時間目が終わるチャイムだった。

 二時間目前の休み時間から寝てるから3時間ほど寝ていたようだ。

 周りの人どころか先生からも起こされないとか……

 俺の存在感の薄さは才能ではないのか。

 三時間も寝れたのは大きいが何も考えれてない。


 困った。


 まずこれから先河頼と話すことがあるかどうかすらわからないってのに……

 てか話さないかもしれないなら対策なんて考える必要があるか?

 結構なこと言われているのに俺が助ける必要はあるのか?

 俺に利益がなく時間と労力を使ってまですることか?


 いや最後のだけは部活としての仕事だからいなければいけないのか。


 「どうしたの逃伊埼くん。難しい顔してるね」


 新山が表のほうで話しかけてきた。


 「なぁ、なんで相談部は相談を受けて()()が主に行動しなきゃいけないんだ? こういうのは()()ではなく()()()が行動しなきゃ意味ないんじゃないか?」


 「そうだね。でもできる人は解決法を教えたときに「わかったやってみる」とか言って自分からやると思うよ。もちろん人任せで自分はやらないっていう人もいると思うけど、そういう人だって困ってることに変わりないから相手がどんな人であろうが解決はしなきゃいけないの!」


 「それがたとえ嫌いな奴であったり、救いようのない奴だったとしてもか?」


 「大体はそうでいいんだよ。もちろん例外はあるよ? マナーを守れない人の相談は受けないよ。本気で困って誰かに助けを求めている人を助けるのは人として当たり前でしょ?」


 「そういうもんなのか……?」


 「そういうものなのだ」


 そういわれて賛成はできないが今の俺は何もわからない状態にある。

 だからいまは与えられた餌を警戒なく食べ野生を失ったペットのように新山の言ったことを受けることにした。


 「じゃあ私と仮契約を結ぼうじゃないか! 今回の河頼さんの件はなにがあってもやり通すこと。一人で抱え込まないこと。私を信じること。これだけでいいよ!」


 これだけって…………

 人は人を完全に信じることなんてできないんだぞ。

 だがおれは


 「いいよ。オーケー。その契約を結ぼうではないか」


 ノリが苦手な俺が少しノリに乗る。


 信じることができず頼ることもしない俺が承諾したのは中二病っぽいことを持ちかけられたり、わたしを頼れてきなことを言われたからではない。


 俺が承諾した理由はこいつも河頼の相談について考えているということだった。

 初めて一人ではないということに歓喜してしまってる俺はなんなんだろう。

 いや違うな。

 きっとこれは自分が失敗したときに自分への責任が多少減ることへの安心感だろう。

 そんな自分に腹が立ってきた。


 昼休みが終わり新山は自分の席へと戻る。

 俺はこの怒りを抑えるために頭を使い冷ますことにする。

 今河頼が俺について話し出したり、運動部がバカ騒ぎしだしたりしたら立ち上がって大声で怒鳴りそうなほど興奮しているのだ。

 今俺の気に触れるとやけどするぜ?

 ・・・・・・・・・・・・

 しようもないこと言えるくらいだからもう冷めてるんじゃないか。




 6時間目が終わり放課。

 今の俺のために河頼が相談部に来てくれることを願うぞ。

 来るかどうかわからないが覚悟を決めろ。

 人とうまくいかなくて気まずいのはいつものことだからきにするな。



 さてこれからが勝負の始まりだ!





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