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こんなこと言うのもなんだけど、暇だから小説でも書こうと思う。


あれはいつのことだったか、確か僕が学生の頃だったと思う。いつのことなのかは割りとどうでもいい。あの日も今日みたいに最悪な夜だった。

僕は学生で大学に通っていた。通っていた―その言葉の通り過去形なのだ。大学生ではあるのだが、通っていた、つまり今は通っていないのである。もともと、工学に興味があったわけでもない。理系科目が得意だったわけでも無いのだが、電子工作だったりプログラミングが趣味だったので、安直に工学部に進学した。それが、間違いだった。飽き性な僕には耐えられなかったのだ。そして、今はこのように引きこもり生活を堪能しているのである。

引きこもり生活はなかなか暇である。

暇。暇。暇。暇。暇。暇。暇。暇。暇。暇。

暇がゲシュタルト崩壊してくるレベルには暇である。カーテンを開けたことがないので、今が一体昼なのか夜なのか分かりかねる。お金がなく、テレビもない部屋なのでお昼の番組だから昼とかそういうこともできないのだ。暇だ。

やることと言えば、寝て起きて寝る。終わり。

スマホを開けば、リア充(ここでいうリア充は彼氏彼女持ちではなく、楽しそうな奴らのことを指す)のツイートに溢れるTL。眩しい。見てられない。外に出るのは夜だけ。昼なんかに出たら失明するのではないかと思うほど眩しい。眩しすぎる。

外の世界は僕には眩しすぎるのだ。

特に何も起きないままいくらか時間が経った。5分かも知れないし、5時間かも知れない。この部屋には時計もない。そこに突然スマホにメールが届いた。サイレントマナーにするのを忘れていたのでめちゃめちゃビビった。内容はだいたいこんな感じだった。

「私だよ。いつまでも引きこもってないでいい加減外に出てきたら?みんな心配してるよ。」

何回か届くこんなメールは僕には迷惑でしかない。外に出る気はない。お誘いありがとう。そう呟いて僕はスマホをベッドに投げた。



目が覚めた。どうやら寝ていたらしい。スマホにはまたお誘いメールがきている。無視。しようかと思ったが、冷蔵庫に食料が無くなっていたので仕方なく食料調達に外に出ることにした。運良く外は夜だった。





ただいま、と小さく呟いて玄関を開けた。

食料は無事調達できたが、僕は憂鬱だった。

今日のご飯は大学の友人だった。

吸血鬼になってしまった僕は眩しすぎて外には出られない。

血を飲むしか腹を膨らませられない。

死なないので時間なんて意味がない。

心配はありがたいが、襲ってしまう。

僕は暇な暇な引きこもり生活を続けるしかないのだった。

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