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蒼眼

何故だか目が覚めた。


……ん? おかしいな?

僕は確かに死んだはず…………あー、そうかそうか。なるほどな。念願叶って異世界転生ってわけか。

いやはや、それにしても、俺なんかを転生させるなんて神様も随分と気まぐれなんだな。

一応僕、自分で言うのもなんだが自殺した奴だぜ?

こういう時こそ嬲ったり雑に扱ったりするべきだと思うんだけどなあ。全く、どうしたことやら。恵まれてないのか恵まれているのか。


……にしても、五月蝿いな。


状況理解が済んだかと思えば、次に殴るように降りつける豪雨が僕の心を休めちゃくれない。


おいおい。異世界転生だろ? 転生早々、豪雨ってのはどうかと思うけどなあ。無難に行こうぜ、無難に。転生時は快晴って相場が決まってるものだろ?


色々と思うところはあるが、ひとまず立ち上がり体を動かしてみる。


ん。異常はないみたいだな。体の大きさも頭の重さも、ついでに言えば息子の大きさも変わらないか。あ、でも多少なんなりイケメンになっていると嬉しいところではーー


「……なっ!?」


自分自身の顔かどうか、それを視認するため、溜まりに溜まった水の溜まりーー水溜りを覗くが。

そこに映ったのはーー


「なんだ、これ……!? 右目が……蒼い……!?」


蒼眼、とでも言うべきか。

他に変わったところはなく、髪質も鼻の大きさも、唇の形も輪郭のラインも、どれも生前の自分自身の顔であったが、ただ一つ、右目だけが蒼く透明な目をしていた。


「片目だけってのも気になるけど、それ以前にーー」


疑問に頭を悩ませるが、次の瞬間、その疑問とやらは消え失せることになる。


「……ん?」


豪雨で視界が確かではないが、三人、いや、おそらく四人ほどの人影が此方へ迫ってくる。目を凝らせば、その誰もが手にギラつく何かを持って……。


「クソが! お前らが役立たずのせいであの白髪の姉ちゃんに逃げられたじゃねーか!」


「す、すんません兄貴! しかしあの白髪の女、奇妙な言葉を唱えたかと思えば急にすばしっこくなりまして……」


「言い訳すんのかぁ? あぁ?」


「い、いえ、そんなつもりは……!」


「……ったく、この腰抜け腑抜け共が。次は全員、命を代価に、だ。わかったな?」


「「「は、はいぃ!」」」



だんだんと近づいてくる複数の声。

それは次第にはっきりとしたものになり、やがて確信へと変わる。

予想通り人影は四つ。いや、既に影ではなく人そのものが見受けられた。

厳つい顔つきの漢が一人。その漢について回る男が三人。計四人。


「……んん? 兄貴、さっきの女じゃないですがそこに男が一人でいまっせ」


「おお、本当だ! 兄貴兄貴、それに俺たちゃついてるっぽいですよ! あの男、よく見れば蒼い目を宿してる」


「おお、おお! マジじゃねーか! 兄貴兄貴兄貴! 女は逃しましたが、あの男を取っ捕まえて大頭にプレゼントするってのはーー」


「うるせー!!! お前等、兄貴兄貴うるせーんだよ! それにそんなもん見りゃわかるわ! 」


そして、先ほどギラついていた物の正体。


「おい、お前等。二度目の大チャンスだ。逃すんじゃねーぞ!」


「「「あいよ、兄貴!」」」


長剣。短剣。メイス。そしてーー大剣。

彼らの目から察するに、自分を守るためではなく、つまりはーー人を殺すための武器。

サビついたそれぞれの金属部がそれを証明する。

だから、彼らはきっと盗賊やハンターなどではなく、もっともタチの悪い。


殺し屋。


「あ、ああ、あああぁぁぁぁぁああああ!!!」


僕は叫ぶと同時、泥濘んだ地面を蹴り出す。

自分で自分を殺すのは構わない。

でも、人に殺されるとわかっていたら、条件反射で逃げてしまうのは仕方がない。

それに、一度転生されたからにはまだ死にたくないのかもしれない。

いや、それ以前に人は生きたいと願う生き物だ。


だから、だから仕方ないじゃないか!自殺者だってそりゃ逃げるさ! そりゃ生きたいさ!


僕は叫び散らしながら、必死に逃げた。

泥濘んだ地面が足を奪う。それでも必死に。

背後から迫ってくる、バシャバシャという足音に恐怖を覚えながらも、生き残れることを確かに願い。


ーーと、その時だった。


豪雨の中、誰かに手を引かれた。

次にもう一つの手で口を塞がれ……。


「静かに。……こっちよ」


柔らかい肌触り。おそらくその人は彼女なのだろう。増していく豪雨で彼女の顔がうっすらとしか視認できないが……確かなのは、そう。彼女は白髪の、左目に青い光を宿した、


ーー蒼眼の少女だった。



主人公は重いイジメにあっていた。

また、虐待も受けていた。

そんな設定です。


だから自殺しても仕方がないってわけでもないですが……辛い境遇だったのでしょう。(書いたの私ですが)

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