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世界救うとかどうでもいいから異能の力を授かって!  作者: A46
Chapter4. シルヴェストルの龍は6人組だとか
20/29

#20 ベルリンとかの方が

 素早いお姉さんことベアトリスが、ヒャッハー系男子高校生(今命名)に狙いを定めたようだ。


 狙いを定めたとはいっても四方から拳や蹴りが飛んでくるので、やっぱりせわしなく動きながらだ。


〈——知っているかしら?〉


 そう切り出しながら、ベアトリスが胸の前で祈りの時にするように両手を組んだ。


〈衝撃の強さは——〉


 そして、両手を組んだまま回避運動を続け、


〈速度の2乗に——〉


 組んだ両手を自身の右斜め上に振りかぶって——


〈比例するのッ!!〉


 ヒャッハーの胸板に超高速で叩き込む——!


 瞬間、ヒャッハーが少なく見積もって2〜3m以上は吹っ飛び、駐車場に倒れこんだ。


 すぐに花音が魔眼の視界から外したのでよく見えなかったが、口から何か出てるような気がしたのは気のせいだろうか。


〈さあ、まだ続けるかしら?〉


 残った高校生たちにとって、その微笑みは悪魔のように映ったことだろう。


 華奢な女性がとんでもない威力のダブルアックスハンドルを叩き込んだのだ。SWAで何かと調整しているのだろうが、それがなければ間違いなく肋骨と内蔵がタダでは済まない。


 しかし、彼らは勇敢だった。

 そして、彼らの勇敢さを100とするなら、300くらい馬鹿だった。


 ベアトリスのバトルを継続することを選択してしまったのだ。


 それまでだって、彼らの(多分)技術もへったくれもない力任せの拳は、見る限り一発も当っていないのだ。それなのに、リーダー格らしい一人以外はもう息が上がってきつつある。


 対するベアトリスはといえば、魔眼の〈カメラ位置〉からは確認できないが、汗を浮かべる様子すらない。SWAの補助を用いているのだ、肉体的には歩いているのと大差ない、といったところか。


〈引き下がるわけにはいかねぇよなぁ?一人あんなんにしてくれちゃってよお〉

〈あらそう?引き際って結構大事よ〉

〈おい、やっちまえ!連れて帰って生×××にしようぜ!〉


 こんどはリーダー格以外で生き残っている(いや、ヒャッハー野郎も死んではいないだろうけど)3人が一斉に襲いかかる。


 さっきまでは健気に空振りしまくっていた割に、今回リーダー格はバトルに参加せず取り巻きに戦わせている。


 怖気付いてるのがバレバレだよ、軟弱者。


 え、俺?

 この状況で花音を一人にはできないし、ましてはその花音を前線に放り込むなんて言語道断。

 俺がここに居るのには、花音の護衛という立派な目的があるのだ。


〈それにしても、あなた面白いことを言うわね〉


 もはやお馴染み高速回避をしながら、少し離れたところで見ているリーダー格にむかってベアトリスがそう言う。


 どうも〈生×××にしてやる〉発言のことを言っているらしい。

 ちなみに×××はイントネーションと最後の字が〈スマホ〉と同じなんだって。さあなんだろうねー。


〈なんなら、あなた方もフランスあたりでそのテの人達に掘られたらいいんじゃないかしら?……それとも需要的にはベルリンとかの方がいいかも〉


 その発言の方がよっぽど危ない。


〈知らねえよ、「べるりん」とかどこの県だよ〉


 これには花音と二人で吹き出してしまった。

 バレていないことを祈ろう。


〈——まあ、そんなことはどうでもいいのよ。私、今とーってもお金に困ってるの。面倒だから片付けちゃうわね、あなたは財布の準備でもしておきなさい〉

〈ああ?一人ならいけてもなぁ、三人に勝てるわけねぇだろうが!〉


 そんな挑発を受けたベアトリスは、二人が話している間に不意打ちを仕掛けた戦闘員の拳をかわすついでに足を引っ掛けて転ばし、


〈馬鹿ねあなた、私は勝つわよ?ここまで見てても分からないの?〉


 と、さらなる挑発を仕掛けるのであった。

 でも、確かにその通りだ。ここまでやってまだ勝てると思っているなら、余程頭がおめでたいか正常な判断ができなくなっているか、だろう。


〈これでっ——終わりよッ!〉


 残った戦闘員二人に、肘鉄と回し蹴り(いずれも強烈なSWAアシスト有り)を食らわせ、一撃KO。これがベアトリス——もといSWAの本気か。


 なお、回し蹴りとはいっても、やや上方向からの視点で見ているので、「みえ」なかった。紳士諸兄であれば何が見えなかったかはお分かりだろう。


〈さて——〉


 ベアトリスがリーダー格に歩み寄り、


〈面倒だから学校に連絡したりはしないわ。その代わり——お金と、今あなたの取り巻きにしたこと全部乗せ、どっちがいい?〉


 悪魔のような笑顔で尋ねた。


〈好きなだけ持ってって下さい……〉


 リーダー格はあっさり財布を差し出した。

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