違和感の正体はわからない
面倒事、厄介事が
これからも続いていくと思うと……
はぁ……これから大変だな。
「んで、具体的にどうやるの」
俺は新山に打開策を求めた。
「え? わかんないよそんなの。だから今から考えるんでしょ?」
は、嘘だろこいつ、あてもなしに返事したのかよ。
「というか第三者である私たちがやめてって言えば済む話じゃないの?」
「馬鹿か。そんなことしてみろ、あっちからしたら敵が増えたって思うだけだぞ。逆効果だ。はい却下」
この人ほんとに天然くさいな。
「ん〜じゃあ柳くんのどこが嫌なのかを教えてもらう!」
「それだって敵増やしてるのとかわんねぇだろーが。それにどうせ聞いても多分答えてくれないぞ。気に入らないってことは大した理由もなしに嫌っているってことだからな。しいていうなら自分達より目立っているから、とかそんなんだろ」
これは小学六年生の時に結構な人気者であった俺がいつもそばにいたやつからそう思われていたということがあった実体験だからな。
多分あってる。
「そうか~。ならどうしようか」
あどけない顔でこちらを見る新山
俺は三つ程思いついているが新山が選びそう、というか一般的な人が選びそうなのにしよう。
「俺の考えでは柳のことを気に入らないグループの中に何人かはそうは思ってないやつがいると思うんだ。だからそいつに中から止めさせればいいんじゃないか」
俺にしては少し具体性がないがいい選択をしたと思う。
ちなみに残りの二つは柳の信頼度を使いクラス全体で逆にそいつらをいじめてやることか、あえて何もせず柳がいじめられてる現場を発見し学校側にチクることだ。
バレなきゃいいとでも思ってる奴らなら写真でも撮って証拠として提出してやればいい。
「おーその手があったか。でももしそういう人がいなかった場合は?」
「いじめグループの中心核にいる奴と仲良いやつにでも頼めばいいんじゃねーの。」
それをそいつが了承してくれる可能性は少ないと思うけどな。
そしてそれがだれか分からないから少し時間はかかる。
「それ、逃伊崎君がやるの?」
茎根がそう聞いてきたが
「なわけ、俺が頼んでも聞いてくれるわけねーだろーが。人気者の新山にやってもらうさ」
当たり前のように否定して仕事を押し付ける。
新山が相談を引き受けたのだからちゃんと働いてもらうぞ。
「わ、わたしで大丈夫かな」
少し不安を感じているようだった。
「逆にお前でダメだったらこっちは手のだしようがなくなる」
少しプレッシャーをかけるような言い方になってしまったがこれは事実だ。
だが、たぶん学年一の美少女がお願いしてきてるんだから断ることはないだろう。
「え、そうなの? じゃあ頑張ってみるね!」
プレッシャーがかかったはずなのに不安の取れた笑顔で新山は返事した。
「だがその前に、いじめについてよく思ってないやつと仲良いやつを探さないとな。二人とも心当たりはあるか?」
「いやーあそこの人達とはほとんど喋らないからね。よくわかんないかな」
「んーどうかな。ははは」
新山はともかく茎根のほうは何かありそうだった。
まぁ、そういうのはその場面になればなんとかなるだろう。
「明日探してみるか。もちろん茎根さんも手伝ってくれよな」
俺がそう聞くと茎根は
「は、はい。頑張ります」
と、承諾してくれた。
「今日はもう遅いし帰ろうか」
新山はそう言うとバックを担ぎ立ち上がる。
外は日が落ちてきて少し暗くなってきていた。
「そうだね」
茎根もそういってたちあがる
はぁ
俺は小さなため息をつきさっさと廊下に出る。
新山と茎根は話しながら帰っていく。
対して仲良くないのによく一緒にいれるもんだよ。
こういう女子のコミュ力の高さは評価に値するよ。
こういう時。
いちおう知ってる人たちが俺一人を置いて帰るときって孤独を感じるよね。
独りぼっち。
帰り道に考え事をするのは日常茶飯事だ。
明日は大変そうになるな、と考えながら歩いていた時にふと思った。
新山って俺といる時と他の人の時とで喋り方が違うよな。
なんかこうクラスメイトとかといるときは元気いっぱいのあほみたいな中学生って感じがするけど
俺と二人きりの時はどこかのえらそうなご令嬢って感じがする。
やっぱり二重人格なのかな……
それともやっぱりまだ話してない秘密でもあんのかな……
あんまり追求するのはやめよう。
俺が得意とするのは待つことだ。
時が来ればあっちから話してくれるさ。
信じることはできないが期待はしておこう。