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世界救うとかどうでもいいから異能の力を授かって!  作者: A46
Chapter4. シルヴェストルの龍は6人組だとか
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#22 街をまわって不届き者を

「ベアトリスさん、今日は何のバイトの面接受けたんですか?」


 歩きながら、花音とベアトリスの会話はなかなか盛り上がっているようだ。

 2人だと饒舌に話せるのに、3人になると途端に会話に入れなくなる、アレ。まさにあの状態に陥ってしまった。


「英会話教室の講師よ。小学校に入る前の子供から大人まで幅広くやってる教室なんだけど、私は多分中高生とか、大学生の留学準備コースがメインになると思うって言われたわ」


「へぇ、ベアトリスさんが先生だったら、大人の男性とかにもウケはよさそうだけど……」


 いや、むしろストーカー被害とか遭いそうで怖いぞ。あれ、なんでベアトリスの心配なんてしてるんだろう。


「そういう人たちは大抵ビジネス会話のコースだから、ビジネスマン経験のある大人の講師がやるのよ。主婦層が多い日常会話コースとか、だと、大人相手もあり得るみたいだけど」


 まるでもう採用されるのは決まってるかのように話すのな。


 さて、そうこうしているうちに家に着いた。途中でかなり時間を食ってしまったが、本来ならコンビニから歩いて3分くらいの距離だ。


 …………あれ?


 鍵が掛かっている。


 元々10分15分くらいで戻ってくる予定だったので、鍵はかけていないし、持ってすらいない。


「花音、出るとき鍵かけた?」

「え、かけてないけど……開かないの?」

「締まってる。鍵持ってない?」

「学校のカバンに付けてるから今は無いよぅ」

「仕方ない、メッセ流して誰か帰ってくるまで待つか——」


 なんて具合にあたふたとやり取りをしていたら、内側から鍵が開いた。


 ドアが開くと——そこには有紗が。


「あ…有紗、帰ってきてたのか」

「……どうして鍵をかけていなかったんですか?」

「短時間で戻るつもりだったからです」


 でも、結果的に30分以上経ってます。


「ちなみに、どちらへ?」

「スーパーへ」

「私なら鍵をかけます」

「多分有紗だけでは——ッ!?」


 有紗はSWAで武器や道具を生成するのが得意だ。


 なぜそんなことを今言ったかというと、今、俺の喉元にはそのSWAで生成されたドスが突きつけられているからである。


「……切れたり死んだりはしませんけど、痛みは本物と同じですよ?」

「あ、あーちゃん落ち着いて……ベアトリスさんが遊びに来てるんだけど——」

「えっ——?」


 あれ以来、有紗はベアトリスを異様に気に入っているようだ。


「ず、随分上達したわね……」

「ベアトリスさん、お茶ご用意しますねっ」

「え、ええ……」


 それはもう、ベアトリスも反応に困るほどに。





「——で、そこで二人にたまたま会ったんだけど……」

「さすがベアトリスさんです!それにしても、なんだか楽しそうですね、街をまわって不届き者を成敗できそうでっ」


 これが後に有紗の象徴のひとつとなる「さすベア」である。


 それにしても、この有紗という妹、優等生な見た目や実際に優等生な成績とか日頃の行いとは裏腹に、かなり血の気が多い。

 特に、ベアトリスの話に出てきたような、弱いものいじめをしてイキがるような不良やチンピラの類を心底嫌っている。


 だが、元々身体が弱かったこともありフィジカルは姉妹最弱なので、下手に口や手を出したりできずやきもきしていたようで。


 何が言いたいかというと、SWAをもたせた状態で夜の街にでも放りだそうものなら、間違いなく一番危ない。社会的に。


 SWAがある以上、物理的に危ないのはターゲットにされた側だろう。有紗が危ないのは、例えばそんなヤンキー狩りまがいのことをしていることが学校に知られでもしたら、どんな処分が下るか分からないという点だ。


「有紗……まさか本当にやる気か?」

「ああいうのは、一度痛い思いをさせないと分からないんです!世直しですよ、世直し」


 やっぱりというか、割と本気である。


「まぁ……俺も身長150cm台の女の子がデカいチンピラ相手に無双するのを見てみたくはあるけどさ、一人で夜の街行ったりするなよ、自分自身のためにも」


「うぅ…兄さまがそう言うなら」


 こういうことはちゃんと聞いてくれるんだけどなぁ。


「今は技を磨いて、もうちょっと大人になったら——それこそ大学生にでもなったら、やってみたら良いわ。楽しいわよ」

「そうですよね、絶対楽しいですよね!今度一緒に行ってくださいませんか!?保護者同伴なら——」

「いや、こやつほど信頼できない"保護者"もなかなかいないだろ……」


 いやでも、見るからに外国人である、というか実際外国人のベアトリスが、日本語全く分からないフリでもして、それこそフランス語なんかでまくし立てでもしたら、そこらの根はヘタレなチンピラだったら逃げてくか……?


「お兄ちゃん、わたしたちには割と過保護なとこあるよね」


 花音がジト目でそんな発言をしてきた。

 正直、割と心に刺さる。


 過保護すぎるのもよくない。頭ではわかってるんだけれど——


「妹に危ない目にあって欲しくない一心だよ」

「まぁ、お兄ちゃんならそう言うと思ってたけど」


 でも、この二人も——もう高校生になったんだもんなって。

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