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言うだけ言って何が悪い

 こちらの様子を伺うことなく茎根は自分の用件だけ伝えた。

 それに対し新山は


 「あっ! よくきたね! 今ちょうど茎根さんの話をしてたんだ!」


 と、俺と話すときの態度を急変させそう言った。

 そして俺にアイコンタクトをし、近くの椅子を二つ用意させる。


 「ささ、そんなところに立ってないで座って座って!」


 「じゃあ遠慮なく」


 「……………………」


 二人は俺が机を挟んで新山の正面に置いた椅子に座った。


「それで相談は?」


 新山が河頼にそう問いかけると


 「……………………」


 河頼は質問に答えず茎根のほうを向いた

 それに気づいた茎根は


 「じゃあ私が話すけどいい?」


 茎根が河頼にそう聞くと、河頼は無言でうなずく


 「それじゃあ話すね。簡単に言うと美奈は私たちのグループで話が途切れた時に、話題を作ろうとしてかかわりがない人を馬鹿にする発言をしてしまう癖があるんだけど、それが嫌だから直したいんだって」


 俺がさっき嫌だと思ってたことをこいつも嫌だと思っていたというのか。

 同じことを考えてるなんて運命を感じるな。

 俺は運命なんて信じていないから前言撤回。


 「でもなんでそのことを嫌だと思ったの? それで話が続くのならよくない?」

 

 「……話が続くのはいいんだけど、その流れで愚痴を言いあったりするから周りから見てもいい雰囲気ではないし、最近は私がそういう話をすると是留舵くんが嫌な顔するようになったんだよね。だから是留舵くんに嫌われたくないし、周りを敵に回したくないの」


 やっと口を開いたと思ったら自分の居場所の確保がしたいということだ。

 周りと仲良くしたいということに対して必死なんだな。

 いろいろ考えたりしたんだろうか。


 人を見下し、それを共感させとうとすることがこいつの出した答えだ。

 その結果好きであろう人に嫌われるかもしれないということが起きたのだから自業自得だというものだ。

 自分でしりぬぐいができないないから人にやらせるなんて、なんて怠惰なんだ。


 「だったら話を途切れさせないように話を広げればいいんじゃないか」


 俺が喋ったことに驚いて河頼美奈はガタッと椅子から立ち上がった


 いやもうその反応いいから。

 影が薄いことを認識させないでくれよ


 彼女は


 「いやいや休み時間の間ずっと同じ話題で過ごすなんて無理でしょ」


 さっきの様子とは違い強気である。

 あ、怖い


 「河頼さんが話を振らなければいいんじゃない?」


 「それも考えてやってみたんだけどなんかもう無意識みたいな感じで言ってるんだよ」


 「だったら「話を振らない」ということを意識していればいい。それなら大丈夫じゃないか?」


 「そんなこと考えていたら話についていけなくなるじゃん。ノリが悪いと思われてハブられちゃうよ」


 河頼がそういったときに俺はイラっとした

 人の意見を否定ばかりしやがって

 一回ぐらいなんかしてみろよ。


 「お前のグループはそんな程度の低い理由で人をハブくのか? だったらそんなグループ自ら抜けちまえよ。おまえにあってねんだよ。さっさと抜けろ」


 河頼を睨み付けそう言う俺。


 「ぼっちのあんたには私の気持ちなんてわかんないよ! 私がどんな気持ちでこんなに必死になっているか......」


 「わかるわけねぇだろ。お前とは関わったことなんてないしな。自分を守るために人のことをネタにして馬鹿にする奴のことなんて知りたくもねえな。」


 彼女は涙ぐみどこかへ走り去ってしまった。



 「あーあ、逃伊埼くん()()女の子を泣かせちゃったね。さすがにあれは言いすぎだ よ。もう少し美奈のこと考えてあげようよ」


 「俺はあいつのことなんて全然知らないから考えることなんてできねえよ。それに知らないからこそ俺が思う一番確実な方法を提示してるんだよ」


 「逃伊埼くん、君にできることがみんなができるとは思っちゃいけないんだよ。君が美奈を知らないように美奈だってグループの人のすべてを知ってるわけじゃないんだよ。だからなにをしたら何が起こるかなんてわからないし、何か起きたときに対処できるとは限らないんだよ。君は今まで一人だったから、一人で何でもしてきたから何でもできると思っているけど、それは少数派の意見であって多数派の人は群れて生きているんだよ。そこからいきなり独りになれなんて言われたらそんなの無理に決まってるじゃんか」


 茎根はそう俺に告げた


 「じゃあ私は河頼追いかけるから、じゃあね」





 「お疲れね逃伊埼くん」


 「ほんとだよ全く、どーしろってんだよ」


 「でもあれは言い過ぎよ。あなたならもう少しちゃんとした言い方があったんじゃないの」


 「うるせーよ。イラっときてたんだよ。」


 「あら、意外と沸点が低いのね。残念」


 「てかお前ももっと意見出せよ。なんで俺だけが罪悪感を感じなくちゃいけないんだよ」


 「思いつかなかったんだからしょうがないじゃないの。しょうがないの」


 「はぁ」



 「新山は俺が間違ってるって言わないんだな」


 「間違ってると思うわよ。もっといい方法があるんじゃないかって、でもきっとあなたはそれを認めないと思うから言わないの」


 「…………」


 言い返すことができなかった。



 自分を否定したくない。

 一度否定してしまったら自分が自分を信じられなくなるから。

 それが間違っていると考えたくない。

 だから自分だけの真実を探すんだ。

 自己満足だと思われるかもしれないがそれでもかまわない。

 それでも自分だけは......俺だけは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()






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